養生の術 (元気が出る言葉)
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養生の術は、
先わが身をそこなふ物を去べし。
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身をそこなふ物は、
内慾と外邪となり。
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内慾とは
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飲食の慾、好色の慾、唾の慾、
言語をほしいまゝにするの慾と
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喜怒憂思悲恐驚の七情の慾を云う。
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外邪とは天の四気なり。
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風寒暑湿を云う。
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内慾をこらゑてすくなくし、
外邪をおそれてふせぐ、
是を以元気をそこなはず、
病なくして天年を永くたもつべし。
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欲を抑え、心を平らかにし、
気を和らかにして荒くせず、
静かにしてさわがしからず。
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心は常に和楽なるべし。
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憂い苦しむべからず。
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養生の術をまなんで、
よくわが身をたもつべし。
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長生きすれば、楽多く益多し。
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──貝原益軒