【見送り七歩】
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佐藤光浩氏の心に響く言葉より…
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『「ありがとう」と言う方は何気なくても、
言われる方はうれしい、
「ありがとう」これをもっと素直に言い合おう』
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これは、経営の神様と呼ばれる
松下電器産業の創業者、松下幸之助の言葉。
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そして、彼には「ありがとう」
にまつわるこんな逸話があります。
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新幹線に乗っていた夫婦が、
すぐ近くの席に松下幸之助が座っていることに気がつきます。
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夫は彼の大ファンで、
どうしても挨拶がしたいと思い、声をかけようとします。
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しかし、理由もなく話しかけても、相手にしてくれるかどうかわからない。
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そこで妻が、みかんを差し入れて、
きっかけを作ればいいのでは、と提案。
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夫はさっそくみかんを購入し、彼に差し出すことにしました。
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彼は、この申し出を快く受け入れ、
嬉しそうに「これはありがとうございます」
と言って、その場で皮をむいて食べはじめます。
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夫はみかんを渡せたし、
あの松下幸之助と話すこともでき、
大満足で自分の席に戻りました。
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そして、もうすぐ京都に着くという時です。
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彼は夫婦の座席にやってきて、
「先ほどはありがとうございました。
とてもおいしかったです」と頭を下げました。
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天下の松下幸之助が、
下車する前にわざわざ挨拶をしにきてくれたと、
夫婦は感動します。
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しかし、話はまだ終わりませんでした。
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京都駅で降りた彼は、
その夫婦の座席が見える窓のところまで来て、
深々と頭を下げ、
夫婦の姿が見えなくなるまで見送ってくれたのです。
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夫は彼の行為に涙します。
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そして、家に帰るとすぐに電気屋さんに連絡。
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自宅の電化製品すべてをナショナル製品に変えたそうです。
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『ちょっといい話』アルファポリス文庫
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「出迎え三歩、見送り七歩」という言葉がある。
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お出迎えするときは、
三歩前に出て内に招き入れ、
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お送りするときは、
七歩外に出てお見送りをする、ということだ。
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日本のおもてなしの原点がここにある。
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お客様がお帰りときは、門口に立ち、
その姿が見えなくなるまでお見送りする。
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それを余韻効果と言うそうだ。
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いつまでも、その印象が残るからだ。
特に、帰り際にその効果はより多く残る。
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「ありがとう」
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という感謝の気持ちを込めて
しっかりとお見送りをしたい。
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