小学校の道徳の副本にもなってるみたいですね^^
そのなかで
「つながってる」 を、ご紹介致します。

つながってる!
「いのちのまつり」
「生まれる!生まれる!」
ともだちにそう言いながら、
ミズちゃんは教室を飛びだしました。
いそいでくつをはき、
運動場をななめに横切って、校門からは全速力!
ランドセルの中で
教科書と筆箱がゴトゴトおどっています。
「生まれたー!?」
玄関のドアを勢いよく開け、
ミズちゃんは大きな声で叫びました。
「こっち! こっち!」
奥の部屋でお母さんがよんでいます。
すみにおかれたダンボールの箱の中から
「キュンキュンキュン……」
かわいらしい小さな声が、いくつも聞こえてきます。
「あっ、生まれてる!」
犬のパールが、子犬を産んだのです。
「1,2,3……うわぁ~7匹も! かわいいっ!」
目をつぶったまま、
モコモコ動いている子犬たちのおなかに、
ひものようなものがくっついています。
「お母さん、これなぁに?」
「へその緒よ。パールと子犬は、
へその緒でつながっていたのよ」
「つながっていたの?」
おどろいているミズちゃんに
お母さんが言いました。
「ミズちゃんもお母さんとつながっていたのよ」
「えー! ほんと?」
ミズちゃんの目がまん丸になりました。
「お母さんはおばあちゃんとつながってたのよ」
「おばあちゃんは?」
「ひいおばあちゃんと」
「ひいおばあちゃんは?」
「人はみんな、生まれてくるまで
お母さんとへその緒でつながっているのよ」
ミズちゃんの頭の中で、
へその緒が次から次につながっていきます。
「ねーねー、お母さん!
へその緒って、どこからつながってきたの?」
お母さんはニッコリ笑いながら言いました。
「最初のお母さんじゃない?」
「最初のお母さん……?」
その夜、ふしぎな夢を見ました。
最初のお母さんからつながってきた、
へその緒のいちばん端っこをにぎって、
ミズちゃんは立っています。
空にポッカリ穴があいていて、
たくさん赤ちゃんがプカプカ浮かんでいます。
握っているへその緒をクイックイッとひっぱると……
「びよ~ん!」ミズちゃんは、
穴の向こうに飛びだしました。
「すごーい!みんなつながってる!」
「ミズちゃん! 起きなさーい!」
お母さんの声で、ミズちゃんは目をさましました。
おへそをさすりながら夢のことを思い出していると、
奥の部屋から子犬の声が聞こえてきました。
のぞきに行くと、
小犬たちはパールのおなかにもぐりこんで、
いっしょうけんめい、おっぱいをのんでいます。
パールは子犬たちを1匹ずつ、
やさしく、ていねいに、ていねいに、なめています。
ミズちゃんの心がジーンとふくらんできて、
涙がこぼれそうになりました。
数えきれないほど、たくさんのお母さんたちが、
数えきれないほど、たくさんの赤ちゃんを産み、
数えきれないほど、たくさん抱きしめて、
つながっていく大切なもの……
ミズちゃんは、思わずお母さんに抱きつきました。
「お母さん、ありがとう!」
作:草葉 一壽(くさば かずひさ)
絵:平安座 資尚(へいあんざ もとなお)

画質が悪いので良く見えませんが
赤い糸で・・・
み~んな・・・
つながってる。