石黒康弘先生が亡くなってもうすぐ4年。

先生の漫画家、イラストレーターとしての業績を

公開する遺作展が開催された(3月17~22日)。

 

遺作展の後、お墓参りをしよう。

夫の提案があり、この日を心待ちにした。

私たち家族は高速道ドライブで

先生の故郷、新潟県長岡市へ向かった。

 

先生は大学のアート・デザイン学科の教授だった。

長女は先生の話の面白さに惹かれて専攻科を決めた。

卒業制作で先生に指導してもらったし、

卒業後も彼の研究室へ

漫画作品を見せに行く日を楽しみにしていた。

 

先生はご実家で1年間の療養を終えて、

大学復帰の準備中に容体が急変したそうだ。

長女が卒業して1年後の4月に帰らぬ人となった。

まだ50代だった。

 

私は専攻科の行事と卒業式のおりに、

先生にご挨拶した時のことを忘れない。

感謝を伝えることができて本当に良かった。

 

パンの国の住人と親しい?

虹の光線やタリスマンとともにいる妖精。

妖精は少女の姿でまっすぐにこちらを見つめる。

 

妖精の目は娘たちの目と似ていた、

私の目と似ていた。

でもそれは作者(先生)の目だった。

 

今回の遺作展を拝見して、

先生が命を込めて制作したことを改めて知った。

彼の命は作品となって生き続けている。

 

お兄さんによれば、

先生は創作過程を誰にも見せなくて、

〈鶴の恩返し〉みたいだった、

そして作品を手放さなかったそうだ。

 

なぜ、こんなにも心が揺さぶられるのだろうか。

私はお墓参りして涙が出てきた。

 

長女は弔問時以来の再会だ。

私たちは、ご実家に招かれて、

展示しきれなかった原画を拝見した。

先生の思い出話で交流して、

濃密な時間を過ごした。

 

私は胸がいっぱいになった。

 

先生の声を思い出して、

彼のエネルギーを感じてみた。

空色・明るい緑色・黄色、

妖精画に使われた色と似ていた。

繊細で傷つきやすくて・・・自己表現に関して・・・

人懐こくて・・・拒絶と孤独・・・

慎重さ・・・責任感と・・・頑固さ・・・自虐・・・。

 

♪ラーラーラー ララーラー ことばに できない~♪

帰宅した晩テレビで

小田和正の特集番組があって

歌が聞こえた。

偶然ではないぞ。

 

♪あなたに会えて ほんとうによかった♪

♪うれしくて うれしくて 言葉にできない♪

 

お父さん、お兄さん、妹さん、

親切にしてくださってありがとうございました。

そして 先生、ありがとうございました。

すべての計らいに感謝です。