紅葉の季節。ナナカマド、ウルシ、ブナ、シラカバ…木々が個を主張している。
私はモミジを仰ぎ見ていた・・・肌寒さを感じて我に返った。
手袋とマフラーが欲しいと思った。
しかし、ここでのんびりしていられない。
熊除けを怠らないこと、明るいうちに下山することが優先だ。
2ヶ月前に来た時は夏の緑だった。
晩秋の景色は輝いている。
深呼吸すると芳香がした。
木と落ち葉、バクテリアの共同作業…水。生命の水。
森は生きている。
山は新鮮な水を保持している。
清潔な水?
5年半前の福島第一原発の放射能漏れによって
群馬県の土地や水質も汚染された。
河川の魚を食べないよう注意があった。
赤城山大沼のワカサギ釣りも3年くらい禁止。
昨年は数頭の鹿の群れを見て心なごんだ。
背中に乗せてもらいたいと思った。
彼らは元気で生きているだろうか。
往路で夫がナメコのようなキノコを見つけたが、
帰路そのキノコはなくなっていた。
野生のキノコはおいしそうに見える。
幾人かのハイカーとすれ違った、誰かが持ち去ったようだ。
果たしてキノコを食べても大丈夫だろうか。
毒キノコの見分けだけでなく、放射能を心配するなんて。
結局、山の幸は幻覚だと認識しておこう。
熱いコーヒーを飲みたくなった。