本日のテーマ写真:
初めての夜1
俺はもう限界です
チェヨンは寝台にウンスをそっと押しやると、夜着の上に着ていた上衣を、力任せに投げ捨てた
はやる気持ちが抑えきれない…
そんなチェヨンの心の内を、まるで表しているかのようだった
バサッ…不自然に大きく響く
耳の奥に響くようなその音に、ウンスは小さくピクンと体を硬くした
あれだけこの日が来るのを、心待ちにしていたはずだった…
しかし、いざその場になってみると、嬉しいとかそんな事を考える余裕さえない
いちいち、物音にまで過敏に反応してしまう。そんな少女みたいな、うぶな自分がいたのだった
ヤダ…
私、これじゃ本当に
初めてみたいじゃない…
30歳半ばにもなって
何こんな動揺しているのよ…
私ったら、まるで心の処女ね…気恥ずかしくて、くすりと自嘲気味に笑う
居てもたってもいられない。期待と不安が入り交じる。そんな曖昧な表情を、チェヨンに見せたくなくて…
ウンスは緊張で震える両手で、とっさに赤く染まる顔を覆い隠した
そんなウンスの戸惑う姿を、愛おしそうに見つめて…横で肘をついていたチェヨンが、くすくすと笑う
「どうしたのです?いつものような勢いがないではないか。イムジャ、顔を隠さないでください」
チェヨンはそういうと、ウンスの両手を顔から優しく引きはがし…
そして、耳の横に、自分の指を絡め、握りしめるよう、そっと置く…
「俺はもう限界です。そろそろ諦めてください」ウンスの上に乗り上げてそう呟いた
零れ落ちてしまいそうな、そんな甘い目で見つめてくる
自分の上に重くのし掛かる、あの人の重みが…今、私が確かにここに居ると…そうはっきりと実感させる
赤く頬を染め、少し困惑したようなウンスの顔を、チェヨンは満足そうに目に焼き付けたのだ
全て見ていたい…
チェヨンはそう思った
イムジャのそんな風に恥じらう姿…
それだけじゃない
全て…
これからは、俺だけのものだ
そう思うと頭に血が上り、胸の奥がギュッと詰まるように、愛しさがこみあげてくる
チェヨンは、急に息がつまりそうになり、小さく吐息を逃がした
ぎゅっと握る大きな手の重みが、なんだか心地いい…ウンスはそう思った
胸を震わせながら、見下げるチェヨンを、恐る恐る見上げていく
チェヨンの顔が徐々に近くなり、熱い吐息がウンスの鼻先を、柔らかくかすめる
「もう我慢せずともよいのですね」
何かを語りかけるように、強い視線で問う
チェヨンの強い想いを、その言葉から感じて…ウンスは目をキュッと瞑り、コクコクと大きく頷いた
そのウンスのしぐさに、今まで悲痛な思いで過ごしてきた日々が、すべて報われた気がした
チェヨンの胸がジンと熱くなる。目を細め熱い眸で、ウンスをじっと見つめ続けた
ウンスも、同じだった
我慢せずともよい…
その言葉に、胸がトクンと鼓動した
再開してから、キス以上の事をしてこないチェヨンに、どこか不安な気持ちでいた
天門を再びくぐり、この高麗に舞い戻った
ただ、チェヨンが何もしてこない…その事に、女としての不安が払拭できずにいた
私はここに戻ってきて本当に良かったの?
求められない寂しさが不安へと変わり、バイバイをするたび、胸がいつもチクチクと痛んだ
やっぱりこの人は、私の事をきっと考えて、大切にしてくれていたんだ…そう思うと、目頭が熱くなり、じわりと涙が浮かぶ
ウンスは自分の全てを、チェヨンに包み込まれたような、不思議な感覚に陥る
きっとこの人は…
私の心も、体も、きっとすごく大切にしていてくれたんだ…
そう思うと、今日この時を迎えた、込み上げるような喜びに、胸が張り裂けそうになり涙が堪えきれなくなる
ウンスは溢れでた涙を目にいっぱい浮かべ、満面の笑みでチェヨンに笑いかけた
そして、ウンスの大きな眸から、涙がポロリと零れ落ちたのだ
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2時間後の事…
「ヨンァ…その…」
「何です?」
「もう我慢せずともよいのですねって言ってたじゃない…?それって…」
「?」
「我慢してたってこと?」
「………」
「その…今までずっと気になってて…」
「ずっと気になっておったと?」
「えぇ、まぁ…少しね」
「イムジャ。そんな、イヤらしい事ばかり頭の中で、考えておったのですか?」
「ヤダっ違うわよ!そういう意味じゃ!」
「くくく…分かりました。しからばご期待に添わねば…」
「違うってば!!」
「今日からは、俺の前では、素直になってください」
「だから違うわよ!!
え…ちょっ…ちょっと、やぁ、なっ…何すんの…よ…」
「イムジャの考えておった事です」
「や…まっ、待ってよ…」
「もう、待てぬと言っただろ。俺は夫です。我慢せずとも良いのです♪」
んぐっ…
終わりのない二人の甘い夜が…今日から永遠に続くのだった…