

※連載ものです、順番にお読みください
1.ウンスのハロウィン
2.チュンソクのハロウィン
3.ウンスのハロウィン2
4.トクマンのハロウィン
5.ウダルチのハロウィン
6.みんなのハロウィン
7.2人のハロウィン
8.チェヨンのアフターハロウィン1
9.チェヨンのアフターハロウィン2
10.チェヨンのアフターハロウィン3【アメ限定】
最終話は、アメ限定でかきます
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これは、ハロウィン時の連載物と、続いているようで続いてないような”パロディ”です。”パロディ”好きじゃない方は、特に読まないでも大丈夫な短編です
「おいヨンァ!」クッパの仕込みに外に出ると、ヨンが居るのに気付く。マンボ兄が声をかけた
その男をちらりと見遣り、視線で会話を交わす。チェヨンはきょろきょろと辺りを見渡し、あの方の姿を探した
そんなチェヨンの、ここ最近よく見る仕草に、気づいたマンボ妹。いつもの調子でぶっきらぼうに、大きく声を張り上げた
「何だ、また、あいつか?ここんところ顔見てねぇぞ…」
二人の兄妹は、また何であんな野良犬を…と怪訝そうに、互いに顔を見合わせた
やはりあの方はいらしてないのか
ハーッとため息をつき、肩をがっくり落とした。会えないかもとは分かっていたものの、やはり、おらんのか…とチェヨンは落胆したのだ
あの方が喜ぶだろうと、手に持った山盛りの栗袋を、持ち上げてじっと残念そうに眺めた…
「皿をくれ」チェヨンは腹いせに、くそっ、やけ食いだ…袋から山盛りの栗を出し、どさっと卓の上に広げる
今日こそは…と思ったが、またお会いできなかったか…
やるせない気持ちの、はけ口にするかのように…力を籠め栗の殻を、グッと無理やり押し割った
栗だ…
栗の匂いがする…
近くの餌場で、愛猫のチゲと餌を食っていたクッパ。漂うウマそうな匂いに、鼻孔をぴくぴくと動かした
いくぞ!
チゲをチラリと視線で促す…
チゲは慌てて今食べていた餌を切り上げ、毛並みを正した
クッパは光のような速さで、そのまま匂いのする方向に駈け出す。おいて行かれぬように、愛猫チゲもその後を追った
苛立ち気分に、力任せに栗を割っていたチェヨン…手が滑り、ポロリと1つ栗をこぼしてしまう
落とした栗はコロコロと転げ落ち、数歩先でぴたりと止まった
チェヨンは栗を拾おうと、手を伸ばしたその時…チェヨンの動きがピタッと静止した
目下には白い4本の脚が…まっまさか…
祈るような思いで、顔を少し上げてみれば…待ち望んでいたその方が、クッパ師叔がそこに佇んでいるではないか
胸がじーんと熱くなる
やっとお会いできたのだ
クッパ師叔…
チェヨンは、万感胸にせまる思いで、その方をじっと見つめ続けた
尊敬の念を抱く、あの方が、師叔がそこにおる…感極まりしばらくその場所から動く事が出来なかった
クッパはチェヨンと目があうと、苛立つようにキッと睨み付けこう語りかけた
…かのようだった
「おい、その栗はやくよこせや」
チェヨンはその方の、苛立ったような視線にすぐ様気が付いた
俺としたことが…
チェヨンは手土産の栗を、一人食べていた事に焦り動揺をする
慌てて、卓の上に残った栗をかき集めると…皿に山盛りに盛り上げ、すっとその方の前に差し出した
お前くったろ?
クッパは、グルルとチェヨンを威嚇すると、恐る恐る栗に、食らいついた
時々、チェヨンをちらりと見る…「もう俺のだぞ」そう語るかのように、警戒を解く事なく栗を食い始めた
俺はその方の、栗をお食べになる姿を…まるで神々しいものを、見るよう見守り続けた
どうやら、喜んで頂けたようだ…
チェヨンは満足げに頷いた
栗をたらふく食ったあと、クッパは愛猫チゲと戯れはじめる…二匹はチェヨン構う事なく、目の前でじゃれつき始めた
チェヨンは師叔の教えを見逃さないよう、一寸のずれもないほどジッと目を凝らし様子を窺っていた
この熱き男達の世界おいて、教えは言葉で得る物ではない
それは、赤月隊の時から、チェヨンは身を以て体験したことで、当時、赤月隊の隊長だったムン・チフも同じだった
真の教えというものは、軽々しく口にする事ではない…師の姿をしかと目に刻み、自分自身が見つけ出し、そこから盗むのだ
ハッ
これだ!!
その瞬間、まるで体中を雷光に打たれたかのような閃きが、チェヨンの上に降りそそいできた
全身がびりびりと痺れた
目の前で伝授された教えを、チェヨンはしかとその胸に刻んだ
二匹が仲良くじゃれ合う…互いがぺろぺろと舐めあう。クッパに舐めまわされたチゲは、くすぐったそうにその目を細めた…
そうだ!
これぞ、俺流の復讐に相応しい
俺は朝、止めてくれと懇願もむなしく…イムジャにくすぐられ続けたのだ
あの小悪魔め…
”ハロウィン”には”はろうぃん”を、”くすぐり”には”くすぐり”を…
そうだ、毛づくろいだ…
その秘技があったのか…!!
チェヨンは師から伝えられた、その秘技の教えに感極まった
熱く燃える体内を、雷光を駆けめぐらせるように震えさせた
屋敷にて
「菓子を差し出さなければ、駄目なのではなかったか?イムジャ、菓子を持っておるのですか?」待ちに待ったその台詞。俺の胸は、これでもかと高鳴った
ぷっ…
イムジャはふて腐れ顔で、悔しげに顔をしかめておる…
「……持ってないわよ」フンっと鼻を鳴らして、イムジャは開き直りおった
持っておるわけがなかろう…すべてその腹の中に一人で全部収めたのだ
一言も俺に食うか聞きもせぬとは、イムジャは、何と食い意地のはったお方なのだ
俺は楽しくて仕方がなかった、思わず頬が緩んでしまう
いや、ここで笑い転げては駄目だ…きちんと、イムジャを説教せねばならん
チェヨンは、何とか冷静さを持ち堪え、笑いを噛み殺すように、イヒヒ…とひき笑いを浮かべた
「ハロウィンは、お菓子がもらえないと、報復の悪戯が許されるのよ!!!イムジャが言った事だ。覚えておるだろう?」
この方といると俺は…まるで、タチの悪い幼子のような、悪戯心がわいてくる
チェヨンは、すぐムキになる、ウンスをからかうのが、楽しくて仕方なかった
イムジャ
何だその顔は…
自分は朝あれほど…鬼の首を取ったように、たいそう威張っておったのに…
駄目だ堪えられぬ…
ついに耐えきれずチェヨンは、けたけたと笑い出した
声を出して笑われた事に、なんだか悔しい気持ちでウンスはふて腐れる
チェヨンはそれを甘ったるい眸で、満足そうにじっと眺めた
「朝の事おぼえておりますか?イムジャ…目には目を、やられたら倍返しです…」
菓子を食った赤く潤んだ、さも甘ったるそうな唇が…俺を唆してくる
俺は菓子などいらぬ
それが頂ければ良いのだ
チェヨンはウンスの唇に、すーと視線を落とすと、子猫のように舌を出し、ペロリと1度舐めあげた
師叔とご一緒されていた
チゲ殿がやっておった…
さすが、師叔手が早い…
しからば俺も…
呆気にとられたウンスの躰を、グッとひっぱり、引き寄せる
一瞬目を見開いたウンスを、チェヨンは力を少しかけ、くるりと回転させた
チェヨンはウンスが痛くないよう、背中に手をあてがって…
そのまま、どさっと覆いかぶさるように、ウンスを無理やり寝台に押し倒したのだ
イムジャこれから、”チェ家式はろうぃん”の幕開けです
剣を持たぬ敵に、迂闊に切りかかるから…こうやって仕置きをうけるのだ
剣を持たずとも武術がある、どうやらイムジャ切りかかる敵を間違えたようだ
チェヨンは両端の口角をくっとあげ、満面の笑みを浮かべた
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