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むくむくへの道2序章-チェヨンの反省
今日はワンビママの顔色も良かった…頬には赤みがさしていた。
うん、これならもう大丈夫ね!
ウンスはふ~と小さくため息をついた。そして、良かったわ…とコクコク頷き、安堵の表情を浮かべたのだ
ウンスはワンビママの往診が終わり、チョニシに戻ろうとしていた。宮殿の長い廊下を一人、静かに歩いていく
薄暗い廊下が…長く不気味に続いている。なんだか突然、電球の明かりが…無機質なはずのその現代の光が、無性に恋しく感じた
あぁ、明かりがないって、本当に不便…
手に持った明かり箱は、少し先をぼわっと照らすのみ…どこか頼りなげでゆらゆらと揺らめいているのだ
ウンスは思う
ソウルにいた時は…電気の重要性なんて考えたこともなかった
オン/オフで簡単に明かりがつく…暗ければスイッチを”オン”それで終わり。簡単に辺り一面を明るい光で照らしてくれる
明かりが恋しいなんて勿論、考えたこともなかった
私ってば、ほんと甘ったれた生活してたのね…ウンスはクスリと笑った
一寸先は闇…
まさにそんな言葉がふさわしい
廊下の先を見遣ると、薄暗い闇が重く漂う…急に怖くなり、思わずウンスはプルっと小さく震えたのだ
すると突然…
「キャっー」
いきなり横から何かが現れる
その何かにグイっと体をひっぱられる
ウンスは廊下に続くその部屋に…抵抗する間もなく、無理やり引きずり込まれた
私は気付けばそこに押し込まれていた。それは本当にあっという間の出来事だった
何者かの大きな体で、さらに突然…壁にぐっと押し付けられる
お…男?
連れ込むと同時にごっつい男の手が私の口を…声を出せないように覆ってきた。そして壁に囲うようさらに、ぐっと押さえつけたのだ…
男は外の様子を窺っているようだ
ドクンドクンドクンドクンッ
大きな音を立て激しく心臓が鼓動する
怖い…
目に見えぬ恐怖で、その言葉だけが脳裏に浮かんできた。ぞっと肌が逆立ち、背筋が一瞬で凍りつく
恐怖で唇が震え、声が出せない。涙交じりに、心の中でその男の名前を呟いた
ヨンァ
助けて…
緊迫した空気の中で、ウンスは大きく目を見開く…その顔もおびえた表情のまま凍りつき、すっかり固まっていた
だっ、誰なの…?
この男は何者?
まずはその正体を確認しないと…
気付かれないように…
ウンスは恐るおそる手元に持つ明かり箱を…そっと、そっと、上に持ち上げていったのだ
すると突然…
「イムジャ会いたかった」
明かり箱を全部上げきるその前に、聞き覚えのある声が耳についた。そんな囁きが急にウンスの耳元で聞こえてきた
え?
嘘でしょ…
男は押さえていたその手を、そっとウンスの口から離した
すまぬ驚かせてしまったか…
申し訳なげにそう言うと…良く知る大きな手がウンスの髪の毛を、すっと2度ほど撫で下ろした
「やっ、やだヨンァ?」恐怖が一転して驚きにかわる
「すまぬ…驚かせてしまったか?」まずい事をしてしまったのか?という困惑の表情を浮かべる
チェヨンの顔を暗がりでかろうじて確認する。よく、見慣れた男である事を確かめ、ウンスはホッと胸を撫で下ろした
ハァ…
安堵の息をつく
しかし恐怖が安堵にかわると共に、怒りがふつふつと沸いてくる。頭にカッと血が上り、ギロリと睨み付ける
「ヤァ!チェ・ヨン!!」ウンスはチェヨンの脛を思いきり蹴り上げた
「いてっ…」チェヨンは痛みに顔をしかめて、脛を押さえ擦り上げた
も~!
何なのよ~!
ウンスは苛つきながら、部屋の隅に手に持っていた明かり箱をドンと置きやる
そして、先ほど襲いかかってきた刺客を睨むように目をやると、脛を痛めつけられた刺客はぴょこぴょこ飛び跳ねていた
そして、ハハハと、ばつの悪そうな気まずい顔を向けてきた
「イムジャに会いたかったのだ…」
もう一度そう言うと、申し訳なさそうに上目づかいでウンスを窺う
ウンスはムスッと膨れる
チェヨンを再びキッと睨み付けた
ちょっとこれじゃまるで奇襲じゃないの!片手を腰にあて、威嚇するようハンッ!と呆れ声を出した
ウンスは横目でちらりとチェヨンを見る…許してくれとすっかり小さくなって懇願するチェヨン
ウンスはじっと考えを巡らす…
私に会いたかったと…
そんなセリフが思い返されてきた。そう考えてみると、こうやって怒るのもなんだか少し可哀想に思えてくる…
ふ~とため息をつくとウンスは、チェヨンにこう問いかけた
「今晩のデザートは?」
「山盛りの野苺で!!!」
チェヨンは間髪入れず即答した
許してもらえるのか?
パッと表情を変える…
そして懇願をたたえ目を輝かせた
まるで捨てられた子犬が拾われた瞬間…そんな姿が思い浮かぶ
ププッ…
ウンスはそのしぐさがキュンと可愛く思え、そして可笑しくて…思わず我慢できずに、プッと吹きだした
もぅ、ヨンァたら…
馬鹿なんだから…
チェヨンもウンスが笑ってくれた事が嬉しくて、うつり笑いを浮かべる
お?
イムジャが笑っておる
もう怒っておらぬな?
チェヨンが嬉しそうに目を見開く
ウンスも少しおどけて見せる
互いに何だか無性におかしくなり、二人で下を向いてクスクスと笑い出したのだ。そんなやり取りに心がじーんと温かくなる
「本当に怖かったんだからね!!もう二度とやめてよね」ウンスはチェヨンをまた睨み付ける
「すまぬ許してくれ…そんなに驚くとは…俺はイムジャと、二人きりになりたかっただけなのだ」
この男性(ひと)は、そんな”甘い台詞”を平然と言ってのけるもんだ
無骨な男が、よくもまぁ…
でも真っ直ぐな、そんな気持ちが嬉しくて仕方なかった
ウンスは心の中でくすくすと笑う
気恥ずかしい気持ちを隠すように、相変わらず口を小さく尖らせる
でも胸の中ではくすぐったいような甘い気持ちに、小さく心が弾んだ…そんな気持ちに心を委ね、ほのかに酔いしれた
チェヨンは許してもらえばこっちのもの…
そうとばかりに手のひらを返し、眸に甘い色を浮かべる。そしてウンスをじっ~と見つめ始めた
え?
数こなしてきた学習の中で、ちょっとしたチェヨンの表情の変化を…最近ウンスは敏感に察知することが出来るのだ
まぁ!
ヤダ…
この人ったら、全然反省してないわね…ウンスは再びじろっとチェヨンを睨みつける
睨み付けられてる事などお構いなしに、チェヨンはまた食い入るように…熱いまなざしで見つめてくるのだ
やだ、呆れた…
突然そんなスイッチが入るチェヨンに、ウンスはいつもどこか戸惑う
「ヨンァ、あなたの辞書には…”反省してしばらく神妙にする”って言葉がないわけ?」ウンスはチェヨンに不満をぶつける
じしょ?
また意味の分からぬ事を…
そんな事より…
チェヨンはニヤリと不敵な笑みを浮かべる
一歩、一歩と前進し、ウンスに歩み寄るチェヨン。反射的に一歩、一歩と後退し、部屋の隅に追いやられていくウンス
あっ…
ウンスの背中が壁にドンとぶつかる
もうこれ以上後ろはない
チェヨンはウンスを再び壁に追いやった
ウンスは呆れていた
ちょっと!
なんで、すぐ壁に追いやるのよ!
「壁に追いやる」=「退路を断つ」は既に学習ずみ…だけどウンスは、理不尽に感じられ、抗議せずにはいられなかった
チェヨンは左手を壁にドンと突く。その音に少し驚き、体をビクッと硬直させた
ウンスの抗議を気に留める事すらなく、チェヨンはウンスの美しく線描かれたその顎を…もう片方の右手で優しく掴み、”グイっ”と持ち上げる
そして、まるで絵画を鑑賞するように、視線を落としていく
やわらかい糸のような髪の毛、透き通るような額、綺麗な形の眉、長い睫毛、きらきらした眸、すっと通った鼻筋
そして潤んだ唇…
甘ったるい顔したその男が、じっくりと美しい女を堪能していくのだ
ウンスのひとつ、ひとつを十分に楽しんだ後、満足そうに微笑んだ
チェヨンは顔をそーっと近づけていく
上目づかいで呆れた表情で見上げる、その女性(ひと)の唇をめがけて…
俺は飢えていたんだ
知ったことか
そう心の中で笑い
ぱくっとそれをひと噛みした
子犬を拾ったと思っていたら、そいつは盛りのついた雄犬だった…
「後悔は先に立たず」
そして、ろくでもない物を拾ったと、ウンスはえらく後悔したのだとか…
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乙女の萌え萌え「壁ドン」の次は「顎グイ」ブームらしいです
ネットでそんな記事を見て書いてみました
で、どうせならってことで「壁ドン」&「顎グイ」で…
1、壁ドンオンリー
2、顎グイオンリー
3.壁ドン&顎グイ
4.日替わりで楽しみたい…
みなさんはどれがいいですか???
(4番の声がいくつかメッセージで寄せられて増やしました(笑))
私りおは日替わりがいいな… (+o+)
あ、ちなみに明日に続きます…
多分、アメ限定記事の”フランクフルト”ばりにみなさんが呆れる展開になります…
やきゅう拳の黒よん、ぬくぬくへの道、SとM、大護軍の嗜好品…最後が決まってない作品が多すぎますね…
連続もの結構時間かかるんです…
そしてなぜか連続ものより、さらっと書いた短編のが「いいね」の数がダントツ多い…
ちょっとへこみ(笑)
多分書いている時間6倍くらい違う…
で、仕事がもう少し落ち着いたら、書いて行かねばと思っています