三面六臂(さんめんろっぴ) | ティル・ナ・ノーグ Tir na n-Og
ちょっと話が逸れますが、一応闘病記です

阿修羅


三面六臂……由来は「阿修羅像」とされる。時は大きく遡って奈良時代710年、平城遷都に伴って建立された興福寺に寺宝として造られた(現在は国宝)。一昨年は遷都1300年を記念して「国宝阿修羅展」が開催され、多くのメディアから注目を浴びる。

3つの顔に6つの手(臂は肘の意)。これがその意味を為す。そもそも阿修羅は釈迦に仕える身であったため、多忙であった。その激しい仕事の残像がこのような形として捉えられたとも云われる。現在はその姿を模して四字熟語にも使われるようになった。


───
運命の診察時間になり、私は近況を事細かに伝えるとともに、主治医に単刀直入に言いました。

「先生。私は4月から学校へ通っても大丈夫ですか?」

心のどん底に落ちたことも、そこから浮き上がったことも、全部知っている。だからこそ、進退は主治医にゆだねました。家族は後ろで待機して、ただただ私と主治医との話を聴いていました。もう既に主治医から下される判断は知っていたのかもしれない。笑いもせず、哀愁を漂わせることもなく、冷静に聴いていた。

「あなたはよく頑張りました。辛いこともあったでしょう……しかしこうして何かやりたいことを見つけ出せたのですから。自分で思えるようになったということは、暗がりから灯りを掴んだ。あなたにとって、そして私にとって非常に喜ばしいことです」

ふと、初診でこの医師に掛かったことを思い出しました。あの頃は今よりも根暗で泣き虫で、自殺願望も消えていませんでした。そこから何十回と問診を行う中で、今こうしてちょっとした光を掴むことができた自分を、誰が想像したでしょうか。

「あなたをサポートする人はたくさん居ますよ。だから自信を持って、通学して下さい!私はあなたが快適に通学・勉強できる様に全面的にバックアップしますから」

毒が抜けた。身体中の悪いところから全部。小さな事だけれども、一つの願いが叶った瞬間。私はただただ深々と一礼する事しかできませんでした。


その後は家族を交えて懇談。入院は少し延びて22日までとし、今日の夜から減薬を試みるそうです。突然の減薬で体調がおかしくならないように、ほんの少しだけの減薬・・・。退院したらいつもの病院へいらっしゃいとのことでした。
ただし最後までこの独居房を使うようにと釘を刺されましたが


久しぶりに施設の駐車場(外)へ行きました。海からの強風で何度か煽られました。身体はだるんだるんなのに(笑)



主治医はこうも言っていました。

「病気と闘いながら、将来への希望を手に入れて、それが役に立てば多くの人をサポートできる。三面六臂みたいだ」

決して人の数倍努力して頑張りなさいと発破をかけているとか、多種多様な才能があるとかではなく、自分のことで精一杯のはずなのに他人をも手を差し伸べることに対しての期待を込めた一言だと思います。

まだ進路が完璧に定まった訳ではありませんが、今日だけは自分を評価してあげて、それを糧にできれば満願成就も同然ですよね!(←調子に乗りすぎた…)


あぁ、長い一日でした。今日は良い夢を見れそうです──