生前、父が言い残した理想がある。
何故私にだけ言ったのか解らない。
私にだけ言ったのに『この家はお母さんにあげるんだから、お前たちは自立して出ていきなさい。』だった。
たしか弟にも伝えたがどこふく風。
私はそのまま考えて無理して子ども達連れて外に出た。
一旦落ち着くと変化に弱く動けなくて。子ども達の環境が変わる事も就学期は宜しくないと考え。
送られてきた実家の改装写真。
私の部屋は住んでいる時から段々物置にされて。
居づらくなったのも事実。
なぜ実家の写真を送ったのだろう?
父の命を賭けた努力は(病気になってローンを繰り上げ返済した)
あの言葉は、
真には何を意味していたんだろう…
私には『逃げろ』とも聞こえたんだ。
まだ真意が見つからなくて思いを馳せる事しかできなくて、
それでもまだ解らないまま、
ただ信じて実行してる。
この家に住んだのは、五年…あったかな…
だから実家なんだけど、実家じゃないようで。
どうして私は帰らないんだろう…?
きっと可愛げ無く映るんだろうね。
泣き付かないから。
ま、一言誰かと住むのは嫌だ、と、どこふく風で帰ってきた弟だけが、これまた気にせず戻って来たんだけど。
私は衝撃を受けた言葉が強く脳裏に刻まれる。
SMAPの中居君が演じたATARUの様に、
言葉を信じていい人の『アップデート』を聞かないと更新されない。
どれもこれも、あっちもこっちも、てんでバラバラで、
何なら責任を追うのが嫌なのか、
調べてみたら違っている回答が然るべきところから返ってくる。
けれど実家とどうするかは正解が無い。
そう思う私と、何が頑強な正解があってそれに準拠する実家とは、全く相容れない。
親は絶対だ、と言いながら、
状況依存の子どもの将来を想う判断は何も無かった。
私はいくら尽くしても、真には子どもの事より自分だけだった親に、
もの心ついた時から幻滅してて、
もしかしたら父の言葉を偶然の免罪符として生きているのかもしれない。
だから実家はまあまあそこそこなのかもしれないけれど、
直系の子どもだけど、
どちらの親族にも馴染めて無いし、
何故か連絡を取るのを嫌がられて、
最早親族でも無い感覚。
…私はボウフラじゃ無いんだけどな。
でもボウフラは水辺に産んで貰える。
私はボウフラの環境も与えては貰えなかった。
何だか笑えてきた。
実家は実家らしく建っている(笑)
見栄えは良いかもしれないが、
もぬけの殻(笑)
機能不全家族(笑)
獅子じゃないのにエベレストから裸で突き落として。
勝手に出ていったと信じてる。
サバイバーズギルトなんて知らないだろうな…。
てなわけで気持ちをリセットしたくて、実家だけど実家ではないような(笑)写真を載せてみました。
事実送られてきた時も自分の記憶の為には保存したけど、
心のシャッターは切らなかった。
立派な墓もあり、仏壇もあり、毎月命日にはお寺さんを呼ぶ事を欠かさないけど、
父の心はそこにあったのかな…
意識が混濁していた父は蚊の鳴くような声で、
付き添っていた伯母達に、
『ねぇちゃん…かえりたい…』と言った。
伯母が母の怒りを買いつつ分骨して田舎にも一部眠ってる。
父の最期の願いが叶えられた。
早くに別れた実母のところへ還った。
私はそれでいいと思ってる。
ただ娘を意識した時、父が成人してから形成しようとした家族は、虚像だった様な気がして。
別段それでも構わないと心から思ってる。
父を想う時本当にそう想う。
ただ、自分に意識を持っていった途端、
現世では私の存在や自我が虚像がいい気がして、
どうにも浮遊する。
つまり…全く思考は停止して解らなくなる。
存在そのものが虚無感でいっぱいなんだ。
だから訳が解らなくなりたい衝動が常にある。
それらを成立させたいんだと思う。
森羅万象の然るべき理と同化したいんだと思う。