「辛い」というのは味覚では無く体性感覚。食べると「辛い」唐辛子のエキスを、皮膚に塗ってみると「熱い!痛い!HOT!」と感じる。唐辛子の中に含まれる「カプサイシン」がこの正体。
カプサイシンの受容体は、体性感覚を含む複数の感覚で重要な役割を果たす「イオンチャネル分子群」のひとつ。
イオンチャネルとは細胞膜に存在して、刺激に応じて細胞の外から中へ(あるいは反対に)イオンを通すたんぱく質の事。
ナトリウム、カリウム、カルシウム、塩素イオンなど、チャネルごとに特定のイオンを通す。皮膚の感覚神経末端のチャネルが開閉するとイオンの流入が起こり、細胞の興奮が調節される。
カプサイシンが結合するイオンチャネルは「TRPV1」と呼ばれる。「熱さ」と「痛さ」を受容する神経の末端に存在する。
カプサイシンが結合するとこのチャネルが開き、ナトリウムイオンが流入し、神経が強く興奮、私たちは熱さと同時に痛さを感じる。
このTRPV1チャネルはカプサイシンの受容体であるはかりではなく、温度センサーとしての役割もあり、温度が摂氏43度以上になった時にも開き、神経を興奮させる。
TRPV1と構造がよく似た多くのチャネルが見つかり、総称して「TRPファミリー」と呼ばれている。ファミリーの他のメンバーは、それぞれが異なった温度に応答する事が判明してきた。
例:「TRPV2」⇒52度以上の「すごく熱い」という感覚をつかさどる。
「TRPV3」⇒36度以上の「温かい」という感覚をつかさどる。
「TRPM8」⇒28度以下の「涼しい」という感覚をつかさどる。
「TRPA1」⇒17度以下の「冷たい」という感覚をつかさどる。
このうち「涼しい」を担当するTRPM8は、TRPV1と同じように食べ物にも反応し、ハッカに含まれる「メントール」によっても活性化され、「冷たい」を担当するTRPA1は、山葵の主成分「イソチオシネアネート」によって活性化される。
唐辛子と山葵の辛さの違いは、このように、その情報を伝える神経回路が、それぞれ「熱い」「冷たい」という事なった温度感覚に反応するTRPチャネルから脳へ繋がっていることによって生じる。
これにより、山葵の辛さに、どこか冷たさを感じる。
さらにTRPチャネルファミリーは、体性感覚以外の感覚でも重要な役割を果たす。味覚のうち、甘味・旨味・苦味のシグナル伝達には「TRPM5」、酸味の水素イオンチャネルとしては「PKD2L1/PKD1L3」が働いている。
また、マウスなど哺乳類のフェロモン情報伝達には「TRPC2」が、昆虫の視覚では「TRP」というメンバがそれぞれ働いている。
このように生物のさまざまな感覚に、TRPイオンチャネルファミリーは必要不可欠な分子群である。
☆*゚ ゜゚* 以上「岩波ジュニア新書:脳科学の教科書~神経編~」pp.117-120より引用 ☆*゚ ゜゚*
以前、知人から、子どもの試験時期に脳の活性化のために唐辛子を多用したカレーを自作して職によって応援している、と自慢された事がありました。
どうにも腑に落ちなかったのは、私に、その人からのこのイオンチャネル、つまり唐辛子でいうところの、「TRPV2」⇒52度以上の「すごく熱い」という感覚をつかさどる。の説明も無かったので、判定する知識が無かったという事を指している事が解りました。
この引用部から更に踏み込んで、体性感覚において「すごく熱い」「痛い」「辛い」という脳内の感覚刺激と、学習力(集中力・持続力・読解力・応用力・洞察力・推察力・・・その他)との相関関係(関係性)の知識が私に無かったのと、
その人からの論理的学術的科学的知識の説明が無かったために「ふ~ん・・・どうしてカレー?」くらいにしか思わなかったのだと思います。
宗教的な話をするつもりはありませんが、医学は医術とも言えると思います。学問も学術と言います。それ故、これらの「術」は技術でもあるので、その技術(腕)が良くないものは、私は信用しません。
丁度、自分の発達障害は脳科学(神経構造やこころ:機能・伝達物質の科学的解析と理解と応用)のどこに影響があって、どこをどう知識獲得することによって、生きづらさが軽減され、社会制度・行政機構に説明でき、自分への適切なフォローを掴み取る事ができるのか、勉強をし始めていた所にカプサイシンの話が出て来たので、
正論でもないし、根拠もないアプローチだと解って、「自分はそのように子どもに食事を作っていない事実から自責するに値しない」という判断が出来るようになりました。
そうするといわれのない、勝手な憶測や、今の時代にそぐわない風習などを理由に、理不尽な事を言われても、臆することはない、自責することはない、という確信や自信が育ちます。
その人が何を信仰しようと自由だと思います。
ただし、それを押し付けたり、利用して商売しないでね、
というだけの事です(笑)
大学の研究室は、商売が出来ません。してはいけない法律です。たぶん国立大は縛りが強いと思います。
それ故、企業側は、よく研究室に足を運びになります。
どこまでを話していいか、よくないかを、知って制御出来る力が必要です。
だから私は、どうせ生きるなら向上したいので、学びには敏感です。
好奇心も相まって、だと思います(笑)