ピー、プー!

ん? 優しいピー、プー・・・

かすかな、音量・・・


そうだ、そうだ、お向かいの奥さんだ!

「オカリナ始めて。 だから練習してるから、変な音が聴こえたらごめんね。そうっと吹くから。」

『何をおっしゃいますのん! いいですよ、いいですよ。 オカリナの音色はやさしいですもん。 いくらでも吹いちゃってください。 練習ですやん、堂々と練習して下さい。』

奥さんは、四国から出て来ました。苦労して働きました。小さな家族を持ちました。男の子二人。

弟君荒れ放題。時々大きな声も聴こえます。奥さんのおっしゃることごもっともです。稚屈な甘え方を強烈にする弟君。

放っておけない、世間さまに出せない、そうして不祥事の責任を親として取っておられるようです。

詳しくは知りません。喧嘩のセリフから、そう思っただけです。私もそれ以上は聴きません。当たり前です。

奥さん、ご近所の事も一生懸命。

・・・あ、がっちゃん歌いだした!!! 

ある一定の音程以上になると、がっちゃん、反応します♪

ふにゃふにゃ、歌ったり、わおーん、って歌ったり・・・

静かに待とう。

慌てないで待とう。

本当にビックリする事ばっかりだよね。

奥さんの練習する、オカリナの音、癒される。

拙いからこそ、癒される。

絵手紙と似てるよね。

下手でいい、下手がいい、っていうもんね。

人はつい、上手になりたい、どうせやるなら最後まで、とか、どうも肩に力が入る、っていうか、

力むっていうか、自分を追い込むっていうか。

温かい飲み物を欲しているのは私かもしれない・・・。

あ・・・園長先生の葉っぱの笛、思い出した。

似てる・・・ピー、プー・・・

声も、笛も、息だよね。

息。

楽器屋さんでクラリネット、管楽器をするお姉さんに聴いたんです。

『息、って、自分の心って書くでしょう? だから、心の在り方が出るんです・・・って。』

アンプラグド、って、そうですよね。

ホント、そう思う。

風の音。

さわさわ葉っぱの音。

オカリナの音・・・癒しの音楽だ。

きゅ~ん・・・

あ、これは呼んでる声。

がっちゃん、遊ぶかっ。

そうして、待とう。

学校からの連絡。