ジョルジオ・ペトロシアン…

アルメニア移民イタリア国籍

K-1MAX最盛期には「神の目」とも評されたサウスポー。

その強さはK-1MAX、いや階級全てをひっくるめたK-1に出場した選手の中でも最強だったのではないだろうか?

軸のぶれない構えからの打撃、神の目と呼ばれるに相応しい動体視力…

仮に試合が実現していれば、恐らく魔裟斗氏ですら敗北していただろう。

 

だがそんなペトロシアンにも敗ける日はやってくる…

アンディ・リスティは恐らく私の知る限りでは当時はまずお目にかかれないスイッチスタイルの選手で、打撃が型にとらわれていない。

ペトロシアン程の動体視力でも来る事が見えない、理解できていない攻撃は避ける事ができなかった…

試合後のGONGのインタビューでアンディ・リスティは「ペトロシアンは全ての攻撃に反応する。フェイントにすら反応するんだよ。」みたいな感じの事を語っていたのを覚えている。

 

その後のペトロシアンについては最前線で試合をせず、明らかに自分より弱い選手と戦っていた印象が強い…

あれほど強かったペトロシアンが一度の敗けで安全運転に走るのかと正直失望していた。

最近の試合でも動きは全盛期に比べるとモッサリしており、ペトロシアンはこのまま強い相手と試合せずに終わるのか…

そう思って興味を無くしていた時に今回の試合が決まった。

 

チンギス・アラゾフ

ガルダバニ出身ベラルーシ国籍

現在のK-1に参戦、スーパーウェルター級王者。スイッチスタイル。

変幻自在のスイッチから繰り出される前手・後手・前足・後足からのどの打撃が弱打・強打か判別できず、対戦相手を幻惑し前手のショートフックを合わせてKOする「欧州の覇王」…

正直現状の規模のK-1に毎大会参戦するレベルの選手では無く、1年に1回日本に来てくれるだけでも感謝するレベルの選手だろう。

 

 

弱点としては至近距離。

個人的にはスイッチスタイルは中間距離で最も優れた技術だと考えているが、至近距離に押し込まれるとなまじスイッチの意識があるせいか対応できない事が多い。

アラゾフについては組み付きになる事が多く、メルヴィン・マヌーフの甥との試合では勝利はしたものの組み付いた状態からの左フックでダウンを奪われている。

 

正直試合が決まった時には全盛期のペトロシアンならともかく、今のペトロシアンにチンギス・アラゾフが敗ける訳が無いと感じた。

ペトロシアンの明らかに多用する「体ごと突き出す様な単発左ストレート」。準じて多様する「左ミドル」。

これにアラゾフなら対応するだろう。その上でアラゾフのスイッチスタイルの打撃をペトロシアンは対応できないだろう。

それが戦前の私の認識だった。

 
試合前のグローブタッチ。青コーナーのチンギス・アラゾフは赤コーナーのペトロシアンに対して左手を上げ上から合わせようとする。

1R:10-9(ペトロシアン)

アラゾフのオーソドックスの左前蹴りからスタート。続けてアラゾフの左ジャブ→クイック左ロー。
今度はペトロシアンの左ストレート→クイック右ロー。アラゾフはローをやや貰ったか。
逆にアラゾフの左フック→右アッパー→左ストレート。ペトロシアンは全て躱している。
アラゾフのクイック左ロー。これすらペトロシアンは貰わない。
更にアラゾフのダブルの左ジャブ→左ヒザを上げるフェイントからの左フック。ペトロシアンは流石に避けれずにガードで対処。
組み合いで若干打ち合いになるが、双方貰わず最後はアラゾフの左ロー。
アラゾフがトリプルの左ジャブ→クイック左ロー。そこにペトロシアンが左ストレートで飛び込んで右ジャブを当てようとするも、アラゾフはバックステップで対処。
ペトロシアンの左インローにアラゾフはクイック左ローを返す。ややペトロシアンの体が流れる。
アラゾフがまたもトリプルの左ジャブ。その三つめにペトロシアンは覆い被せるように右ジャブをヒット。逆にアラゾフは右ストレート→前に進みながらの左ジャブをペトロシアンにクリーンヒット
アラゾフはダブルの左ジャブ→右インローを打つもペトロシアンはバックステップで対処。
続けてアラゾフはクイック左ロー。それに合わせるように左ストレート。
ここでアラゾフはサウスポーにスイッチしながらの右フック→左フック→右フック。こんな大振りではペトロシアンには当たらないだろう。この後オーソドックスにスイッチ。
ペトロシアンが左ストレート→右フックから入るもアラゾフはバックステップで回避。逆にクイック左ミドルを当てる。
アラゾフの右ボディブローは当たらない。続けての右ハイはガードで対処。ただアラゾフは右脚を下ろすタイミングでサウスポーにスイッチ。
ペトロシアンは左ローを合わせるもそこにアラゾフは右フック。これもペトロシアンはガードしている。続けてアラゾフの左ミドルをペトロシアンはバックステップで対処。またアラゾフはオーソドックスに戻す。
アラゾフのダブルの左ジャブにペトロシアンは飛び込みながらの左ストレート。アラゾフは躱しサウスポーにスイッチしながらの右フック。この動きで互いにバッティングになった。
再開後アラゾフの左ジャブ→ペトロシアンの右の前手を払う用途の左。直後にスイッチし右ジャブ→右インロー→左ストレートを打つフェイントからの変則的な左サイドキック。
ペトロシアンは左ストレートに反応し、左ローを返している。アラゾフはオーソドックスに戻し左ミドル。ペトロシアンは躱している。
ペトロシアンの左ミドルにアラゾフは右フックを返すもペトロシアンはガード。日菜太戦で魅せた左のショートフックを出さないのは左ミドルに返す想定をしていないからだろうか?
アラゾフの左ジャブにペトロシアンが左ストレートを合わせるも、アラゾフは躱し右フックを打つもペトロシアンの左ストレートは飛び込みながらのモノであり、組み合う形になる。
ブレイク後アラゾフの左ジャブ→左インロー。左インローにペトロシアンは左ストレートを返す。これにもアラゾフは右フックを返そうとするが先程と同じで組み合いになる。
ブレイク後、アラゾフの叩くような左ジャブ→右ハイにペトロシアンはまたしても左ストレートを返す。
ここにアラゾフが左フックを合わせるがペトロシアンはガードしている。
ペトロシアンの左ストレート→右ジャブ→左のテンカオから打ち合いになるがやはりアラゾフのパンチは大振りで当たらないで組み付く展開に…
ブレイク後、アラゾフの左ジャブ。
一呼吸置いて左前蹴りをペトロシアンが掴みこかそうとするもアラゾフは踏み留まり、サウスポーの状態から右フック→左フック→右フック→左ローと連打を出すもペトロシアンはバックステップで対処。
アラゾフの左ジャブにペトロシアンは引っかける様な右フックで右に回り込み、また左ストレート→左テンカオを打つも組み合う展開になる。
ブレイク後、アラゾフの右ハイ→右インロー。ペトロシアンは左ミドルを返しアラゾフは右ボディフックを返すもペトロシアンはバックステップで対処。その後にペトロシアンは左ストレートで飛び込み、アラゾフは右フックを返そうとするもまたしても組み合う展開。
またまたブレイクとなり、アラゾフの左ローにペトロシアンが踏み込みながらの右ジャブ→左ストレートにてダウン奪取。会場大歓声。
スローで見直すとこのダウンの時のペトロシアンの右ジャブはアラゾフの後頭部を巻き込む様な形になり、左ストレートは額に当たっている。ダメージは無くこのダウンはフラッシュダウンだと思えるが、もしこのダウンが無ければクリーンヒットがありややアラゾフのラウンドかもしれない。
ただここは10-9ペトロシアンだろうか…
 
2R:10-9(チンギス・アラゾフ)
アラゾフは相変わらずオーソドックス、左ジャブからのスタート。左回りのペトロシアンに連打を打つも当たらず。
アラゾフもまた左回りに動き左上段前蹴りも当たらず。やや互いに手を出さない状態からアラゾフの右インローがヒット。ペトロシアンは少しバランスを崩す。アラゾフの左ジャブの打ち終わりにペトロシアンが右ジャブを合わせようとするがアラゾフは躱し組み合う。
離れた後、ペトロシアンがアラゾフの左前手を叩き落としながら飛び込む左テンカオ。対するアラゾフはサウスポーにスイッチし左フック→右フックと振るうもペトロシアンは容易く躱す…凄いな。
アラゾフのクイック左ロー→大振り右フック→左ハイもかわすペトロシアン。
今の左ハイ躱すか普通。モーションあれば躱すなこれは…
アラゾフはオーソドックスに戻す。
ここから組み合う展開が少し続き、アラゾフの左ジャブにペトロシアンが左インローを返しアラゾフは左ジャブ→大振りの右フックを返すがペトロシアンは躱す。
アラゾフはスイッチして左アウトロー、これはペトロシアンはそのまま喰らった。ここでペトロシアンは踏み込みながらの右フック。
組み合いでそのままペトロシアンの右テンカオもこれは当たりが浅いか…
離れ際にアラゾフの左ハイもバックステップでペトロシアンは躱す。
そこからやや小康状態になるが仕掛けるのはやはりアラゾフ。左ジャブ→右ストレート→ヒザを上げるフェイントからの右ハイはガード。ペトロシアンの左ミドルにアラゾフの大振りの右フック。距離を潰して当たらない。
アラゾフはクイック左ハイ。ペトロシアンは前に詰めるがこの攻撃は予期していなかった様に見える。
アラゾフはそのままサウスポーにスイッチした状態から右のヒザを上げるフェイント→左ミドル。そのまま右ジャブ→オーソドックスにスイッチした所にペトロシアンは左ミドル。ペトロシアンは再びサウスポーにスイッチしボディーに右フック→左フックと狙うがペトロシアンはバックステップで躱し右ジャブ。
アラゾフは後退しながら再びサウスポーからオーソドックスにスイッチ。ペトロシアンの右ジャブ。アラゾフの右ハイ。ペトロシアンの左ミドルにアラゾフが右インローを返す。そこからまたしてもペトロシアンの飛び込みながらの左ストレート、組み付き。離れ際にアラゾフが左フックもペトロシアンはもうそこにいない。
アラゾフが右ミドルもこれは当たりが浅い。
ペトロシアンがやや飛び込みながら右ジャブ、アラゾフが左ジャブを返すも右回りに避けるペトロシアン。対峙する状態になりアラゾフが左ヒザを上げるフェイントでサウスポーにスイッチした所にペトロシアンが飛び込むも組み付いてしまう。ブレイク後にアラゾフはサウスポーにスイッチ、しばし攻防が続くが互いにまるで当たらない。終盤も打ち合う展開になるがまるで貰わない。
このRは攻勢を取ればどちらかと言えば10-9でアラゾフか…
気になる場面としてはアラゾフはペトロシアンの左ストレートを貰ってはいないが頭を下げて直撃を避けている。これはこの間の西京春馬の左ストレートを避ける際の朝久裕貴の動作を思い出すが、当たってもダメージは無いが、見ている側からすると当たっている様に見える気がする…印象的には拮抗したRでは良くないかもしれない。
 
3R:10-9(チンギス・アラゾフ)
アラゾフはまたオーソドックスからのスタート。アラゾフの左ジャブ、ペトロシアンの右ジャブが軽く当たる。アラゾフがダブルジャブ→左顔面前蹴りを狙うがペトロシアンは難なく躱す。
続けてアラゾフの右インローにペトロシアンは左ストレートを合わせるがアラゾフはガードで対処。ペトロシアンの左ミドルにアラゾフが右ストレートを返すがバックステップで回避。続けてアラゾフの右ハイはペトロシアンがガードで対処。ここでアラゾフはサウスポーにスイッチしペトロシアンに左ロー。ペトロシアンの体がやや流される。そのままアラゾフは左ローのフェイントから左フック→右ボディーフック→やや変則な左ハイを打つもペトロシアンには当たらず。
次にアラゾフの左前蹴りにはペトロシアンが左ストレートを合わせ当たってはいないがアラゾフがやや後退する。会場大歓声
ここでアラゾフはスイッチしオーソドックスに。アラゾフはそこから左フックを打ちながら左に回り右ミドル、ペトロシアンはガードで対処。
今度はペトロシアンは左のオーバーハンドを打つも逆に前に出て左フックを打とうとしたアラゾフと組み合う展開になる。離れた後に前に出て両手で崩そうとするペトロシアンにアラゾフは前に出て左ジャブ→右フック。そのままサウスポーにスイッチし大振りの左フックを打つがペトロシアンは距離を潰し対処。アラゾフは尚も追撃の右ジャブを打つがペトロシアンは躱す。
ここでアラゾフはオーソドックスにスイッチ。ペトロシアンの左ミドルにアラゾフが大振りの右フックを返す。その後のアラゾフの右ハイもペトロシアンはガードで対処。ペトロシアンの左ストレートをアラゾフはガードするが、ペトロシアンは右側から回り込み右フック。ややバランスを崩した所にペトロシアンは左フックを打つ。会場大歓声。これにはアラゾフもスイッチしながら右フックを返す。これは躱されるが直後の左ローは当たる。
少し間が空きアラゾフは再びオーソドックスにスイッチ。左ジャブ→右インロー→右ハイと繋げるもペトロシアンは右インロー以外はガードで対処。今度はペトロシアンが左のテンカオで強引に入ってくるが、アラゾフは左フック→右フック→左フック→右フックと連打で攻めるがペトロシアンは躱す。自分から入ってきて返されても軽やかに躱すな~ペトロシアン…
ここでアラゾフは後退しながらのスイッチ。そこにペトロシアンの相変わらず飛び込みながらの左ストレート→右フックと打つが、アラゾフは後退し躱す。距離感の違和感に気付いたかペトロシアンは前手を伸ばしながら後退。アラゾフは左ミドルを打ち、再びオーソドックスにスイッチ。アラゾフの軽い左ジャブにペトロシアンが左ストレートを被せようとするも左腕に遮られる形になり当たらず。
ペトロシアンが左ミドルを打つもアラゾフは抱え込み右ローを返す。一旦間が空きオーソドックスに戻したアラゾフの右ミドルにペトロシアンが左ストレートを返すもアラゾフには当たらず。アラゾフのクイック左ロー。続けてアラゾフの左ジャブ→右インロー→クイック左ロー。ペトロシアンは右インローをカットする動作が見られる。アラゾフはやや伺う様に手を下げ、右前蹴り。そのままサウスポーにスイッチし、右ジャブを出しながら前進するもペトロシアンはバックステップ、サウスポーからの右前蹴りも当たらず。逆にペトロシアンが左ストレートで前進もアラゾフは距離を潰し当たらず離れ際に右ミドル。
ブレイク後オーソドックスに戻したアラゾフは変則な右ハイ、ペトロシアンは左ミドルを返すも逆にアラゾフはクイック右ローを返す。ペトロシアンがワン・ツーで前に出るもアラゾフは距離を潰し、右ミドルを返す。
一旦距離が離れアラゾフが左ジャブから様子を伺い、左前蹴り。ここはペトロシアンが先程とは逆に足を掴み左ローを蹴り込む。
アラゾフの右インロー、ペトロシアンは右フックから入るもアラゾフは距離を潰し左側に回り込みながら右フック。そのままサウスポーにスイッチして左ロー。ペトロシアンはやや後ろから受ける形になる。ここでアラゾフはオーソドックスにスイッチ。そこにペトロシアンは左ストレートで飛び込むもアラゾフは距離を潰し組み付く展開。ここでアラゾフは右ミドル。逆にペトロシアンが左ミドルを打つもアラゾフは右インローを返しペトロシアンはややバランスを崩す。
ペトロシアンは左ストレートから入るもアラゾフは距離を潰し右フック。これは大振りで逆にペトロシアンはコンパクトな左フック。そのまま組み合う展開となる。
ブレイク後ペトロシアンが大振りの左フック、右フックで入って来る。アラゾフはガードで対処し右フックを返すがペトロシアンはかわす。
そのままアラゾフは右のバックスピンキックもペトロシアンはガード。ここで初めてアラゾフは単発の右ストレートを打つもペトロシアンはバックステップでかわす。そのままアラゾフはサウスポーにスイッチ。ペトロシアンは右前蹴り、アラゾフは飛び込みながら大振りの右フック→左フック。そのままオーソドックスにスイッチし右インロー。そして左フック→右フックと打ちながらサウスポーにスイッチ。そのまま左ローを打つが、ペトロシアンは強引に右フック→左フックを振るい前進。アラゾフは躱し右ミドル。ペトロシアンも躱しながら右インローも逆に逆に左ローを返し3Rが終了。両手を上げるアラゾフ。
互いにクリーンヒットは無いが、攻勢を仕掛けたアラゾフのRの様に思える。蹴りではアラゾフの方が良い。
 
4R:10-9(ペトロシアン)
アラゾフは最初は絶対オーソドックスなんだな。
3Rと同じアラゾフの左ジャブ、ペトロシアンの右ジャブが合わせられスタート。
アラゾフの右ミドルにペトロシアンは左ミドル。そこにアラゾフは右インローを返す。
アラゾフの左ジャブにペトロシアンは左ミドル。そこにアラゾフは右インローを返しペトロシアンの体がやや流れる。
やや見合う展開がありペトロシアンの右前蹴り。アラゾフは軽い右インローから右ストレート。ペトロシアンは後退して躱す。
アラゾフの左前蹴りはペトロシアンに躱される。そのままペトロシアンはやや大振りの左ストレート、アラゾフは右フックも互いに当たらずそのままアラゾフが後ろに下がる。
前手を出しながら追いかけるペトロシアンにアラゾフは右インローからサウスポーにスイッチしてクイック左ロー。その状態で顔面左前蹴りもペトロシアンは躱す。アラゾフはスイッチしオーソドックスに戻す。
ペトロシアンの左インローにアラゾフはクイック左ロー。ペトロシアンが右ジャブを伸ばしながら左ストレート、アラゾフは距離を潰し躱し左フック→右フック。ペトロシアンは右フックを出すもギリギリアラゾフは躱している。そのままワン・ツーで前進するペトロシアンにアラゾフは左フックを返す。尚もペトロシアンは前進しワン・ツー→右フック→左ストレート→左テンカオ。アラゾフは右フックを返す。クリーンヒットを喰らった訳では無いがここに来てペトロシアンの連打の印象が良い。
更にペトロシアンは右ジャブ→左ボディーストレート。アラゾフは左フックを返す。そしてペトロシアンの右フック→右フック→左ストレートにアラゾフはここで右ハイを返すもアラゾフは右のテンカオ。アラゾフは左ローを返す。
一度距離は離れペトロシアンのショートの左ストレートにアラゾフは組み合いながら右アッパーも巧く当たらない。尚も前進してワン・ツーのペトロシアンにアラゾフは組み付き、後頭部にパンチを振るう形になる。
ブレイク後にアラゾフのインローもジワジワと前に出てくるペトロシアン。ペトロシアンの右前蹴りはアラゾフが捌き、ペトロシアンに右ジャブにアラゾフが右ストレートを返すも躱すペトロシアン。
アラゾフはスイッチしてサウスポーになりながらの左ロー。ペトロシアンはカウンターで左ストレートを狙うもアラゾフは躱す。
アラゾフの前に出るフェイントにペトロシアンは中途半端な右ジャブ、そこにアラゾフの左ロー。アラゾフのスイッチを交えたローは流石のペトロシアンも反応できないシーンが目立つ。
アラゾフは再びオーソドックスにスイッチし前に出るも組み合う展開になる。
離れ際にペトロシアンの左フック→右フックダブル→左ストレート、アラゾフはガードしながらの右インローを返しそのまま右ハイ。ペトロシアンは右ミドルと思いカットしようとするが顔面のガードも怠る事は無い。
ペトロシアンの飛び込む左ストレート、そのまま組み付く展開。離れ際にペトロシアンはバランスを崩す程の強振の左フック→右フック。会場大歓声。
やや距離が開きアラゾフの左ジャブにペトロシアンは左インロー、アラゾフは右ストレートを返しながらサウスポーにスイッチし左ロー。
アラゾフはオーソドックスに戻す。
ペトロシアンの左前蹴りにアラゾフがショートの左フックを打つもペトロシアンは躱す。
ショートの左フックを不安定な状態で躱しやがった…
そのままアラゾフは大振りの右フックも距離が潰れており当たらない。そのまま組み合いまたしてもペトロシアンは強振の左フックを狙うがそこはアラゾフが躱し、クイック左ミドルを返す。
アラゾフの右ミドルにペトロシアンが左ストレートを返す。アラゾフはスウェーし、そのまま右ストレート→左フック→右ストレート。
これも紙一重でかわすペトロシアン。バランス崩したまま躱してる。ありえない…
距離が一旦離れペトロシアンの右前蹴り、後ろに飛ばされたアラゾフはやや不安定な体勢ながらワン・ツー、サウスポーにスイッチしながらの左ロー。アラゾフがオーソドックスに戻した所にペトロシアンはダブル右ジャブ→左ストレート→右フック、尚もワン・ツーで攻める。
ここで組み合うがアラゾフが強引に振りほどき左ロー。更にアラゾフはヒザを上げるフェイントからサウスポーにスイッチ、手を伸ばしながら左フック前→左ミドル。ペトロシアンは左ミドルを掴み左フックを打つが当たらずまたしても組み合う。
ブレイク後アラゾフの右ストレートにペトロシアンは左フック→右フック→左ストレート→右ジャブ→左ローと連打を打つ。アラゾフは大振りの右ボディーフックを打つも当たらず。
アラゾフの右インローにペトロシアンは右前蹴りを返すが両方当たらず。
アラゾフの右ミドルにペトロシアンは左ストレート、アラゾフは顔を下げて躱し組み合いになる。
離れ際のペトロシアンの左ストレートもアラゾフは躱し右インローを返す。互いにジャブは当たらずアラゾフの右ミドルはペースに当たる。逆にペトロシアンの左ミドルにアラゾフは大振りの右フックも当たらず、そのまま組み合いやや攻防あるも互いに当たりは浅い。
相変わらず手を上げて引き上げるアラゾフだが、このRは明確に連打で見せ場を作ったペトロシアンのR。
 
5R:10-9(チンギス・アラゾフ)
このRは10秒近く見合う展開からペトロシアンの右前蹴り、アラゾフは右ハイを返す。ペトロシアンの左ミドルを掴んでアラゾフが左ローを蹴ろうとするがペトロシアンが後ろを向いて距離を取る。
距離が縮まりアラゾフの右インロー、そのままサウスポーにスイッチ。ペトロシアンのワン・ツーをアラゾフはバックステップで対処。ペトロシアンの右前蹴りにアラゾフは右フック→左ミドル。ややバランスを崩したペトロシアンを追いかけアラゾフは右ミドル→右ハイ。ペトロシアンはガードで対処。
アラゾフの左ジャブにペトロシアンは左ストレートを打つが組み合いになる。
ブレイク後にアラゾフの左前蹴りをペトロシアンが掴むが追撃は出来ず。
ペトロシアンの右ジャブにアラゾフは変則な左フックを出しペトロシアンは反応が遅れるが当たらず。逆にペトロシアンは左フックを打つもアラゾフは躱す。双方フックの打ち合いも距離が近すぎて当たらずそのまま組み合いになる。
ブレイク後アラゾフの右ハイをペトロシアンはスウェーで躱しロー。アラゾフはサウスポーにスイッチするがすぐにオーソドックスに戻す。左右のヒザを上げながら前進して距離を潰しに来るペトロシアンにアラゾフは右ストレートもこれは当てる為の用途では無いか、ペトロシアンは左ミドル、これにはアラゾフがクイック左ローを返す。
アラゾフのダブル左ジャブ→右ミドルにペトロシアンは被せるような右ジャブ。アラゾフは右ストレートを返すがペトロシアンは躱す。そのまま至近距離でペトロシアンの左アッパー→右フックもアラゾフはガードしている。アラゾフは後退しながらサウスポーにスイッチもすぐにオーソドックスに戻す。アラゾフはワン・ツーもペトロシアンは左手で対処する。アラゾフの左アッパーもペトロシアンは躱す。続けてのアラゾフの右ミドルにペトロシアンは左インローを返す。
ペトロシアンのワン・ツーにアラゾフが被せる右フックを打つもまたしても距離が潰れて組み合う展開。ブレイク後にアラゾフはクイック左ローからの変則な内回し蹴りもペトロシアンはガードしている。ここでアラゾフはサウスポーにスイッチし左ボディーストレート。続けて飛び込みながら左テンカオを狙うも躱される。ジャブの差し合いからアラゾフの右インローは当たりが浅いか…
ここでペトロシアンはスーパーマンパンチを出すもアラゾフは躱し組み合う展開、互いに強引なフックを打ち合いアラゾフの左ミドルにペトロシアンが打ち下ろしの左ストレートを打つも当たらず。左ミドルの際にサウスポーにスイッチしたアラゾフの右フックも当たらず。やや距離が離れアラゾフの左ミドル、アラゾフはオーソドックスにスイッチして右ミドル。そして左前蹴りを打ちながら再びサウスポーにスイッチ。
ペトロシアンは前手を出しながら左ストレート、アラゾフは躱し組み合う。
ブレイク後アラゾフはオーソドックスに戻し大振りの右フック→左クイックロー→右ミドル。逆にペトロシアンは左ミドルもアラゾフは右ストレートを返すも当たらず。互いにローを蹴り合うがアラゾフがダブルでクイックの左ローを当てる。アラゾフは尚も右ハイ、サウスポーにスイッチした所にペトロシアンの右前蹴り、アラゾフの左ミドル。ここでアラゾフは変則気味に左ハイを狙うもペトロシアンには当たらず。
そこからアラゾフは左ジャブ→強引に右フックを振るいバランスを崩した所にペトロシアンが左ストレートを打つ。場内大歓声だが当たってはいない。そのまま押し込みペトロシアンは左ミドル、前に出てくるアラゾフを右前蹴りで止める。アラゾフは尚も前進し右インローもペトロシアンにかわされる。ペトロシアンの左ストレートに頭を下げてかわし、そのまま組み付く展開。ブレイク後、アラゾフの右インロー、右フック→サウスポーにスイッチしてからの左ハイは当たりが浅いがペトロシアンはガードできていない。そのままペトロシアンが前進して距離を潰し組み合う展開で試合終了。
5Rも明確なクリーンヒットは無いがやや攻勢をかけたアラゾフのRだった様に思える。
 

 

結果は判定3-0(ペトロシアン)

50-44  49-45  49-45

大差判定にてペトロシアンの勝利。

個人的には…

48-47(チンギス・アラゾフ)

ただこれはマストシステムならばの話であり、

アラゾフが取ったと感じたRもどちらかと言えばアラゾフくらいの感覚でペトロシアンは明確に2R取っている。

ただここまでの大差判定になるのは不思議に感じた。

試合を視ないで結果だけ見れば…

「ペトロシアンダウンを奪い快勝‼️大差判定勝ちにてチンギス・アラゾフを圧倒‼️」になる。

だが試合を通じてクリーンヒットは1Rのアラゾフの左ジャブのみ。ペトロシアンのダウン奪取シーンを視るとペトロシアンの右ジャブで頭が下がったアラゾフ、左ストレートは額を捉えておりどう見てもダメージのあるダウンではない。勿論フラッシュダウンでなく、通常のダウンとする判定でも間違ってはいないとは思うが…

その他のシーンでも基本的に仕掛けるシーンが多かったのはアラゾフ。では何故ここまでの圧倒的大差がついたか…

理由は簡単で今回の試合はイタリア・ローマの試合…

つまりイタリア国籍のペトロシアンにとってホーム、チンギス・アラゾフにとってはアウェーだった。

ペトロシアンの攻勢の時の会場の大歓声がそれを物語っている。

 

ただそれとは別にチンギス・アラゾフ陣営がペトロシアンの動きを事前にきちんと対策していなかった様に感じた。

ペトロシアンの左ミドルに日菜太に合わせた様なショートの左フックを明確に合わせる動きは見れなかったし、何より「体ごと突き出す様な単発左ストレート」に「前手の左フック」を合わせる様な動きも見られなかった。

絶対やってくるのか分かっていただろうし、実際出して来た。

ロッタンみたいに高速左フックを出して来なかったのではない。

別にKO狙いじゃなくて良い。単発左ストレートに前手の左フックを合わせる動きがあれば、ペトロシアンは単発左ストレートが打ち難くなっており試合の展開も違ったかもしれない。

チンギス・アラゾフはスイッチで幻惑し、相手の攻撃に合わせて仕留めるのが本来のスタイル。

それが出来なかったのは衰えた帝王なら策を弄せず問題無く勝てるという若さ故の覇王の自尊心があったのかもしれない。そう感じたのは試合前のグローブタッチのシーンだった。

自分のホームで嘗て自身が日本のK-1デビューした時と似通った戦績の有望株に勝利したペトロシアン…

おそらくサウスポーが苦手なマラット・グレゴリアンでは勝てないだろうし、シッティチャイと試合して欲しい。神の目は未だ健在なのだから m(_ _)m

 

そしてレジェンド狩りに失敗したチンギス・アラゾフについては、何試合か挟むだろうが自身が一度敗けているサウスポーに弱いマラット・グレゴリアン相手にどんな試合運びをするかが観たい。

それが来年の K'FESTA.2 で実現する事を願っている m(_ _)m