中学生の時、祖父が1枚の絵を「いい絵だろう」と、とても嬉しそうに見せてくれたことがありました。
その絵は、小説『エーゲ海に捧ぐ』で芥川賞を受賞し、初監督映画の大ヒットで時の人となった鬼才・池田満寿夫氏の作品。
真っ青な空と一体化した海、そして女性の裸体。
今までに見たことがない不思議な構図と、吸い込まれそうな美しい青が、子供心に強く印象に残ったのを覚えています。
ちょうどその年、ジュディ・オングさんの『魅せられて』がレコード大賞を受賞。「女は海〜♪」というあのフレーズが、完全にその絵とシンクロした瞬間でした。
祖父からその絵を見せてもらったのは一度きりでしたが、記憶のどこかにずっと残っていて……。
昨年末、母に「祖父の絵で何か欲しいものある?」と聞かれたとき、私は迷わず「池田満寿夫のエーゲ海の絵!」と答えていました。
そして先週、ようやく私のもとへ。
40年ぶりに再会したその絵は、エーゲ海の水彩画ではなく『笑って』という原本石版画(リトグラフ)でした。
中央には海に浮かぶ塔か島の景色が描かれていたはずなのに……
なぜか、ジュディ・オングさんに似た女性と白馬とニューヨーカー!?
しかもこの絵は1970年に描かれたものらしく、1979年の『エーゲ海に捧ぐ』もジュディ・オングさんも全く関係がなかったようです💧
記憶って、本当にいい加減なものですね 笑。
作家、映画監督、版画家、彫刻家、陶芸家など、様々な分野で偉大な足跡を残した池田満寿夫氏。
晩年は陶芸制作に没頭し、1997年に63歳という若さで急逝されました。
今改めて思うと、もしかすると彼は、最近よく耳にする「スターシード(シリウス星人)」だったのではないかしら……なんて考えてしまいます。
40年前、祖父が欲しくて欲しくてやっと手に入れたという、池田満寿夫氏の『笑って』。
いろいろなことに挑戦するけれど、なかなか長続きしない小器用な私が、この特別な絵を譲り受けました。
これから、この絵のように多才な「オールラウンダー」に変身できる日が来るのかな……。
おじい様の想いと共に、私のこれからの挑戦をそっと見守ってくれる、大切な宝物になりそうです。
※この記事は過去のものを、一部再編集して再掲しています。



