「いったん志を抱けば、この志にむかって事が進捗するような手段のみをとり、いやしくも弱気を発してはいけない。たとえその目的が成就できなくても、その目的への道中で死ぬべきだ。」(坂本龍馬)
義捐金に関する税務
#東日本大震災で被害を受けられた皆様に心よりお見舞い申し上げます。
今回の大震災で様々な団体で募金を集めており、募金に応じた方、法人は多いと思われる。法人が義捐金などを寄附した場合の取り扱いは以下のとおり。
その義捐金が、
①国または地方公共団体に対する寄附金(国などに対する寄附金)
②指定寄附金
に該当するものであれば、
「支出額の全額が損金算入」
となる。
①国または地方公共団体に対する寄附金(国などに対する寄附金)
・県の対策本部や義捐金分配委員会に対して支払った場合
・日本赤十字社の「東日本大震災義捐金」口座へ直接支払った場合、新聞などの報道機関に対して直接支払った義捐金などで、最終的に国などに拠出されるもの
・中央共同募金会の「各県の被災者の生活再建のための募金」口座に対して支払った場合
・募金をとりまとめる団体(募金団体)を経由する国などに対する寄附金
②指定寄附金
・中央共同募金会の「地震災害におけるボランティア・NPO活動支援のための募金」口座に対して支払った場合
参考:アクタス税理士法人
今回の大震災で様々な団体で募金を集めており、募金に応じた方、法人は多いと思われる。法人が義捐金などを寄附した場合の取り扱いは以下のとおり。
その義捐金が、
①国または地方公共団体に対する寄附金(国などに対する寄附金)
②指定寄附金
に該当するものであれば、
「支出額の全額が損金算入」
となる。
①国または地方公共団体に対する寄附金(国などに対する寄附金)
・県の対策本部や義捐金分配委員会に対して支払った場合
・日本赤十字社の「東日本大震災義捐金」口座へ直接支払った場合、新聞などの報道機関に対して直接支払った義捐金などで、最終的に国などに拠出されるもの
・中央共同募金会の「各県の被災者の生活再建のための募金」口座に対して支払った場合
・募金をとりまとめる団体(募金団体)を経由する国などに対する寄附金
②指定寄附金
・中央共同募金会の「地震災害におけるボランティア・NPO活動支援のための募金」口座に対して支払った場合
参考:アクタス税理士法人
上場企業の破産~実際のケース~(3)
「資金調達をするので清算貸借対照表を作るように。」
ある日、上司からこのような指示が出た。これで何らかの法的整理を始めることが目前に迫っていると分かった。なぜならば、資金調達をするには、通常、ゴーイングコンサーンとして企業を評価するので、予想財務諸表を作る。しかし、指示されたのは清算貸借対照表だ。
銀行員として企業の格付を行っていた経験がある。その時は、ゴーイングコンサーンとして格付するとどうなるか、清算を前提にした時にはどうなるか、という格付けを行っていた。
何が違うかと言うと、資産を時価で洗い換え、簿外債務を負債として貸借対照表を作成する。簿外債務には債務保証なども含み、資産を換金した場合、どれだけの債権者に対し、どれだけ返済できるかを知るために作成する。
そこで、会社が債務保証を行っている契約書を各部署から集める。同社の場合、一定金額以上の債務保証は取締役会決議となっていたし、有価証券報告書には債務保証の注記をしていたものの、契約書が一元管理されていないため、網羅性が担保できなかった。実際、集めてみると取締役会に諮っていないものもあった。
資産についてもその換金性、回収蓋然性を検討し、清算貸借対照表を作成した。
(続く)
ある日、上司からこのような指示が出た。これで何らかの法的整理を始めることが目前に迫っていると分かった。なぜならば、資金調達をするには、通常、ゴーイングコンサーンとして企業を評価するので、予想財務諸表を作る。しかし、指示されたのは清算貸借対照表だ。
銀行員として企業の格付を行っていた経験がある。その時は、ゴーイングコンサーンとして格付するとどうなるか、清算を前提にした時にはどうなるか、という格付けを行っていた。
何が違うかと言うと、資産を時価で洗い換え、簿外債務を負債として貸借対照表を作成する。簿外債務には債務保証なども含み、資産を換金した場合、どれだけの債権者に対し、どれだけ返済できるかを知るために作成する。
そこで、会社が債務保証を行っている契約書を各部署から集める。同社の場合、一定金額以上の債務保証は取締役会決議となっていたし、有価証券報告書には債務保証の注記をしていたものの、契約書が一元管理されていないため、網羅性が担保できなかった。実際、集めてみると取締役会に諮っていないものもあった。
資産についてもその換金性、回収蓋然性を検討し、清算貸借対照表を作成した。
(続く)
改正産業活力再生法
2011年5月18日、改正産業活力再生法(産活法)が可決、成立した。企業の大型M&Aや事業再編の後押しをし、日本企業の国際競争力強化につなげるための法改正だ。
今回の改正は、①自社株対価TOB手続きの簡素化、②合併審査の閣僚協議規定、③長期資金の調達を支援する優勢制度の創設、が柱となっている。
①自社株対価TOB手続きの簡素化
自社株対価TOBを実施するためには、株主総会での特別決議により対価となる株価を決める必要があったが、株式交換比率を決めるだけで済むようになった。また、90%以上の株主がTOBに応じた場合、株主総会を開催しなくても少数株主をスクイーズアウトできる。
②合併審査の閣僚協議規定
大型のM&Aに際しては、公正取引委員会による合併審査が必要だが、今回の法改正では、閣僚が公正取引委員会に対して、独占禁止法上の問題がないことを主張できるようにし、審査期間の短縮を図り、また、透明性を高める。
③長期資金の調達を支援する優勢制度の創設
M&A実行後に投資資金が必要となった場合、財政投融資を使って、総額で1000億円の融資を低利で提供できる融資制度が創設される。再編効果が表れて投資回収できるまで金融面からサポートする。
なお、施行は7月上旬の見通し。
今回の改正は、①自社株対価TOB手続きの簡素化、②合併審査の閣僚協議規定、③長期資金の調達を支援する優勢制度の創設、が柱となっている。
①自社株対価TOB手続きの簡素化
自社株対価TOBを実施するためには、株主総会での特別決議により対価となる株価を決める必要があったが、株式交換比率を決めるだけで済むようになった。また、90%以上の株主がTOBに応じた場合、株主総会を開催しなくても少数株主をスクイーズアウトできる。
②合併審査の閣僚協議規定
大型のM&Aに際しては、公正取引委員会による合併審査が必要だが、今回の法改正では、閣僚が公正取引委員会に対して、独占禁止法上の問題がないことを主張できるようにし、審査期間の短縮を図り、また、透明性を高める。
③長期資金の調達を支援する優勢制度の創設
M&A実行後に投資資金が必要となった場合、財政投融資を使って、総額で1000億円の融資を低利で提供できる融資制度が創設される。再編効果が表れて投資回収できるまで金融面からサポートする。
なお、施行は7月上旬の見通し。
破産にかかる事業譲渡
たとえ企業が倒産状態になったとしても、複数の事業を行っている企業においては、全ての事業が問題を抱えているのではなく、その中の1つあるは複数の事業は、再生可能性があったり優良事業であることもあり、市場から見て価値があるケースがある。そのようなケースにおいては事業譲渡という形でその事業を存続させることは1つの選択肢である。
破産にかかる事業譲渡には、破産手続申立前に事業譲渡を行う場合と、破産手続申立後に破産手続内で事業譲渡を行う場合に分けることができる。それぞれのケースにおける注意点は下記のとおりである。
1.破産手続申立前に事業譲渡を行う場合
・破産管財人による否認権行使のリスク
破産法上、破産手続開始前に破産者のなした行為が破産債権者に損害を与える場合、破産管財人にはその行為の効力を失わせ、逸出した財産を破産財団に回復できる権利がある。仮に破産管財人がその事業譲渡が低廉な価格で行われたと判断した場合、否認権を行使されてしまう可能性がある。
2.破産手続申立後に事業譲渡を行う場合
・破産管財人が事業譲渡を行わないリスク
破産手続申立後は破産管財人が会社の財産の管理を行うことになる。そのため、破産手続申立前に事業譲渡の相手先を固めていたとしても、破産管財人が必ずしもその事業譲渡を行うということはなく、事業譲渡がなされないことになる可能性がある。
・事業価値毀損のリスク
破産手続申立後、会社のイメージは悪化し、従業員は離れ、仕入先や販売先などは取引を中止するだろう。したがって、日毎に事業価値は毀損していく。破産申立後に事業譲渡を行うにあたっては、極力事業価値が毀損することのないように破産管財人によってスピード感をもって対応する必要がある。
破産にかかる事業譲渡には、破産手続申立前に事業譲渡を行う場合と、破産手続申立後に破産手続内で事業譲渡を行う場合に分けることができる。それぞれのケースにおける注意点は下記のとおりである。
1.破産手続申立前に事業譲渡を行う場合
・破産管財人による否認権行使のリスク
破産法上、破産手続開始前に破産者のなした行為が破産債権者に損害を与える場合、破産管財人にはその行為の効力を失わせ、逸出した財産を破産財団に回復できる権利がある。仮に破産管財人がその事業譲渡が低廉な価格で行われたと判断した場合、否認権を行使されてしまう可能性がある。
2.破産手続申立後に事業譲渡を行う場合
・破産管財人が事業譲渡を行わないリスク
破産手続申立後は破産管財人が会社の財産の管理を行うことになる。そのため、破産手続申立前に事業譲渡の相手先を固めていたとしても、破産管財人が必ずしもその事業譲渡を行うということはなく、事業譲渡がなされないことになる可能性がある。
・事業価値毀損のリスク
破産手続申立後、会社のイメージは悪化し、従業員は離れ、仕入先や販売先などは取引を中止するだろう。したがって、日毎に事業価値は毀損していく。破産申立後に事業譲渡を行うにあたっては、極力事業価値が毀損することのないように破産管財人によってスピード感をもって対応する必要がある。
中小企業金融円滑化法
3月31日、時限立法だった中小企業金融円滑化法の改正案が国会で成立し、2012年3月31日までの延長が決まった。
中小企業金融円滑化法は、中小企業に対し返済猶予を与え、一時的に難局を凌ぐためのものではなく、与えられた返済猶予期間の間に経営改善を行ってもらおうというのが一番の目的で2009年12月4日に施行された。しかしながら、2010年度の「返済猶予後倒産」は148件で、前年度比150.8%増と2.5倍に増加した(帝国データバンク調べ)。
施行後、景気が回復しないために外的要因によって収益が改善することがなかったことも要因としておおいにあると思うが、同時に、自助努力には限界があるということもあるのではないだろうか。中小企業金融円滑化法の対象となる中小企業は以下のとおりである。
・小売業:資本金5,000万円以下または従業員50人以下
・卸売業:資本金1億円以下または従業員100人以下
・サービス業:資本金5,000万円以下又は従業員100人以下
・ゴム製品製造業:資本金3億円以下又は従業員900人以下
(自動車又は航空用タイヤ及びチューブ製造業、工業用ベルト製造業を除く)
・ソフトウェア業または情報処理サービス業:資本金3億円以下または従業員300人以下
・旅館業:資本金5,000万円以下または従業員200人以下
・その他の業種:資本金3億円以下または従業員300人以下
(金融・保険業を除く。ただし、保険媒介代理業及び保険サービス業は対象となる)
・医業を主たる事業とする法人(医療法人など):従業員300人以下
倒産企業を負債規模別にみてみると、1億円以上5億円未満が64件(構成比 43.2%)でトップだった。組織の中に経営企画部のような社長を補佐する部門がなく、社長自らが収益の改善を試み、同時に資金繰りに奔走している構図が想像できる。
もしその仮定に基づくならば、「経営企画部」として、社長の補佐となるものが必要だと考える。金融機関や税理士はサポートはしているだろうが、銀行員や税理士の多くは本来的な意味で経営にタッチしたことはないだろう。倒産企業のメーンバンクをみると、メガバンクは、件数は少ないながらも、前年度の 3.5 倍に急増している。実際の企業の中で培った現場感覚を持った専門家による支援が必要だろう。
中小企業金融円滑化法は、中小企業に対し返済猶予を与え、一時的に難局を凌ぐためのものではなく、与えられた返済猶予期間の間に経営改善を行ってもらおうというのが一番の目的で2009年12月4日に施行された。しかしながら、2010年度の「返済猶予後倒産」は148件で、前年度比150.8%増と2.5倍に増加した(帝国データバンク調べ)。
施行後、景気が回復しないために外的要因によって収益が改善することがなかったことも要因としておおいにあると思うが、同時に、自助努力には限界があるということもあるのではないだろうか。中小企業金融円滑化法の対象となる中小企業は以下のとおりである。
・小売業:資本金5,000万円以下または従業員50人以下
・卸売業:資本金1億円以下または従業員100人以下
・サービス業:資本金5,000万円以下又は従業員100人以下
・ゴム製品製造業:資本金3億円以下又は従業員900人以下
(自動車又は航空用タイヤ及びチューブ製造業、工業用ベルト製造業を除く)
・ソフトウェア業または情報処理サービス業:資本金3億円以下または従業員300人以下
・旅館業:資本金5,000万円以下または従業員200人以下
・その他の業種:資本金3億円以下または従業員300人以下
(金融・保険業を除く。ただし、保険媒介代理業及び保険サービス業は対象となる)
・医業を主たる事業とする法人(医療法人など):従業員300人以下
倒産企業を負債規模別にみてみると、1億円以上5億円未満が64件(構成比 43.2%)でトップだった。組織の中に経営企画部のような社長を補佐する部門がなく、社長自らが収益の改善を試み、同時に資金繰りに奔走している構図が想像できる。
もしその仮定に基づくならば、「経営企画部」として、社長の補佐となるものが必要だと考える。金融機関や税理士はサポートはしているだろうが、銀行員や税理士の多くは本来的な意味で経営にタッチしたことはないだろう。倒産企業のメーンバンクをみると、メガバンクは、件数は少ないながらも、前年度の 3.5 倍に急増している。実際の企業の中で培った現場感覚を持った専門家による支援が必要だろう。
