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少数株主のスクイーズ・アウト

現在、MBOなどにおいて最も一般的なスクイーズ・アウトの手法は、「全部取得条項付種類株式」を活用したスキームである。

具体的には完全子会社となる被買収会社が、全株式を全部取得条項付種類株式に転換したうえで、全部取得条項を発動し、当該会社が株主から強制的に株式を取得するとういもの。
まずは、定款変更と全部取得条項付種類株式へ転換する。これは株主総会の特別決議が必要となるため、買収者が予め2/3以上の株式を取得していることがスムーズに決議を取るための要件となる。次に、同様に株主総会の特別決議を経て全部取得条項の発動を行い、少数株主をスクイーズ・アウトする。

なお、全部取得条項に基づく強制的な株式取得の対価についてはいくつかの方法が考えられる。買収会社がTOBなどを通じで被買収会社の株式の多くを買い付けているとした場合、株式を全部取得の対価とするが、少数株主には1株未満の端数しか交付されないように交換比率を設定する。この場合、端数の交付についてはその合計数に相当する株式を競売などで売却し、その代金を交付することとされている(会社法234条)。

計画停電と休業手当

今回の東日本大震災の影響による原発の事故で計画停電が一部地域で実施されている。停電となれば工場を動かすことができなかったりするわけで、休業を余儀なくされるケースもあるだろう。

どういった場合に休業手当の対象となるのか、厚生労働省より3月15日付で通達があった。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/other/dl/110316a.pdf

ポイントは、可能な限り休業を回避するよう努力せよ、ということ。

1.計画停電の時間帯における営業所・店舗等に電力が供給されないことを理由とする休業については、原則として休業手当の支払い義務はない。

2.計画停電の時間帯の前後の時間帯を休業とする場合はその「前後の時間帯」については原則として休業手当の支払い義務が生じる。

ただし、他の手段の可能性、会社としての休業回避のための具体的努力等を総合的に勘案し、計画停電の時間帯のみを休業とすることが企業の経営上著しく不適当と認められるときには、計画停電の時間帯以外の時間帯を含めて原則として休業手当の支払い義務は生じない。

他の事務所や店舗が営業できる状況であれば、そこに計画停電の対象となっている従業員を振り分けましょう、休業とならないよう努力をしましょう、ということだ。

役員給与の損金算入

役員給与を損金算入するためには、1)定期同額給与、2)事前確定届出給与、3)利益連動給与、の3つの方法がある。

1)定期同額給与とは、支給時期が1ヶ月以下の一定期間のもので、かつ、各支給期間の支給額が同額である役員給与をいう。

2)事前確定届出給与とは、役員の職務につき所定の時期に確定額を支給する旨の定めに基づいて支給する役員給与をいう。事前確定届出給与を損金算入するためには、納税地の所轄税務署長に「事前確定届出給与に関する届出」を提出する必要がある。なお、届け出た支給額と実際の支給額に差異が生じた場合、支給額全額が損金不算入となる。

3)利益連動給与とは、利益に関する指標に基づいて算定され、非同族会社の業務執行役員に対して支給する給与をいう。算定方法は、有価証券報告書に記載される事業年度の利益に関する指標を基礎とした客観的なものでなければならない。

税金は大きなファクターとなるから、留意しておきたい。

事業再生ADR

事業再生実務家協会(JATP)は、2008年10月29日、法務省より、認証紛争事業者(第21号)として認証を受けた後、産業活力再生特別措置法に基づき、事業再生に係るADR機関として、同年11月26日、経済産業省より第1号の認定を受け、日本で先例のない事業再生ADRを行う事となった。

「ADR」とは、「裁判外紛争解決手続(Alternative Dispute Resolution)」の略称で、訴訟や法的倒産手続のように、裁判所による強制力を持った紛争解決の手続を利用することなく、当事者間の話し合いをベースとして、紛争を解決しようとする手続の総称。

この事業再生ADRを使って再生を試みようとしている企業の一つがアイフルだ。同社は2001年3月にライフの株式を取得し、その後も買収などを行い業容の拡大を図っていたが、2009年9月、事業再生ADRの利用を事業再生実務家協会い申請し、受理された。

同社が他の法的整理や私的整理を利用せず事業再生ADRを選択した理由は主に3点だ。
1)アイフルグループを利用の顧客へのサービス提供の継続を確保することができること
2)アイフルグループの事業価値を無為に損ねることなく、他の方法との比較においても、
  金融債権者にかける迷惑をできる限り小さなものとすることが可能であること
3)未曾有の金融危機から日本の金融市場・金融システムも落ち着きを取り戻しつつある中、
  アイフルグループが抱える問題が社会的に大きな影響を与える形で顕在化することを避けるため


事業再生実務家協会によると、事業再生ADRのメリットは次の4点だ。
1)商取引を円滑に続けられること
  - 本業をそのまま継続しながら、金融機関等との話し合いで解決策を探れる
2)信頼できること
  - 法的整理を担う実務家と同レベルでの監督の下で進められる手続である
3)意見がまとまらない場合にも対応できること
  - 意見がまとまらなければ、ADRの結果を尊重した形で、特定調停や法的整理に移行できる
4) 原則として、債権放棄による損失の無税償却が認められること



個人的に何となく釈然としないのは、この制度は債権者と経営者のためにあり、窮屈な服を着たまま会社がゾンビのように生き残っていく印象があることだ。

まず、会社がそうなるまで有効な打ち手を打てなかった経営陣は責任を取って辞任すべきではないだろうか。アイフルのケースのみを取り上げれば、世界的な金融危機や改正貸金業法による総量規制などの要因もあることは理解できる。しかしながら、そういった環境変化に対して効果的な打ち手を打つのが経営陣の役割であり、環境変化に対応できなかったのは経営陣の力の無さだと考える。

次に、それを放置してきた金融機関にも責任はないだろうか。間接金融がいまだ大きな影響を持つ日本において、その資金の供給者たる銀行に求められるのは、単に金を貸すことではない。環境変化に対して第三者として冷静な判断、アドバイスができる立場にいる銀行の役割を大きい。

要するに、会社を御してこられなかった当事者達が居残っているのだ。

私は、法的整理により、その事業が社会的に必要なものなのかを探り(必要なものであればスポンサーが付くだろう)、前経営陣、金融機関による債権債務をきれいにし、身軽な状態でその事業を甦らすことがより良い方法なのではないかと考える。

自社株消却と増資スキーム

単純に株式譲渡を取る場合と自社株消却+増資スキームを取る場合を比べた時、譲渡対象の株主が法人の場合、税金のメリットを享受することができる。

80億で買った株式を120億で譲渡する場合、譲渡企業は譲渡益40億に対して税金コストが16億かかる。

一方で、自社株消却+増資スキームを取った場合、親会社は子会社に自社株取得の形で120億で売却する。その際、資本金が50億としたら70億のみなし配当が発生するが、法人の場合、100%子会社からのみなし配当は益金不算入となる。また、80億-50億=30億 が譲渡損となり、12億の節税メリットが出る。

したがって、自社株消却+増資スキームを取った方が28億の節税メリットが出る。

なお、個人が株主の場合、みなし配当は総合課税され40%の税金がかかることになるため、ノーマルな株式譲渡スキームにした方が良い。その場合は20%で済む。