南域結界☆ ジェルソミーナ -190ページ目

6-66 紅の令嬢

 粉々になったティーカップを一瞥もせず、
「――最初からよ」
 低い声で答えた。
「あんたが国王の眠りを解いたんじゃないか、って最初から疑ってたわ。だからわざわざ、あんたの目の前で、王を『再封印』する魔導銃を作って、あんたの反応を確かめてみたんだけど。まあ……思った通りね」
 スパナを指先で、くるくると回し、
「私の命を奪おうとしたのが――証拠」
「ティーナさんの、思い過ごし、ということはなくて?」
「思い過ごしで、自動障壁は発動しないわよ!!」
 リズムよく握っていたスパナをそのまま、理事長へと突き付け、
「あんたのとこのお茶を飲むと、脳をあんたに乗っ取られる、っていう話は有名なのよ!? あんたが私に危害を加えようとしてるから、うちの障壁がそのティーカップを叩き割ったんでしょうが!」
「おほほ。違いますわあ。きっと熱いお茶でしたから」
 理事長はなおも、婉然と微笑む。

6-65 紅の令嬢

「もちろん――監視は付けておくわよ。あなたが、『ズル』しないように」
「――!」
 理事長は、艶やかな瞳を少女に向けた。
 鋭い緊張が、二人の間を駆け抜ける。
 硬直した人形のように、マリーナは、鉄とガラスの、無骨な銃を見つめ、
「……いじわるですわ……かなめさま、ったら……」
 淋しげにぽつり、呟いた。
「監視が付かないというのなら、魔銃、使ってみせますけれど……。あるというのなら……」
「できるはずないわよねえ」
 ティーナは、疲れ果てた調子で、声を絞り出し、
「あんたが、国王の封印を解いたんだから」
「……いつから、ご存じでしたの……?」
 ティーカップをティーナの膝元へと差し出す。
 瞬時に、二人の間に、見えない壁が出現する。
 マリーナはとっさに盆を手前へ引いた。
 派手な音をたて、自動障壁によりティーカップは砕け散る。

★【イラスト】窓辺に君の姿が

”ねえ?林檎はどーして地面に落ちるの?”-窓辺に君の姿を
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ベネチア。窓辺を見上げる和服のおねーさんにひひ はらはら?or どきどき?