9 愛されるもの・愛される花
「そのスプーンを持ち上げて……」
「食べる? ……食べるかな?」
「やめてやめてっ、それ以上は……おかしすぎるっ!」
人々の視線も、おかまいなしだ。
「でも……意外と気付かないかもね……」
口を押さえて、感慨深気に、フィーネは呟く。
「気付かないかな」
「ああいうね……」
声を落として囁いた。
「こまかい事にいちいち怒ってる人って、案外、ヌケてるものよ……?」
ジェルソミーナはこらえきれずに、ふきだした。
もちろん、フィーネの想像している人物と、こちらとは、全く、別の人間のことなのである。
だが、そうだとしても、二人が別々に思い描く「敵役(かたきやく)」は、あまりにも似ている。
だから余計に、ジェルソミーナはおかしくて仕方がなかったのだ。
よくぞフィーネは、その事に気付かせてくれたものだ。ジェルソミーナは、ひさしぶりに体全体で笑った。
「……お城に来てよ」
涙を拭い、フィーネはその後も、何度か繰り返した。
「お城へ来て。もしまた何か言われたら、ナメクジ入れてやればいいじゃない。そしたらきっと、あいつも何かが起こってることに気付くわよ。それでも駄目なら、クモの子でも混ぜてやりましょうよ。大丈夫よ、あんなのいつもの、「からいばり」なんだから」
紙袋を大切に抱えて、大元帥の娘は、愛らしく笑った。
「心配しなくても、なにも出来っこないわ。あいつには」
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「食べる? ……食べるかな?」
「やめてやめてっ、それ以上は……おかしすぎるっ!」
人々の視線も、おかまいなしだ。
「でも……意外と気付かないかもね……」
口を押さえて、感慨深気に、フィーネは呟く。
「気付かないかな」
「ああいうね……」
声を落として囁いた。
「こまかい事にいちいち怒ってる人って、案外、ヌケてるものよ……?」
ジェルソミーナはこらえきれずに、ふきだした。
もちろん、フィーネの想像している人物と、こちらとは、全く、別の人間のことなのである。
だが、そうだとしても、二人が別々に思い描く「敵役(かたきやく)」は、あまりにも似ている。
だから余計に、ジェルソミーナはおかしくて仕方がなかったのだ。
よくぞフィーネは、その事に気付かせてくれたものだ。ジェルソミーナは、ひさしぶりに体全体で笑った。
「……お城に来てよ」
涙を拭い、フィーネはその後も、何度か繰り返した。
「お城へ来て。もしまた何か言われたら、ナメクジ入れてやればいいじゃない。そしたらきっと、あいつも何かが起こってることに気付くわよ。それでも駄目なら、クモの子でも混ぜてやりましょうよ。大丈夫よ、あんなのいつもの、「からいばり」なんだから」
紙袋を大切に抱えて、大元帥の娘は、愛らしく笑った。
「心配しなくても、なにも出来っこないわ。あいつには」
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