1 もつれる糸 | 南域結界☆ ジェルソミーナ

1 もつれる糸

   二章 もつれる糸



 密室の中央に、背筋の伸びた美しい女性が立っている。
 数名の着席を合図に、暗がりの壁面から兵士が一名ずつ、姿を消す。
 扉には錠が下ろされた。
 顔を隠した老人達が、身を乗り出して女の胸を見つめる。
 女は胸の、身分証を水平に戻した。

「諜報部首脳との連絡はついております」
 よどみなく、彼女はおっとりと質問に答えた。
「上層部にも、例の件は伝わった模様。緊急会議は、本日未明にも開催。……パーティは明後日」
「全ては閣下のお見立て通り。軍は早速、行動を起こしております」
 ファイルを片手に持ち直して、女は上壇の男を見上げた。
「深まる割れ目を、隠し切るのはもう困難となってまいりました。国民も間もなく真実を知るでしょう。その時こそ閣下の……」

 目が妖しく輝いた。
 香を焚きしめた壇上で、男は白髪の頭に手をやった。
 満足気な笑みが、いつもは固い唇の端に浮かんでいる。
「うまくやれ、時間はたっぷりある」
 居並ぶ老人達もうなずいた。
「期待しているぞ。シトラビンス准佐」
 重々しい声に、彼女は素早く、敬礼した。



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※10/12~21日まで、ドイツ (ブレーメンやハーメルン)に行ってきます。
連載が一時お休みになりますが、ごめんなさい。いつも訪問、ありがとうございます^^ /ころら



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