4 エピローグ
観客達が帰って来たようだ。見るも無残な学舎の荒れ方に、銘々、好き勝手な事を叫んでいる。
昼寝を邪魔されたマチルダが、地面の上で低く唸った。
狂った狐は天上高く、空に飛び上がった後、
「首がいつもの数だけ無いせいで、うまく飛べず、バランスを崩し、なおかつ時計台に足の一本をひっかけ、転倒、失速。そのまま岩山に突っ込み、首の骨を根元から折った」らしい。
みじめな狐の大王の最後であった。
彼女は血だらけになってしまった狐の毛並みを見上げた。ここからでは、狐の尻尾と太股しか見えない。
「ジェルソミーナ・レシング君、ジェルソミーナ・レシング君、ただちに説教室へ来なさい」
拡声器を通した声は、なおも叫ぶ。
「説教室へ! 今すぐ!」
乱暴に機械を置いたのが、学舎の下からでもよく分かった。
「いててて、いいなあ、レシング」
狂狐との戦いで真っ先に逃げた、昔の級友が、手首をさすりさすり言った。
「お前、岩っころ飛んできた時も無事だったろ。俺、お前が倒した時計台の片付けしてて……いてて、今、手ぇ挟んじまったんだぞー。いってえなあー」
そう言って顔へ、突然、タオルを丸めた物を投げつけた。
寸前で、透明の壁がタオルから彼女を守った。
元級友はふーん、と鼻で笑って、
「それ……くれよ。魔法の小道具。完全な……自動防御機能の道具。軽くて、邪魔にならない、ただのリボンにしか見えない。なのに主人を外敵から守る、性能は完璧だ。……防御魔法しか修得できなかったお前には、あまりにも勿体ないって。な、な、くれよ。その魔法のリボン」
女は手首ごと、その手をはたき落とした。
「いっ……てえーっ! お前っ、お前なあっ。俺がケガしてるって知ってんだろーがーっ! 痛ぇなあ。その小道具さえあったら、こんなケガなんてせずに……!」
女は深くため息をついた。
「もう、何百回目にもなるから、いい加減あきらめて。リュイ君にもらった大事なリボンなんだから」
「えー」
「それに、一本しかないの」
「けちーっ!」
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昼寝を邪魔されたマチルダが、地面の上で低く唸った。
狂った狐は天上高く、空に飛び上がった後、
「首がいつもの数だけ無いせいで、うまく飛べず、バランスを崩し、なおかつ時計台に足の一本をひっかけ、転倒、失速。そのまま岩山に突っ込み、首の骨を根元から折った」らしい。
みじめな狐の大王の最後であった。
彼女は血だらけになってしまった狐の毛並みを見上げた。ここからでは、狐の尻尾と太股しか見えない。
「ジェルソミーナ・レシング君、ジェルソミーナ・レシング君、ただちに説教室へ来なさい」
拡声器を通した声は、なおも叫ぶ。
「説教室へ! 今すぐ!」
乱暴に機械を置いたのが、学舎の下からでもよく分かった。
「いててて、いいなあ、レシング」
狂狐との戦いで真っ先に逃げた、昔の級友が、手首をさすりさすり言った。
「お前、岩っころ飛んできた時も無事だったろ。俺、お前が倒した時計台の片付けしてて……いてて、今、手ぇ挟んじまったんだぞー。いってえなあー」
そう言って顔へ、突然、タオルを丸めた物を投げつけた。
寸前で、透明の壁がタオルから彼女を守った。
元級友はふーん、と鼻で笑って、
「それ……くれよ。魔法の小道具。完全な……自動防御機能の道具。軽くて、邪魔にならない、ただのリボンにしか見えない。なのに主人を外敵から守る、性能は完璧だ。……防御魔法しか修得できなかったお前には、あまりにも勿体ないって。な、な、くれよ。その魔法のリボン」
女は手首ごと、その手をはたき落とした。
「いっ……てえーっ! お前っ、お前なあっ。俺がケガしてるって知ってんだろーがーっ! 痛ぇなあ。その小道具さえあったら、こんなケガなんてせずに……!」
女は深くため息をついた。
「もう、何百回目にもなるから、いい加減あきらめて。リュイ君にもらった大事なリボンなんだから」
「えー」
「それに、一本しかないの」
「けちーっ!」
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