5 二つの秘神
ぱかぱか、お菓子を口に運ぶと、いつものように明るい手拍子を、軽く楽しげに打ち鳴らした。
リズムよく、流し場のポットが浮き上がる。
銀色のスプーンが次々と、ティーカップの中に飛びこんだ。
「……テトラ君……申し訳ないですが……」
「えー、なにー? せんせー?」
戸棚の中に首をつっこんだまま、テトラは答えた。
どうもレモンがきれているらしい。
粉ミルクが手前に残っていたが、ミルク嫌いの彼は目もくれずに、そのまま瓶を奥の奥へと追いやった。
プリッターは枕に顔をうずめて、しばらくじっと目を閉じていたが、
「……それが、恥ずかしいんでしょう。女の子にしてみたら……」
「分かんないなあ」
「きっと、恥ずかしいものなんだと思いますよ」
「えー」
テトラは奥から、干からびたジャガイモを取り出してきた。
「じゃあなんで、リュイのヤツはあいつに声をかけたの」
ジャガイモからは無数の真白い足が生えていて、なんだか気持ちの悪い生物のようだ。
「なぜだと思いますか」
「やだなあ、なんか試験みたい」
「テトラ君。あなたにも……彼と同じ心が、少しはあるはずだと、私は思っているのですが……」
「なんだろ」
「あなただって、最近はレシングを意識に止めるようには、なってきたじゃないですか……」
「そりゃあ、先生が」
「多分ね、彼は、気になったんだと思うんですよ。やはりね……いつも一人でいる、女の子なんかがいますとね……放っておけないというか……」
「……せんせ。それ、虎男が言ったんでしょ……らしくないというか……、先生の考えじゃないでしょ」
「テトラ君……」
少年は明らかに、不快そうな視線を向けた。
「せんせえっ」
「だとしてもね、テトラ君」
「せんせーっ」
その時、ごくごく控え目に、表からドアがノックされた。
「え、ええー、ごめんなすってー」
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リズムよく、流し場のポットが浮き上がる。
銀色のスプーンが次々と、ティーカップの中に飛びこんだ。
「……テトラ君……申し訳ないですが……」
「えー、なにー? せんせー?」
戸棚の中に首をつっこんだまま、テトラは答えた。
どうもレモンがきれているらしい。
粉ミルクが手前に残っていたが、ミルク嫌いの彼は目もくれずに、そのまま瓶を奥の奥へと追いやった。
プリッターは枕に顔をうずめて、しばらくじっと目を閉じていたが、
「……それが、恥ずかしいんでしょう。女の子にしてみたら……」
「分かんないなあ」
「きっと、恥ずかしいものなんだと思いますよ」
「えー」
テトラは奥から、干からびたジャガイモを取り出してきた。
「じゃあなんで、リュイのヤツはあいつに声をかけたの」
ジャガイモからは無数の真白い足が生えていて、なんだか気持ちの悪い生物のようだ。
「なぜだと思いますか」
「やだなあ、なんか試験みたい」
「テトラ君。あなたにも……彼と同じ心が、少しはあるはずだと、私は思っているのですが……」
「なんだろ」
「あなただって、最近はレシングを意識に止めるようには、なってきたじゃないですか……」
「そりゃあ、先生が」
「多分ね、彼は、気になったんだと思うんですよ。やはりね……いつも一人でいる、女の子なんかがいますとね……放っておけないというか……」
「……せんせ。それ、虎男が言ったんでしょ……らしくないというか……、先生の考えじゃないでしょ」
「テトラ君……」
少年は明らかに、不快そうな視線を向けた。
「せんせえっ」
「だとしてもね、テトラ君」
「せんせーっ」
その時、ごくごく控え目に、表からドアがノックされた。
「え、ええー、ごめんなすってー」
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