2 すべてのはじまり
「そうだな……」
太い眉が眉間に寄った。
「この子が勉強熱心なのはよく分かっている。ひょっとするとこの子は、一人前になれるかもしれない。なのに、わたし達がここでこの子を退学にしてしまったら……この子の今までの努力は無駄になってしまう。この子は魔術師になれなくなってしまう」
「その逆もあるんですよ、学院長。その逆の方が、僕は可能性が高いと思うんですけどね」
「分かっている。これはわたしの、ただの我侭なのかもしれない。けれど……わたしはこの子を、今、退学処分にしてやりたくないんだ」
「学院長、そんな……」
「決まりですね」
投げやりにフランドルが声を上げた。全員の視線が、部屋の一隅に集中した。
フランドルは気だるそうに成績表をテーブルに投げ出し、教師達には目もくれずに、
「この生徒は残しましょう」
低い声ではっきりと言った。
「フランドル!」
「学院長がそう言ってるんだ。学院長が残すといったから、残す。それだけだ」
「話になりませんな!」
五番目の教師が真っ先に、立ちあがった。
「わたしも長い間この仕事を続けてきたが、こんな事は初めてだ」
三番目の教師も、銀色の頭髪を掻きむしりそれに同調した。
「これではなんのための会議か分からん」
「我侭で全てが治まるなら、結構なことだが」
全員が会議室を出て行く中で、第二の教師が動かない学院長に、きつい口調でこう言った。
「もしそれでも駄目だった場合、学院長! その時はわたし達の無駄になった時間、きっちり弁償していただきますよ!」
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太い眉が眉間に寄った。
「この子が勉強熱心なのはよく分かっている。ひょっとするとこの子は、一人前になれるかもしれない。なのに、わたし達がここでこの子を退学にしてしまったら……この子の今までの努力は無駄になってしまう。この子は魔術師になれなくなってしまう」
「その逆もあるんですよ、学院長。その逆の方が、僕は可能性が高いと思うんですけどね」
「分かっている。これはわたしの、ただの我侭なのかもしれない。けれど……わたしはこの子を、今、退学処分にしてやりたくないんだ」
「学院長、そんな……」
「決まりですね」
投げやりにフランドルが声を上げた。全員の視線が、部屋の一隅に集中した。
フランドルは気だるそうに成績表をテーブルに投げ出し、教師達には目もくれずに、
「この生徒は残しましょう」
低い声ではっきりと言った。
「フランドル!」
「学院長がそう言ってるんだ。学院長が残すといったから、残す。それだけだ」
「話になりませんな!」
五番目の教師が真っ先に、立ちあがった。
「わたしも長い間この仕事を続けてきたが、こんな事は初めてだ」
三番目の教師も、銀色の頭髪を掻きむしりそれに同調した。
「これではなんのための会議か分からん」
「我侭で全てが治まるなら、結構なことだが」
全員が会議室を出て行く中で、第二の教師が動かない学院長に、きつい口調でこう言った。
「もしそれでも駄目だった場合、学院長! その時はわたし達の無駄になった時間、きっちり弁償していただきますよ!」
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