第２９回上野城薪能が伊賀市上野丸之内の上野西小体育館であった。台風１７号による悪天候のため、会場を上野城本丸広場から変更し、かがり火なしでの開催となった。本来とは異なる照明ながら、体育館を埋めた約６００人は鼓や笛の音、謡いが響く中、幽玄な舞に酔いしれた。
演目は、喜多流能楽師、長田驍（おさだたけし）さんらによる「砧（きぬた）」など。砧は室町時代の世阿弥の作とされ、長年不在の夫の帰りを待つ妻の悲しみを表現している。
観賞に訪れた市内の男性（７６）は「中止せず開催してくれて良かった。毎年楽しみにしているファンも多いはずで、じっくり観賞できた」と話していた。
市などでつくる薪能の実施委によると、体育館での開催は初めて。９月２９日午後６時開演としていたが、当日は昼過ぎから雨が降り、午後４時に会場の変更を決めた。
出典：毎日新聞