Eleonore第33話 | Eleonore

Eleonore

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食堂の外へ足を踏み出したベリエールに、

エレノアの小さな歩幅は追いつこうとした。

「ちょ、ちょっと待って!」

「どうした?」

「魔法の特訓と言われても...どうして必要なの?

 というかここの人たちは知っているの?

 その...貴方が魔法使いだってことを。」

一国の王子が"神の作りし法"に背くものだとしたら、大変なことだ。

しかしベリエールは事も無げに答えた。

「ここを何だと思っている?魔法の国ネプルトゥだ。

 この国の民は貧富を問わず皆魔法使いだ。

 次期国王となる私の妃となる貴様が魔法を使えなくてどうする。」

ネプルトゥでは祖国アリエローラの常識は通用しないらしい。

本当に自分は知らない国に来てしまったのだと、

エレノアは改めて実感した。

しかしベリエールの両親も、あのメイド達も魔法使いだとは思えなかった。

あの親切なフローズも杖を隠し持っているようには見えなかった。

マムのような使い魔も、もしかしたらいるのかもしれない。


エレノアは歩いている内に、一つの試みを思いついた。

「どうしようベリエール!」

「今度は何だ?」

「私、杖を寝室に置いてきてしまったみたい。

 取りに行ってもいいかしら?」

「構わん。魔法を使うのに必要だからな。」

ベリエールの許可を得て、エレノアは元来た方向へ歩き出した。

ベリエールに背を向けながら、エレノアはほくそ笑んだ。

杖を忘れてしまったことが、幸いしたのだから。

杖をとって、マムと一緒にこの城を抜け出そう。

彼女はそう企んでいたのである。


しかし食堂まで来たところで、エレノアは立ち止まった。

フローズに案内された時、どうやってきたか彼女は思い出そうとした。

角を何度か曲がったはずだったので、彼女は前方に延びる廊下を見やり、

とりあえず手前から三つ目の角を右に曲がった。

それから食堂に行く前に衣装室に立ち寄ったことを思い出した。

ところがエレノアは衣装室がどこだったか、

どうやって寝室からそこまで来たのかは覚えていなかった。

彼女は歩きまわりながら、とりあえず適当なドアを開けて、

中を調べていけばいいのだと思った。

さっそく目についたドアノブに手をかけた時、

ドアの表面を大きな影が覆いかぶさった。