昨年のプロ野球は広島カープの優勝で盛り上がりましたが、一方個人成績で目立ったのは大谷翔平選手の二刀流の成功です。投げては二ケタ勝利、打っては3割20本塁打を達成したその多才ぶりには驚かされます。
またセ・リーグでは山田哲人選手が2年連続トリプルスリー(3割30本塁打30盗塁)を達成しました。わが家では「おじゃまんが山田君」「アンドロイド山田君」など呼んでいますが、その華奢な身体つきからは想像もつかない打撃力と走力を持っているわけです。
トリプルスリー自体が過去10人しか達成したことのない大記録であり、それを2年連続で達成したのはもちろん史上初です。
そして山田選手は2015年には本塁打と盗塁の2冠を獲得しています。本塁打王と盗塁王の同時取得は史上初であり、大技も小技も使えるオールマイティの好打者といえます。
なんというか、日本では概ね「ホームラン打者は鈍重」というイメージが強く、走ることが苦手という印象が強いものでした(まあメジャーでも似たようなものですが)。
そこで過去の最多本塁打選手がどれほどの盗塁をしてきたのか? それを表としてみました。スペースの都合上ここでは2リーグ制採用以降のセ・リーグだけを掲載します。
表:1950年以降の最多本塁打打者の盗塁数
過去73人の本塁打王(同年に2人以上の獲得ケースがある)のうち、2ケタ盗塁を成した選手は16人しかいません。やはり本塁打と盗塁の2冠というのは非常に特殊なケースです。
惜しいのは長嶋さんです。本塁打があと1本出ていればトリプルスリー達成だったのですが、この年、長嶋さんには「幻の本塁打」(ベース空過)があり、これがなければ…と悔やまれます。しかし29本塁打で37盗塁はたいしたものです。
本塁打王になって盗塁ゼロという選手も4人います。まあ極端に盗塁数の少ない例は「エンドランの失敗がたまたま盗塁となった」というケースもあるので、5盗塁以下の選手は、走る気がない…ということでしょうね。
図:最多本塁打打者の本塁打数と盗塁数分布
上図はこれを散布図にしたものですが、「へぇ~、この選手って長打力だけでなく、よく走る選手だったんだ」とあらためて感じる人もいます。ホージー選手や山本浩二選手なんて意外ですね。
「長打を打つ選手は走らなくても仕方ない」「よく走る選手は長打力がなくても仕方ない」などと決めつけず、大谷選手のようにいろいろな才能を開花できる人がこの先にもいっぱい出てきてほしいものです。
(17.3.5コロりん記)