こんばんは。
レッスンに入る前に前置きが長くなってしまっておりますが……

今回はレッスンから一度離れて、コントラバスという楽器がどのように作られているか、部分部分の名前などを少しお勉強していきましょう。


まず、楽器としての分類ですが、これは皆さんご存知ですね。以前の記事でもたくさんお伝えしてきました。

そう、弦楽器です。
さらに細かく分けると、弓で擦って音を出す「擦弦楽器」という仲間に分類されます。
ヴァイオリンやヴィオラ、チェロもこの擦弦楽器の仲間です。

コントラバスという楽器を説明するときによく「ヴァイオリンの一番大きいやつ!」と言われるのですが、実は厳密にいうとこれは間違いなのです。
間違いだ!!と神経質になる程のことでもなく、仲間であることに違いはないのですが…

それはコントラバスがヴァイオリン、ヴィオラ、チェロとは別の歴史を辿ってきたからなのです。この辺りはまた別記事で詳しく説明するとして……


見た目で分かる、コントラバスとヴァイオリン属(ヴァイオリン・ヴィオラ・チェロ)の大きな違いは、その形にあります。

実際に見てみましょう。
ヴァイオリン

画像はフリー素材からお借りしました。


コントラバス




どうですか?
ヴァイオリン属に比べて、コントラバスは、なで肩でくびれの部分もなだらか。そして、裏板を見てみるとヴァイオリンが丸く湾曲している(ラウンドバック)のに対し、コントラバスは平ら(フラットバック)になっているのです。



あれ!?でもちょっと待ってください。
前回私が持っていた楽器は…………
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コントラバスなのにヴァイオリンの形してるじゃない!!!これってもしかしてコントラバスじゃないの!?!?



………とお思いの方、いますよね?

実はコントラバスには、今説明したなで肩のタイプの他にも、ヴァイオリンのような形をしているものもあるのです。
さらに、なで肩で裏板がラウンドバック!など色んなパターンがありますよ。

それだけではありません!
弦の数も4本、5本
大きさも大きなものから小さなものまで幅広く。
弓なんてジャーマンボウフレンチボウの二種類もある!


…………なんともいい加減な
いやいや、おおらかな楽器なのですよ。

このように多様な形があるのは他のヴァイオリン属にはない特徴で、
多様な舞台で活躍するコントラバスならではだなぁ、と面白く感じます。

そう!!懐が広い!!(*^_^*)




さて、それではレッスンをしていく上で必要になってくる、
コントラバスの各部分の名称
を主要な場所を中心に勉強していきましょう。


まずはこちらをご覧ください↓
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へったくそな手書きの画像ですが、わたし、これでも頑張りました!!(笑)
名称は英語表記日本語表記とありますが、一般的に日本で用いられることが多い呼び方で書いてあります。
あれ?私の知っている呼び方とちがうぞ?という方、他の呼び方もあるので調べてみてくださいね。



これをもう少し詳しく、実際の写真を使って部分ごとに見ていきましょう。

まずはこちら。
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表板と、側板
そのまんま、楽器の表側と横側の板です。


そして裏は裏板
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ご覧の通り木を削って出来ていますが、木材の種類は表板と側板裏板で違うものが使われています。

まず表板で使われる木材は
」の仲間。
詳しく言うと「ドイツ唐檜(フィヒテ)」「スプルース」という木材が使われています。
日本のくねくねした松とは違いまっすぐな幹をしていて、非常に軽いわりに強度がとても高くそれでいて程よい柔らかさをもつという、
中心的な振動響板となる表板にぴったりの特徴を持った木材なのです。


横板、裏板で使われる木材は
」の仲間。
こちらは表板の振動をサポートする土台となるように、より丈夫な木材である楓が使われます。なかでもボスニア地方産の楓は杢が深い割に柔らかくとても良い木材だそうです。



……ただ、コントラバスの場合、特に量産の楽器だと、合板でできているものもあります。
こんなに大きな楽器です。なかなか良い材料が手に入らず、高価になるのも仕方ないことですよね。



今度は上の部分を見ていきましょう。
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表板から上に伸びる細い部分がネック
弦を指で押さえる部分の黒い板が指板
弦を巻き取っている部分がペグ(糸巻き)です。
上のくるくるクロワッサンのような部分はうずまきぐるぐるとか、もう好きに呼んでますね(笑)



ネックに使われる木材は裏板や側板と同じ丈夫な「」。
指板にはさらに耐久性が高く丈夫な「黒檀」が使われます。弦の張力と指で押さえる力、そのどちらにも耐えられる非常に堅く重い素材が必要になってくるのですね。
ペグは弦を巻き取っている部分ですが、ヴァイオリン~チェロが木でできているのに対してコントラバスはがっつり金属のスクリューで作られています。

弦の張力(両端を引っ張る力)は
ヴァイオリンでおよそ20kg(ピアノの約2倍)
チェロで50kg
コントラバスはなんと150kg!!!!
こんなにもすごい力がかかっているとは…コントラバスのペグが金属で機械じみてくる訳ですよね(~_~;)



続いては中央部分です。
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楽器に空いている穴は、形のそのままの名前f字孔
そして中央で弦を支えている柱がです。

近寄って見てみましょう。
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はこのように芸術的な形をしています。
この、駒という部分が実はとても大切な役割をしているのです。
先ほども書きましたが、とてつもない弦の張力がかかっている駒。(実際駒にかかる力は張力の75%くらいと言われています)材料には裏板などと同じ丈夫な「」が使われています。


そしてこの駒、実は楽器本体には接着されていないのです!!なんと弦の張力だけで立っているのですよ。
ですので弦を外すとポロリと取れてしまいます。
駒が外れてしまうと、あとから説明しますが楽器の中にある魂柱という大事な部分が外れてしまうこともあり、とても危険です!
ぶつけたりしないように気をつけましょう。弦を張り替えるときには一度に全部の弦を緩めてしまわないように!必ず一本ずつ取り替えてくださいね。

駒は楽器の鳴る仕組みでとても大事な部分です。長くなってしまうので、また今度詳しく説明したいと思います。


続いてはf字孔
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見ての通り、アルファベットのfの形をしています。
とても芸術的で、美しい模様ですね。
この形にも秘密があって、色々な歴史を辿ってf字にたどり着いたと言われています。詳しくは楽器の歴史のところでお話ししましょう。


このfの字の刻みが、駒を立てる位置の目安になっています。
ご自分の楽器の駒を一度確認してみてください。
f字の真ん中にちゃんと立っていますか?そして駒が傾いていませんか?
張力によって、ネック側に傾いてしまっている楽器をよく見ます。
これではいつか駒が倒れてしまい危険です!できることなら弦楽器屋さんへ持って行って修理してもらいましょう。自分で調節もできますが、やはり危険なので楽器屋さんにお任せしたほうがいいでしょう。

一度私の教えている学校の楽器で、駒が傾きすぎて楽器を弾いているときに
バターーーーン!!!
という衝撃音とともに弦が外れて駒が落ちてしまったことがあります。
150キロもの力がかかっています。当然そうなりますね。
とても恐ろしい体験でした((((;゚Д゚)))))))
幸い生徒さんにも楽器にも怪我はなく、その場で応急処置をして急いで楽器屋さんへ持って行ってもらいました。

このように危険な事態に陥らないように、日ごろから駒の位置の点検を行いましょう!

駒の位置は

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・f字孔の内側の刻みに中心を合わせる!

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・テールピース側(楽器の下側)が直角になるように!

これを覚えておきましょう(*^_^*)



さて、長くなってきましたがあともう一息です!続いては楽器の下側へ。
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弦を止めている部分がテールピース
そして楽器の下からにょきっとでているのがエンドピンです。

テールピースは指板と同じく黒檀でできています。
そしてエンドピンはヴァイオリンとヴィオラには無く、下に刺して弾く楽器であるチェロとコントラバスにだけついています。素材はいろいろとありますが、チタンや真鍮、タングステンなどの金属で出来ています。
素材によっていろいろと音色が変わるといわれていますので、一度引き比べてみるのも面白いと思いますよ。
家や学校で使うときには床を傷つけないようゴムをつけたままのほうが良いですが、ホールなどの木の舞台上ではぜひゴムを外して直接床に刺して弾いてみてください。
そのほうがダイレクトに地面に振動が伝わるので、響きがとても良くなりますよ!


さて、目に見える部分は大体説明し終わりましたが、大事なのは目に見えない部分。楽器の中にある最も大事な2つの部分について最後にお話ししましょう。

その2つとは魂柱バスバー(力木)です。

駒を中心にして、右側のf字孔から楽器の中を覗いてみましょう。
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表板から裏板へ、円柱状の柱がわたっているのが見えますか?
これが魂柱です。

名前の通り(魂の柱!)楽器にとって大事な心臓部分です。
英語ではサウンドポストですが、イタリア語ではアニマ(霊魂・魂という意味)と呼ばれます。
とても大事な部分だということが名前からも伝わりますね。

魂柱は、表板に伝わった振動を裏板へと伝え楽器全体へと響かせる大事な役割を持っています。
この魂柱も接着されてはおらず、弦の張力によって止まっています。
ですので先ほども言ったとおり、駒が倒れてしまうと楽器が緩み魂柱まで倒れてしまって大変なことになるのです。
いちど魂柱が倒れてしまうと、素人では直せず楽器屋さんに頼むことになるのですが…f字孔から特別な器具を使って手探りでよいしょ!と立てるのはとても難しいそうですよ。
充分に注意しましょう!!


そしてもう一つバスバーとは…
魂柱とは反対側のf字孔から楽器の中を覗いてみてください。
とっても見づらいですが、表板の裏側 、ちょうど駒の脚の真下に来る位置に、天井の梁のように縦に一本の棒がついています。
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これをバスバーといい、音の振動を表板全体に広げる役割をもっています。
魂柱と同じく、楽器にとって大事な部分なんですよ。
どちらも表には見えないけれど、まさに縁の下の力持ち!ですね(*‘∀‘)

魂柱とバスバーには、表板と同じ「」の仲間が使われています。



さて、今回は楽器の部分部分の名称を簡単に見ていきました。
主要な部分の名前は、レッスンでも出てきますのでしっかり覚えていきましょうね♪



次回は、最初のほうでも少し書きましたが
コントラバスの歴史
について、もう少し詳しくお話ししたいと思います。


なかなかレッスンに入れずすみません(´・ω・`)
ゆっくりペースで更新していきますので、急ぎの質問などあればメッセージやコメントでお願いします。