
リータンアドレスは無く、ただ『明日への遺言演出部』と筆ペンで書かれていただけ。
以前の集合写真の時は事務所からマネージャーが送ってくれたものだが、これは直接東宝から来ているらしいのは分かった。
なんだ?なんだ?
中身を確認してみると、そこには数枚の写真と映画のチラシと手紙。
写真は映画の衣装合わせに行った時に撮影された扮装テスト。
普通、こんな物が私達の手に届く事は無い。
数日に渡って撮影する時には、スタイリストさんやヘアメイクさんがこの写真を見て同じ様に仕上げていくため、メイク室や衣装室の壁にコレが全員分一面に張り付けられていて、撮影が終わった後にどうなるかなんて、捨てるんだろうくらいにしか思っていなかった。
添えられていた手紙には、映画も完成まであと一歩という所へ来てスタッフルームを撤収する事になり片付けをしたらこの写真が出て来た。
自分達が持っているよりは、出演者の皆様のお手元にある方が写真にとってもいいだろう思い郵送しました…と書いてあった。
ああ…本当に。
なんて人達なんだろうと、またしみじみ思いました。
約1ヶ月間と長い撮影だったとはいえ、たかがエキストラにここまでしてくれるなんて。
私達の仕事は生きた小道具と称される画面の背景の一部。
確かに監督さんがおっしゃっていた。
決してそうはしたくないんだと。
だから家族の設定が映画の中に直に織り込まれていなくても、事細かに設定を作り込んで私達に演じさせたんだろうけども。
撮影中から小泉組のスタッフさんは本当に良くしてくれたし、みんな気持ちのいい人達ばかりだった。
撮影最終日の集合写真にしたって、一緒に入って撮影してもらえた上に、その出来上がった写真までちゃんと頂けた。
これだけでも異例中の異例なのに、あれから3ヶ月近く経っているのにこうして気を使ってくれて、本当にありがたいし感激!
手紙も活字で打ったものだけども、最後に実筆で「お世話になりました。有り難うございました。」と記されていた。
ちょっと涙が出そうになりました(笑)。
この仕事を初めてすぐに気が付いた事は、エキストラは現場の待遇が決していいわけではないしキツい現場も沢山有るけど、私が帰る時にもスタッフは撤収や次の仕事を黙々としている。
ああ、あの人達はもっと大変なんだと言う事。
キツいと愚痴も出ますが、最終的にはそこに回帰します。
光一さんが最近、同じ様な事を言っていて驚きましたが、そういう風に考える事が出来る人で何だかちょっと安心しました。
こちらから小泉組のスタッフさん達へ直にお礼が言えないのが残念ですが、こちらこそ本当にお世話になりました。
有り難うございました。
この手紙と写真は宝物です。