谷川浩司九段(十七世名人資格者)は、近著『藤井聡太論 将棋の未来』(講談社)でそう語る。

 谷川は59歳。一方の藤井は7月19日の誕生日にようやく19歳となる。40も年齢が離れた両者の共通点とは何か。

 まずは14歳(中2)という若さで棋士(四段)になったこと。その経歴から自明な通り、両者は将棋400年の歴史でも屈指の早熟な天才として、キャリアのスタートを切っている。

 谷川は1983年、史上最年少の21歳で名人位に就いた。この記録は現在も破られていない。一方、藤井は昨年、史上最年少の17歳で棋聖位に就いている。

 現代のスーパースター・藤井とは何者か。藤井に関する最上の語り手の一人が谷川である。

「将棋が好き。将棋が強くなりたい。将棋の真理を究めたい。藤井さんと対局して感じたのは、その思いだけです」

 谷川と藤井は過去に2回対局している。結果はいずれも藤井の勝ちだった。藤井は現在、驚異的なペースで勝ち続け、これまでの将棋界の常識では考えられないような多くの記録を打ち立てている。しかし、藤井自身はそうした記録を意識することがない。

「おそらく藤井さんは、いまは楽しくて仕方がない。彼にとっては勝つことよりも、新しい世界がどんどん見えてくることのほうが楽しいのでしょう」