俺は中学三年生の1年間、ディーゼルで通学し、吉松駅を利用していた。
駅中には『駅弁たまり』という売店があり、弁当の立売もやっていた。
そこの息子さん玉利くんとは同級生で、転校して間もない自分にとても良くしてくれた。
自宅に誘ってくれて、親父さんが自慢のうどんを食べさせてくれたり、帰宅するディーゼルの窓を叩いて売り物の弁当を持たせてくれたりした。
おかげで新しい中学と環境に直ぐに馴染めて、伸び伸びと楽しくドラムを叩いて過ごすことが出来たと思う。
数年前に湧水町のイベントに出た時は、あいにくタマには会えなかったが、近いうちに旧交を温めたいと思っていた矢先、彼の訃報が届いた。
心不全だった。
あの時の感謝を伝えられていないのが残念でたまらない。
たまりは、既に閉店したらしい。
俺の中では、ディーゼルの席で食べた「たまりの弁当」が世界一の味だ。
ありがとう。