村上春樹『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』


読みました。

卒論書き終わって、とにかく「イラク戦争じゃないものが読みたい!」「小説が読みたい!」という思いで(笑)手にした本です。

「世界の終わり」と「ハードボイルドワンダーランド」という二つの世界の話が同時進行していき、
だんだんと二つの世界のつながりが明らかになっていく。

春樹の小説って(友達か!笑)、
どうしようもなく暗くて希望なんかなくて絶望のどん底
っていうの多いですよね。

あと、存在しない世界や生き物のことを、まるで本当に見ているかのようにものすごく詳細に描写する。


この本にも両方の要素がありました。


希望が全て絶たれてもうどうにもできない、っていう暗さはあるんだけど、
物語の後半にいくにつれてなんだか…美しくて静かで、朝もやみたいな清々しさに包まれていくんです。

不思議な気持ち。


生きることって、生きていることって、神秘的ですごいことなんだ。
って訴えている気がする。

世の中はつらいことがたくさんある。
人間は「心」があるから苦しんだり悲しんだり。「心」に振り回されて生きている。

でも、それこそが人間が生きるということなんだと。



「戦いや憎しみや欲望がないということはつまりその逆のものがないということでもある。
それは喜びであり、至福であり、愛情だ。」

「絶望のない至福なんてものはどこにもない。」

「太陽の光が長い道のりを辿ってこのささやかな惑星に到着し、その力の一端を使って私の瞼をあたためてくれていることを思うと、私は不思議な感動に打たれた。」



人間ってすごくちっぽけな存在。
地球上にはたくさんの人間がいて、それぞれがそれぞれの人生を一生懸命生きているんだけど、やっぱりものすごくちっぽけ。
そこに何の意味があるんだろう、なんて考えそうになる。


でも、そのちっぽけな人生を一人一人が一生懸命生きていくこと自体がすごく大切で尊いことなのかもしれない。

そんなことを考えたり考えなかったり。


話の中盤と最後で印象がまったく異なる本でした。


ごちそうさまでした。