映画「火天の城」 | コルネットのうだうだ

映画「火天の城」

公式サイト

http://katen.jp/


信長の命を受け、安土桃山城を建て上げた棟梁の心意気を描いた作品。最近は映画にも時代物が流行っているようで、「バラッド」にしようかこちらにしようか迷ったけど、「バラッド」はどうも若い人向けだろうと思い、こちらにしました。観客は想像通り、高齢の方がほとんどでした。


主演の西田敏行はさすがに役どころをつかんでいて素晴らしかった。しかしシーンによっては殿様より立派に見えたところもあった。最高に良かったのは大竹しのぶで、西田との夫婦のシーンには涙させられた。娘役の福田沙紀も可愛らしく、父と母を思いやるけなげな一人娘をよく演じていた。


劇中音楽がレッドクリフに似ているな、と思っていたが、案の定、岩代太郎が担当していた。低音の弦楽器が重厚で、素晴らしい音楽だったが、レッドクリフとは違い、それほど音楽には重点が置かれていないようだった。


【以下、ネタバレがございます】








どのような城にするのか、信長の命により、コンペが開催されることになり、西田チームのほか、金閣寺建築チーム、東大寺建築チームが、完成予想図や模型を使ってプレゼンするところは非常に面白かった。これは完全に創作だろうな、と思ったけど。



中盤あたりまではすごく良くて、これは良作だ、と思っていたのだが、後半どんどんストーリーがブレてきた。終盤には「??」と思えるシーンが続出。ラストもイマイチ感動しないままだった。


妻(大竹しのぶ)は肺結核と思われる病で亡くなるのだが、「ゴホッゴホッ」、手を見たら血が・・・、というふる~いパターン。もうちょっと工夫できなかったのか。


巨大な岩石を移動させる作業をしていると、作業をしていた中から反体制分子が現れ、信長を暗殺しようと迫る。ワイヤーを使ったアクションシーン。互いに恋心を抱いていた山本太郎と水野美紀は槍で刺されて息絶える…。しかし、これもよくわからない設定だったし違和感を感じた。こんなシーンは要らなかった。


若手大工の「イチゾウ」は戦(いくさ)に駆り出されて、そこで死んだと思われていたのだが、城建設の最大のクライマックス直前にひょいと姿を現し無事だった、と。でも、この大事な時期に、そんなサプライズは余計で、本来の、みんなで力を合わせ城を完成させる、というストーリーがブレてしまった。


ラストはめでたく城が建ち上がり、めでたしめでたし、なのだが、CGの城がデーンと映っておしまい。CGの城に全然迫力が無いのは仕方がないとしても、それをとりまく西田敏行ら職人がなんにも登場しないのはどうなんだ?人がいないことには感動もない。


配役は、夏八木勲や緒方直人など非常に良かったが、吉本の芸人だけは不要だった。


映画冒頭に、この城は3年で消失してしまった、という説明があるが、その事情については映画中で何も触れられなかった。この作品のテーマ上、落城シーンを最後にもってくるわけにはいかないのかもしれないが、それなら3年で消滅した旨は最後に持ってきたほうがよかったと思う。


批判ばっかりになってしまいましたが、題材もテーマもよかっただけに、脚本をもう少し練りこめばもっと重厚な良い作品になっただろうにと思うと、非常に残念です。