ホカゾノの生ヴァリアンツ
【今回はすごくマニアックな内容を書きますので、分からない方はスルーでお願いします】
近畿大学吹奏楽部の定期演奏会に外囿祥一郎氏(ほかぞのしょういちろう氏。日本が誇る世界的ユーフォニアム奏者)が客演として出演すると聞き、仕事を午後の途中で早退して聴きに行ってきました。
当日になるまで仕事の都合がつくかどうか不明だったので、前売券は買いませんでした。幸い今日は仕事が早く片付いたので、当日券の販売開始時刻には会場に着いたのですが、それでも座席指定券の交換窓口には数百人の列が!あー、もっと早く着たらよかったかな。
でも当日券はもともと2階席が割り当てられているようだったので、まあどんな席でも聴ければいいや、と思って、会場に入って座席に着いてみると、指揮者を真左から見る位置だった。うーん、これではトランペットやトロンボーンなどの直管系の音が前を素通りしてしまうなぁ。でも1階の通常の席よりも舞台全体がよく見渡せるので、バランスの良い音を聴くことよりも、今日は舞台を眺めつつ楽しもうと思った。
何曲かが終わり、第1部最後の曲、私のお目当て、「シンフォニック・ヴァリアンツ」(カーナウ作曲。なお近大のパンフ・プログラム等では「ユーホニアムと吹奏楽のための交響的変奏曲」と表記されている)。これは、ユーフォニアム界では有名な、超超超難曲。
ホカゾノ氏が登場。私の位置からは指の動きも詳細に見えるし、ベルが私の右45度方向に向いているので音がよく聴こえて都合が良い。ユーフォの場合、聴き手にベルの方向が合わないと、音が全然聴こえてこないこともあるので、予想外にラッキーだった。
そしてヴァリアンツが始まった。すごい!何の苦もなくスイスイと演奏されていく。あまりに容易に吹かれるのでこの曲のクレイジーさがわからないほど。おそらくこの曲を知らない聴衆は、それほどすごいとも思わなかったのではないだろうか(オリンピックの体操競技を見ていても、さほどたいへんとも思えないのといっしょで)。でも、この曲をこうもスイスイ吹くことのできる人って、世界でも数名しかいないのではないだろうか。
私はこのシンフォニック・ヴァリアンツを聴くと、いつも何か荒野にたたずむガンマンが決闘に向かうような光景を思い描いてしまうのだ。なぜそのような曲想なんだろう、と思っていたけど、今日なんとなくわかった気がした。ソロユーフォに様々な挑戦を挑んでいるのではないだろうか。そしてそれは最後の最後にもやってくる。さんざん困難なフレーズを吹かせたあげく、奏者が疲れきった頃に超ハイトーン(ダブルハイF)が出てくるのである。もちろんホカゾノ氏はわけなく演奏した(普通の奏者にとっては未知の領域(音域)である)。
ふわ~、凄かった。まったくミスのない完璧な演奏であった。ホカゾノ氏ほどの実力になると、この曲でも鼻歌のように吹けるのであろうか。たしかこの曲はホカゾノ氏が日本管打楽器コンクールでグランプリを取ったときの曲だったのではなかったかな。
コンサートの前半が終わり、休憩時間にロビーで赤ワインを飲んだ。ヴァリアンツを聴きながら、体に力が入ってしまったので、後半は楽しんで聴こうと思った。後半が始まり、ラストの曲、この演奏会のメインである「展覧会の絵」(ムソルグスキー/木村吉宏編曲)が始まろうとしていた。この曲は楽団員全員出演のようだ。とそこへホカゾノ氏も加わっていた。
お~、展覧会といえばユーフォのソロがあるではないか。これはもしや、ホカゾノ氏が?と思っていたら予想通り、「ヴィドロ」のソロはホカゾノ氏が演奏してくれた。気負いのない、余裕タップリ、アマチュアには決してマネのできないプロの演奏そのもののユーフォソロである。
「展覧会の絵」が壮大に終わり、アンコール曲、そして2曲目のアンコール曲では、ホカゾノ氏がソロの位置へ。おっ、また吹いてくれるんだ、と思ったら、バンドよりも先にユーフォが吹き始めたので、ああ、これは!?と思ったら!
そう、あの名曲「パントマイム」(フィリップ・スパーク作曲)を演奏してくれたのだ。この曲、大好きなんだぁ。ちょっと涙が出そうになった。この曲とてアマチュアではそう簡単に演奏できるものではない。しかしホカゾノ氏はまたもやラクラクと演奏する。ラストの早いパッセージやダブルハイE♭も華麗にこなして完奏。素晴らしい~!!時間の関係か、スローな中間部がカットされていたのは少し残念だったけど、でもこれもよかったぁ。う~ん、この演奏会で、ユーフォのフルコースを味わった気分だなぁ(メインディッシュ、前菜、デザートの順に)。あ~満足満足。
わがまま放題にホカゾノさんのユーフォのことばかり書いてしまいましたが、演奏会全体も素晴らしいものでした。「展覧会の絵」での客演でない団員によるソロもびっくりするほど上手かったし、アンサンブルが崩れることもなく、迫力もあって、感心しました。吹奏楽コンクール全国大会2年連続金賞とは本物の実力です。
近大ブラスのみなさま、今日は本当に良いものを聴かせていただきました。特に外囿さんを招いて、このような夢のような演奏を聴かせていただけ、感謝感激です。これからもぜひ素晴らしい音楽を作り続けてくださいね。
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