映画「いまここにある風景」
公式サイト
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鉱物を掘りつくした鉱山、産業廃棄物の山など人間が生産行為のため地球に残した爪痕を撮り続けるカナダ人写真家、エドワード・バーティンスキーの活動に同行し、現代の中国における産業発展と自然破壊の有様をとらえたドキュメンタリー映画です。
これは私が以前からぜひとも観たいと思っていた映画で、それだけの価値はありました。作品中でも述べられていますが、掘り尽くされた鉱山や、産業廃棄物の山であっても彼のレンズを通すと美しい作品になるのです。ただそれを「美しい」と賞賛すべきなのか落胆すべきなのかは答えに窮してしまいます。人工的な調味料で作られたインスタント食品をおいしいと感じるが、それをおいしいと言ってしまうことに躊躇を覚えるのと同じかもしれません。
中国の産業はおそらく現代に生きる全世界の人々に少なからず影響があり、私たちが日々生活するためのほとんどの事象に中国製品が関わっていると思われます。そのため中国の産業を否定してしまうことは、現代の生活そのものを否定することになりはしないか。映画の中でも「良いとか悪いとかの問題ではなく、全く新しい発想が必要なんだ」と言っているのはそのためなのだろうなと思いました。
中国が悪いのではありません。産業発展に伴う自然破壊、環境汚染は先進国ならどこでもやってきたことです。ただ中国は時期的に遅かったことと、かつてないほど巨大であることが違うだけです。ならどうすればよいのか、これにも答えに窮してしまいます。ラストでは急速な都市化の問題についても触れていましたが、この映画を作った人、観る人の大半が都市部において現代の便利で快適な生活を送っているはずです。都市化を批判することは、これまた自分たちを否定することになります。
というわけで、この映画には結論がありません。どう感じるか、どう思うか。それを訴えかけているのだと思います。盛大に開催された北京オリンピックが閉幕し、汚染された事故米が話題になっている今日、中国と世界、そして我々の現状とこれからを考えさせられる、意義の深い映画だと思います。
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