ちーちゃん飼育記~2
ちーちゃんがどこで生まれて、どんなふうに育ち、誰にウチの前まで連れて来られたのかわからない。飼いネコ出身なのか、ノラネコ出身なのかもわからない。推測するしかないが、おそらくノラ出身だと思われる。人を見ると恐れるし、人になつこうという姿勢を見せないからだ。
ウチに来て2~3日間、ネコは落ち着かなかった。部屋に人がいればニャオニャオ鳴いて不満を表明するし、夜になっても仲間を呼ぶかのようにギャオ~と鳴いた。犬の遠吠えは聞いたことがあるが、ネコの遠吠えというのは初めて聞いた。ノドに力を入れて、うなるように大きな声を出す。普段はミイミイと子猫らしい小さな可愛らしい声なのに、そのときばかりは姿からは想像できないほど低い野太い声を出すのだ。
しかし4日目くらいから劇的に態度が変わった。相変わらず人を見ると怖がって隅に隠れるのはいっしょだが、まったくと言っていいほど鳴かなくなったのだ。一日中鳴かない日もあった。鳴いて仲間を呼ぶのがムダだと悟ったのかもしれない。ちーちゃんは人に甘えることを知らない。だから、おなかがすいても普通の飼い猫のように鳴いてねだるということをしない。ということは人に向かって鳴いて意思表示をすることがないわけだから、鳴く場面がないわけだ。
野生の動物というのは基本的に声を出さないと聞いたことがある。いらない音を出すと敵に見つかって襲われるから、なるべき声を出さないようにするらしい。そういう意味ではちーちゃんは野性味たっぷりのネコである。私も家族もまったくちーちゃんを怖がらすことをしていないのに、人の姿を見るだけですごく怯える。ノラネコ時代に人間にひどい目にあったのだろうか。こんなに小さい体の、まだ赤ちゃんネコなのに、精一杯人間に反抗してみせる。近づくと「ハーッ!」と言って、キバを剥いて威嚇する。
部屋の中ではテレビ台の下とかビデオデッキの後ろのスペースとか本棚の後ろとか、とにかく狭い場所に隠れている。あまりに狭そうなので、閉じた段ボール箱に15センチくらいの穴を開けてやり、入れるようにして置いてやった。ネコ用の「巣」である。すると気に入ったらしく、自分からそこに入るようになった(どんなネコでも箱の中に入るのは大好きだから、これは当然の行動)。段ボール箱の横にあいている穴からたまに覗くと、くつろいで寝ている様子が見えた。でもたまに覗いているのを気づかれて、私と目が合うと、また「ハーッ!」とされてしまう。
野性味たっぷりという意味では、ネコというよりトラとかライオンを飼育している気分になる。ネコは愛玩動物なのに、可愛がってやれないネコというのはどうなんだろう。でも遠くから子ネコの姿を見ているだけでも可愛いので、まあいいとするか~。つづく
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