此処もまた須佐男神社夏の川

 

水堂古墳の被葬者と、阪神大震災の犠牲者の霊に捧げる意を込めて、滋賀大津在住の日本画家 鈴木靖将が描いた当社拝殿の天井画「万葉の花」(平成十年作)は、東西8m 南北4mの格天井の杉板全面に165枚。銅鏡・刀剣など古墳副葬品をイメージした大作を中心に配し、その周囲に四季にわけて『万葉集』の歌に詠まれた野の草花、つばき・かきつばた・ききょう・おみなえし等々をデザイン化して描き、他に類を見ない意匠と色彩の傑作です。当社震災復興の美しくも貴重なシンボルでもあります。

神社本殿の天井画

 

 

道路から一段高く築かれた境内は、全体が五世紀ごろの築造になる前方後円墳(水堂古墳)である。往古、海中の小さな島ででもあったのか。そこに墳墓が築かれ、お宮が祀られ、当地の住民の氏神として守られてきたものであろう。創祀は天正3年(16世紀)という。当社も尼崎に数多い「スサノオ社」のひとつ。末社に、天武天皇社、天満宮がある。御社殿としては、流麗な流れ造りの本殿・拝殿、および総檜造りの手水舎があります。これらの社殿は、平成七年の阪神大震災によって旧拝殿(本殿・拝殿は大正六年造営)が倒壊したため、平成十年に復興再建されたものです。拝殿正面の社名額は、深山龍洞筆(大正6年)。本殿裏手には、古墳保存館もあります。

 

 

↑↓昭和37年の発掘を伝える当時の新聞のコピー

 

発掘現場がそのまま残されている。(遺物は文化財収納庫)

当社の境内地(約1300平方メートル・約四百余坪)のほぼ全体が、間口50メートル、奥行き60メートルの前方後円墳で、水堂古墳と呼ばれ、尼崎市指定文化財になっています。

「水堂」というのは地名ですが、往古、このあたりは海辺に近く葦原の生い茂る湿地でありました。「みずどう」は、もと「みずど」もしくは「みど」(水処)だったのかもしれません。そして弥生後期(二、三世紀ごろ)からこの地に人々が集落を営んでいたことが分かっています。古墳は昭和三十七年(1962)に発掘調査が行われ、粘土槨におおわれた朱塗りの木棺が納められていた古墳中心部は、今も保存されています。発掘当時、粉状になった人骨をはじめ、副葬品として鉄槍、鉄斧、直刀、短剣、竹製の櫛、胡籙(矢筒)、そして珍しい銘文を刻んだ青銅の鏡(三角縁神獣鏡)、弥生式の甕や土器などが発見されました。おそらく当地域の海洋と陸地を領有した豪族の墓であったろうと思われます。

神社の近くで百合を見た。みごと。

プランター植えで支柱をして丁寧に管理

神社境内のクチナシ 花は終わりかけている

 

 

山梔子の花の衰え後円墳

福住公園内のタイザンボク

 

低いところで咲いているので撮りやすい。

この花もすぐに汚れる。今が見ごろ。

泰山木の木蔭に入りて出でずゐる 岸田稚魚 『紅葉山』
 
泰山木まづ日にささぐ第一花 薄木千代子
 
泰山木おのが木暮に花咲かす 長倉閑山
 
泰山木の一花やことに風湧きて 永方裕子
 
谿ちかく絶唱の白泰山木 友岡子郷
 
花暮れや泰山木の海凪げり 石 寒太
 
泰山木一花を朝の日に捧ぐ 岸風三楼
 
夢殿や泰山木の花ひらく 穴井 太
 
岬暁くる力泰山木咲かす 加倉井秋を
 
泰山木花上に雨後の重き天 林 翔
 
ロダンの首泰山木は花得たり 角川源義
 
泰山木夫病む夕べ花満てり 平田よしこ
 
泰山木昃れば雲に乗りて咲く 向山隆峰
 
手のひらの熱き泰山木の花 栗島 弘
 
旅を来て魯迅墓に泰山木数華 金子兜太
 
二階の灯とんで泰山木の花 細川加賀 『玉虫』
 
光り降る泰山木は花か鳥か 原裕 『王城句帖』
 
泰山木妻へ傾く夜の雲 原裕 『葦牙』
 
泰山木の花に怒りの相を見し 波多野爽波 『一筆』
 
泰山木花衰ふるときも激し 長谷川秋子 『菊凪ぎ』『鳩吹き』『長谷川秋子全句集』
 
泰山木家出るたびの遠目ぐせ 野澤節子 『鳳蝶』
 
真近くて泰山木は初ひの花 岸田稚魚 『雪涅槃』
 
泰山木に雪あつきかなまた雪に(二月二十八日深大寺に波郷埋骨) 角川源義 『冬の虹』
 
ロダンの首泰山木は花得たり 角川源義 『口ダンの首』
 
泰山木隠愛(なびはし)の花かかげたる 加倉井秋を 『隠愛』
 
泰山木乳張るごとくふくらめる 阿部みどり女 『石蕗』
 
泰山木の花の高さに日照雨 白鳥順子
 
泰山木終の一花として高し 畠山譲二
 
咲ききつて泰山木は雲となる 山田晴彦
 
泰山木家出るたびの遠目ぐせ 野沢節子
 
泰山木咲きて法王常に老ゆ 中村草田男
 
なが雨や泰山木の花堕ちず 杉田久女
 
泰山木明日に向かひて香を放つ 苗代 碧
 
泰山木鏡なす葉に咲かむとす 水原秋桜子
 
雲流れ泰山木の花のこる 柴田白葉女
 
あさの客泰山木を挿してまつ 及川 貞
 
暁の空気泰山木咲けり 星野立子
 
泰山木ひらきおくれの花一つ 星野麦丘人
 
昂然と泰山木の花に立つ 高浜虚子
 
皓々と泰山木のけさの花 日野草城
 
壺に咲いて奉書の白さ泰山木 渡辺水巴
 
町医者のおおらか泰山木咲けり 野村あつし
 
泰山木咲くたび小さくなるわたし 橋本敏子
 
泰山木一花を残し日昏れけり 榎本尹子
 
泰山木終りの花が発光す 八木尋子
 
泰山木咲くはつとしてほつとして 益田 清
 
雲流れ泰山木の花のころ 柴田白葉女
 
泰山木鏡なす葉に咲かむとす 水原秋櫻子
 
泰山木花高く亡き人は無し 渡邊千枝子
 
泰山木巨らかに息安らかに 石田波郷
 
泰山木離れて花のあまた見ゆ 木津柳芽
 
泰山木父恩の高さもて咲ける 渡邊千枝子
 
泰山木けふ咲きけふの蘂こぼる 福永 耕二
 
無垢といふ勁さ泰山木咲けり 小野恵美子
 
妻と居れば泰山木に海の闇 佐野まもる
 
花見えぬ不安泰山木の樹下 朝倉和江
 
満月に放心泰山木の花 吉本 昴
 
泰山木の巨いなる蕾自信欲し 石田あき子
 
あさの客泰山木を挿してまつ 及川 貞
 
初咲きの泰山木に晴れつづく 武内夏子
 
泰山木君臨し咲く波郷居は 及川貞
 
天の無垢泰山木の花染むる 有地紫芳
 
葉がくれに泰山木の花終る 園田弥生
 
泰山木開くに見入る仏像ほし 加藤知世子
 
泰山木樹頭の花を日に捧ぐ 福田蓼汀
 
泰山木巨らかに息安らかに 石田波郷
 
泰山木天にひらきて雨を受く 山口青邨
 
太陽と泰山木と讃へたり 阿波野青畝
 
泰山木の大き花かな匂ひ来る 臼田亜浪
 
磔像や泰山木は花終んぬ 山口誓子
 
壺に咲いて奉書の白さ泰山木 渡辺水巴
 
泰山木一羽一羽のごとき花 田口紅子
 
泰山木瀧の肺腑は青かりき 齋藤愼爾
 
日のさして泰山木の低き花 岸本尚毅 舜
 
泰山木昨日の花に錆にじみ 西村和子 窓
 
泰山木花の崩れに空かしぐ 上田日差子
 
朝の膳泰山木の一花あり 和田耕三郎
 
白猫は汚れ泰山木の花 依光陽子
 
泰山木咲きて織部の茶*碗かな 佐藤美恵子
 
子を抱いて泰山木の花の下 下村梅子
 
病葉を拾えば泰山木堅し 西村我尼吾
 
泰山木開く気配に躓きぬ 一ノ瀬タカ子
 
月光を吸ふ音のして泰山木 加藤慶二
 
あけぼのや泰山木は蝋の花 上田五千石
 
泰山木ひらき僧の子ひとり遊ぶ 稲垣法城子
 
ロダンの首泰山木は花えたり 角川源義
 
泰山木王妃ひとりの刻に似し 筑紫磐井 未定稿Σ
 
泰山木しどけなき花つけたるも 中田剛 珠樹以後
 
ザングリトアラビテ泰山木の花 中田剛 珠樹以後
 
泰山木けふ咲くけふの白さもて 岡部六弥太
 
碧天を花器に泰山木の花 筏奈雅史

佳句なくて泰山木の花間近

 

名を知らぬ豪族の墓花山梔子