太公望消え薄氷の平らなり
一本杉
 
地には椎の実の累々。
「累々」意外にも例句多い。
四萬六千日近き鳩の影累々 中原道夫
 
嵐めく夜なり檸檬の黄が累々 楠本憲吉
 
岩瀬ばかりに累々と酸橘熟れ 友岡子郷
 
月一つ杏子累々熟れはじむ 青柳志解樹
 
紀州鬼の国山累々と蜀魂 中村苑子
 
累々として馬鹿面の旱石 宇多喜代子
 
テロの予感甕累々と雪を被く 齋藤玄 『玄』
 
切株の累々薯を植うるなり 相馬遷子
 
初鏡闇累々と横たはり 阿波野青畝
 
赤まんま墓累々と焼けのこり 三橋鷹女
 
農学校実を累々とねずみもち 青柳志解樹
 
寒卵累々と灯を求め合ふ 中村秋農夫
 
累々たる夏野の堆土これ墳墓 加藤楸邨
 
古家や累々として柚子黄なり 子規
 
生も死も累々として寒卵 岩岡中正
 
曝涼や累々として南朝史 牧野春駒
 
赤まんま墓累々と焼けのこり 三橋鷹女
 
累々と徳孤ならずの蜜柑哉 夏目漱石 漱石俳句集
 
鹿の糞累々として花芒 河東碧梧桐
 
青柿の累々と終戦日なり 有馬籌子
 
累々たる焼跡の甘藍はやあらず 石田波郷
 
おろかなる実の累々とかりんかな 大橋敦子
 
涼しさの累々としてまり藻あり 佐藤春夫 能火野人十七音詩抄
 
赤まんま墓累々と焼けのこり 三橋鷹女
 
理立の土累々と陽炎へり 斉藤夏風
 
獣皮累々と日を享け不意のひとり 林田紀音夫
 
累々と屋根死に手から歩きだす 林田紀音夫
 
林檎累々メルヘンのはじまれる 松澤昭 面白
 
師無き者等累々彳てり寒葬 楠本憲吉
 
没稿累々大統領令矢継ぎ早