7~9日美作行
とっくに終わっていることを承知でセツブンソウ(節分草)を見に、廃神社を覗いた。

廃神社とは言えないかも。無住社というべきか。

花が終わっていると、私は葉では識別できない。

3月中旬までに美作へ来れば、花は残っている。
↑初めての人なら案内板の下に咲いている花を節分草と勘違いしそう。

↑イチリンソウである。
姫踊子草しか知らなかったワイフの為に踊子草を見つけた。
私も今年初めて遭遇

もっと大きくなったものしか知らなかったが、この程度だと可憐な感じ。

無住社あたりの景色

この日は昼過ぎに遠い親戚である真言宗の寺を訪問。母方祖母(旧姓皆木)と前の住職(旧姓 小椋 例の木地師の小椋である)が従姉弟という関係だから、現の住職と私との関係は7親等である。
金堂を再建、僧房と厨房を新築、目下は本堂再建中である。

京都から来ていた宮大工に出会った。
4月8日ということで庚申餠という名のおはぎを宮大工さんともども頂いた。この日に食べるとⅠ年間風邪をひかぬとか。
「庚申餠」という言葉そのものはネット上では解説を見つけることが出来なかった。

鐘楼もかなり傷んでいるが改築の予定はない。宝物殿を造りたいとか。奥の院が今では一番古い建物となった。釈迦堂も新しい。

除夜の鐘は111回撞くことを学んだ。
3つは予鈴である。
今日CNNを見ていたら、foreshockという表現を使っていた。
予震があって本震があって余震があるともいえるが
「前震」が目下の用語のようである。
この前震を英語でforeshockと訳したのであろう。
逆ではないと思う。

でもって今の揺れがどれであるかは1年くらいしないと分からないのが
目下の地震学であるようだ。

厨房を守っているは現住職の姉である。
「老いの口」で留守だと言われ、
ワイフは???であったが、私は何となく分かった。
現住職は独身である。
檀家の一人が寺の境内に句碑を建てたいと申し出たが断ったそうである。寺の在り方に反するというのが住職の持論で、
しかたなしにその檀家は自分の家の庭に句碑を建てることにしたそうである。この檀家が、たまたまワイフの俳句仲間故に、5月の句碑びらきにはワイフが招待され、ついでに運転手役の私も招かれるそうである。

真夜の地震ありたる雛調度かな 行方克己 昆虫記

地震のあと夜の靄ふかむ大根畑 宮津昭彦

地震瞬間の画面にも揺れ働く人 五十嵐研三

間引菜に朝来たりけり地震のあと 堀口みゆき

今死にし母をゆすりて春の地震 岸田稚魚 『雪涅槃』

夕顔や方丈記にも地震のこと 阿波野青畝

寒牡丹囲ひ地震の国なりし 西村葉子

生きて会ふ地震一年の臘梅に 五十嵐 櫻

風花の舞ふにつけても地震のこと 関 弥生

地震のあと葡萄の粒のひしめきぬ 宗像ひで

露けしや地震の創ある石灯籠 市川典子

地震つづく夜も泡懐く水中花 星 水彦

地震のあと水脈変りたる種井かな 成田黄二

繭玉に残りて久し夜半の地震 根岸善雄

地震過ぎて夜空に躍る冬の梅 水原秋櫻子

息白しはげしき地震に膝つきて 岡本まち子

地震のあと髭のいとどの二段跳 根岸 善雄

地震のことふと忘れをり花明り 石定まさ子

地震ありて田螺の歩み逡巡す 内山 亜川

春宵や地震にまろびし加賀手鞠 宮崎みさを

春暁のかなしき夢を地震が断つ 宮津 澪子

地震つづく栗駒山の虫の闇 仙田洋子 雲は王冠

地震過ぎて夜空に躍る冬の梅 水原秋桜子

地震はげし雪吊の縄切れ縮み 西本一都

地震しげく草の実はじけやまざりし 西本一都

ゆれてゐる地震が藤や菊人形 小林拓水

夕顔や方丈記にも地震のこと 阿波野青畝

父の日の明方の地震わたりをり 八木林之助

今朝もまた小さき地震金魚玉 吉井莫生

アネモネの花の崩るる昼の地震 塩谷はつ枝

地震過ぎて夜空に躍る冬の梅 秋櫻子

地震のあと秋晴を極めたり 裸馬

あかつきや地震の後の杜鵑 几董

春の地震大きな鱗こぼれをり 遠山陽子

茶の花を渡る真昼の地震かな 内田百間

地震なき地へ高々と鳥帰る 五十嵐哲也

地震の街空広くして星月夜 稲畑廣太郎

冬の蝶汝もこの地震を生き延びし 三村純也

地震あとは簡素に住みて額の花 千原叡子

地震去つて街の雪掻はじまりぬ 青葉三角草

地震やめば春雷雨を伴ひ来 吉良比呂武

地震後の春夜つんざき稲光 吉良比呂武

五月晴なりけり地震起りけり 鈴木洋々子

塊に蜂歩み居て地震かな 原月舟

涅槃図の生きとし生けるものに地震 西本一都

金魚玉まだ揺れてをり地震のあと 田中三代子

春眠や身ぬちをくぐる地震の音 浅田巌

人逝きて少し地震ある秋の夜半 岸本尚毅 舜

地震止みし地にふたたびの虫の声 西村和子 夏帽子

人逝きて少し地震ある秋の夜半 岸本尚毅

凍つる夜の地震しづまりし黒羊羹 和田耕三郎

地震予後土塀を砕く東風の牙 吉原文音

青芝の馴染みて地震に耐へし家 稲畑廣太郎

地震の禍を留め六甲末枯るる 稲畑廣太郎

夕顔や方丈記にも地震のこと 阿波野青畝

蜂死して地震過ぎゆく山の音 対馬康子 吾亦紅

地震来て冬眠の森ゆり覚ます 西東三鬼

地震のあとひそかに龍の玉こぼれ 高島茂

綿虫の泛く頃合に地震ひとつ 杉山十四男

地震偲ぶ鐘殷々と寒の暁 久保曲浦

今は昔地震を語る火鉢かな 佐藤紅緑

星飛ぶや地震列島闇深き 松本津木雄

閼伽桶に蟻のただよふ地震の国 友永佳津朗

春宵の地震ありしといふなしといふ 高浜年尾

春寒や舟形の月地震にゆれ 中戸川登美

筬欄間日盛の地震わたりけり 宮津昭彦

鮟鱇の海底の地震見たる貌 八牧美喜子

ゆく春の地震とも風の触れしとも 荒井正隆

今死にし母をゆすりて春の地震 岸田稚魚

疼きけり深雪に地震に疼きけり 西本一都

うら枯や田川もあぐる地震しぶき 西本一都

相孤なり地震踏みこらふ吾も月も 西本一都

涅槃図や生きとし生けるものに地震 西本一都

曉けしらむ障子に地震の息ながく 西本一都

夜の稲架しんしん匂ひ地震ふれる 西本一都

寒深し十万の地震ふりしかば 西本一都

穂芒や地震に裂けたる山の腹 寺田寅彦

天鳴れど地震ふれど牛のあゆみ哉 幸田露伴 江東集

夷講地震るといふ末座かな 会津八一

羅や地震かすかなるシャンデリア 鍵和田釉子

腰紐に身を委ねいる春の地震 津沢マサ子

永き夜の地震のときは見つめ合う 池田澄子

地震止みし地にふたたびの虫の声 西村和子

鳰くぐり潜りて地震の神に会ふ 小泉八重子

黄水仙一せいに咲き地震恐る 横山房子

地震すぎて歯軋りのごと浅蜊磨ぐ 横山房子

晩春の地震や志功版画展 栗林千津

永き夜の地震のときは見つめ合う 池田澄子

地震やみしあとのしじまや猫の恋 深見けん二

春の地震白き少年光りあふ 攝津幸彦

子供らに地震のありたる春田かな 大峯あきら

地震雲たりや大綿染めにけり 中戸川朝人

筬欄間日盛の地震わたりけり 宮津昭彦

茶の花を渡る真晝の地震かな 内田百間

山村に晝の地震や梨の花 内田百間

蝙蝠や途次の地震を云ふ女 内田百間

地震多き半島國や春寒き 内田百間

ひと揺れの地震に持ちたる蝿叩 藤田湘子 黒

語呂があわない「地震」は「ない」と読む。
昨日の私の作品
「飛花落花の村脱ける」を、披講係は「ぬげる」と読まれたが
「ぬける」と読ませている。
「東風」は俳句になじみがない人でも「こち」という読みをご存じである。
「南風」は2音読みを求めている時は、「はえ」、3音読みなら「みなみ」
「涅槃西風」で登場する「西風」は「にし」と読む。
そういう世界に永年住み込んだので、いまではなんの抵抗もないが文学少年が独学で、文庫本になっている句集など繙くとまず最初の1ページ目で躓きであろう。

そういう躓きをできるだけ避けて作句したいと思っている。