*このシリーズの趣旨については、プロフィールを参照して下さい。

 

久しぶりに、ブログ内の「教養講座」とも言えるシリーズである。

 

これまで小生が手掛けた、

H・P・ウィルモット『大いなる聖戦・第二次世界大戦全史』(国書刊行会)

の訳本の初校を基に、“某”大教授監訳者の誤訳・不適訳の事例を分析してきたが、これからは再校に見られた同様な事例を検討することとする。

 

以下の原文は、原著者が1920~30年代の日本の対中政策を論じた箇所である:

 

原文:Tokyo was not blind to a Chinese nationalism that threatened Japanese interests and made impossible any attempt to mobilise Chinese opinion in support of those interests.

 

次に、再校段階での監(閑)訳者の訳を掲げる:

 

監(閑)訳者の再校での:日本の指導者たちは、中国の世論を、日本の権益を受け入れさせる方向に煽ることが不可能なことを忘れていた。

 

問:原文と訳とを対照して、訳中の誤りを指摘せよ。

 

ヒント:少し注意して読めば、直ぐに気が付くであろうし、近現代史、殊に日中戦争あたりの歴史を多少通じているならば、訳が伝えている内容がおかしいことが分かるであろう。