*当シリーズの趣旨については、プロフィールを参照してください。

 

接続詞を見落とすな、文章構成を俯瞰せよ、原文を読んでから監訳せよ(「こんなことを言う必要があるのか?」とも思いますが・・・)。

 

ウィルモット『大いなる聖戦・第二次世界大戦全史』(国書刊行会)

の訳出過程での誤訳検証を続ける。

 

今回摘示する箇所の文脈から概説すると、一九四四年秋連合軍が西欧で実施したマーケット・ガーデン作戦について著者が解説している箇所である。同作戦が行われた背景事情として三つの説が提示されているが、以下は、その三つ目の説について著者が記述したものである:

 

This is defined in terms of Eisenhower’s preference for an advance to the Rhine across the whole of the front but his support for an operation conceived as the means of encircling the Ruhr and striking into the heart of Germany with a single concentrated thrust, at a time when faltering supplies would otherwise impose a halt upon the Allied campaign.

 

以下に、小生の元の訳を修正した監訳者の修正訳を提示する:

 

監訳者の修正訳この第三の見方では、アイゼンハワーは全戦線にわたってライン川に向けて進撃することを好んだ。連合軍の補給態勢が行き詰っていく中で作戦が全面的に停止してしまいかねなかった折に、単一の進撃路に全力を傾注することでルール地方を包囲し、ドイツの中核地帯に突入できる手段として構想された作戦であったため、マーケット・ガーデン作戦を支持したということになっている。

 

問:この訳文には原文の含意を違える箇所があると判断せざるを得ない。どこであろうか?