日本のモンキーレンチ-9
エビ印/LOBSTERのすべて
前編 (スタンダードモデル)
ロブスターのモンキーレンチについて、これまで2回取り上げてきましたが、情報が分散してしまいましたので、『エビ印/LOBSTER モンキーレンチのすべて』としてひとつにまとめました。
さらに、ほぼ100年前の立上げ時の詳細、ならびにこれまで触れていなかった1960年以降についても解説を追加しました。
前編(スタンダードモデル)と後編(新世代モデル+関連情報)の2つに分けます。
最初のモンキーレンチJIS認証として1951年6月28日に5社が同時取得していて、LOBSTER/日本理器(現・ロブテックス)はその内のひとつです。
↑1952年1月号『標準化と品質管理』発行:日本規格協会
1.商品一覧
↑本稿(前編)で解説。
↓後編で解説。
2.会社概要
1888年/明21…国産初の両手バリカンを開発し、製造販売開始 by 伊藤兼吉氏(初代社長)の個人商店。【創業起点】
1923年/大12…理髪器具の製造販売を目的として初代社長の伊藤鐵工所と2代目社長の地引鐵工所が合併し、日本理器(株)を大阪/枚岡に設立。【創立起点】
1927年/昭2…社内に工具部を設立し、新規事業として鍛造作業工具の製造に着手。
1928年/昭3…可鍛鋳鉄(RK印)モンキーレンチ完成させ、さらに部分鍛造に改良。【モンキー製造起点】
1929年/昭4…同じく部分鍛造のエビ印/LOBSTERを製造販売開始。
1932年/昭7…RK印とエビ印共に国産初の全鍛造に。
1943年/昭18…帝国精鍛工業(株)に改名し、海軍指定工場に。
- - - - - 終戦
1945年10月…日本理器(株)に社名復帰。
1951年6月…モンキーレンチで初のJIS認証取得。(5社同時)
1966年…バリカン製造を打ち切り、工具専門メーカーに。
1990年12月…鳥取ロブスターツール(株)設立。
1992年10月…(株)ロブテックスに改名。
1998年4月…モンキーレンチ製造を鳥取ロブスターツール(株)に移管。
※会社沿革の詳細ならびにエビデンスは後編に。
・ロブテックスHP ⇒ こちら
3.商品解説
1)RK印(日本理器として初のモンキーレンチ)
エビ印モンキーレンチは1929年に生産販売が開始されています。
一方で、日本理器として最初のモンキーレンチは前年の1928年から生産が始まっているとホームページや社史に載っていますが、どのような商品だったのか最初の1年について説明がありません。
この最初のモンキーレンチがRK印であり、その詳細を解説します。
但し、得られている情報が限定的ですので、推定を含みます。(推定の場合は根拠を明示します)
入手できた情報は、以下の5点。
・資料-1…◇RK印モンキーレンチ実物
・資料-2…『ロブテックス120年史』から抜粋
(1) 赤枠…1928年/日本理器としての第1号モンキレンチ/RK印
(2) 青枠…ウォールナット部と下アゴ部を鍛造化/RK印
(3) 緑枠…1929年/ロブスターブランドの第1号モンキレンチ
(4) 紫枠…1932年/全部品を鍛造化
・資料-3…日本理器の自社解説(1930年/中外金物新報)

・資料-4…◇RK印の広告(1930年/内外金物新報/218号)
・資料-5…RK印の商標登録(1930年&1933年)
① ♡RK印 可鍛鋳鉄(1928年)
・資料-4の広告より日本理器に◇RK印モンキーレンチがあったことが分かります。
・資料-5の通り、その◇RK印は商標登録されています。
・一方で、資料-3よりハート♡RK印モンキーレンチも存在していて、かつ資料-2~4にて『従来品からジョー部を改良したのが◇RK印』と説明されています。
・これより、"従来品"として最初に♡RK印があり、その改良版が◇RK印だろうと推測しています。
・また、資料-2の『1928年に可鍛鋳鉄のモンキーレンチ製作に成功』との説明より、♡RK印は1928年生産開始され、可鍛鋳鉄製と考えられます。
・なお、翌年1929年に部分鍛造が始まっていますので、可鍛鋳鉄は最初の1年間だけの1929年までと思います。
・日本理器 ⇒ RIKIより"RK"と推測。
・『♡RK印と◇RK印の基本形状は同じだっただろう』とロブテックス・コメントを貰っています。
・したがい、資料-4の広告イラスト画像を利用して♡RK印の推定写真を作ってみました。(♡RKロゴ形状も含めてあくまでも推定です)

↑◇RK印を利用して♡RK印モンキーレンチを推定。(あくまでも推定写真です)
↓◇RK印の広告イラスト画像
※可鍛鋳鉄製/Maleible Iron Casting…ドスンと鋼材をつぶす"鍛造"では無く、溶かした鉄を鋳込んだ"鋳造"品に熱処理を加えることで高強度化したもの
② ◇RK印/部分鍛造(1928年~1932年+α)
・資料2~4より1929年からアゴ部(可動ジョー部)が強度の高い鍛造製に変更された部分鍛造に切り替わったことが分かります。
・また、資料-2より1932年に全鍛造が開始されていますので、RK印の全鍛造も1932年から生産されたと考えています。
・なお、エビ印も含めて部分鍛造と全鍛造が併行販売されていたとロブテック殿より聞いています。(4種併行販売)
・したがい、◇RK印の部分鍛造も1932年からしばらくは生産されていたことになります。
・資料-1の通り◇RK印モンキーレンチの実物が入手できていて、日本理器製であるとロブテックス殿の確認を得ています。
・この実物は裏面に製造方法の表示が無いことから、部分鍛造だろうと推察しています。(全鍛造なら"DROP-FORGED-STEEL"の刻印があるはず)
・もし、◇RK印の広告と商標登録を事前に見つけていなかったら、これまで『日本理器の最初はRK印』との情報が全く無かったことから、入手した◇RK印モンキーレンチが日本理器製とは気が付かないままだったと思います。
・日本理器スパナを調べている課程でまず商標登録を見つけ、どの商品に採用されている商標なのかと国会図書館資料を検索していて広告を見つけていたため、実物を見逃さずに済んだ次第です。
・ほぼ100年前のモデルを良く探し出せたと思っています。
③ ◇RK印/全鍛造(1932年から数年間)
・◇RK印の全鍛造品を見つけました。
・裏面の"DROP-FORGED-STEEL"の表示方法がエビ印⑤-1と同一です。
・表面の"MONKEY WRENCH ◇RK"の表示が資料-4の広告と同じです。
・この商品からサイズ表示を除いたものが広告になったと推察しますが、広告のイラストはデフォルメのしすぎです。
2)エビ印(1929年~1951年/JIS取得以前)
④ エビ印/部分鍛造(1929年~1932年+α)
=写真なし=
・資料-2の通りRK印の翌年1929年に本命のエビ印(部分鍛造)が登場し、生産販売が開始されています。
・◇RK印モンキーレンチを基にして"LOBSTER"とエビ印ロゴを刻印していますので、形状は◇RK印と同一です。
・裏面に"PARTIAL FORGED"などと部分鍛造を示す刻印があったのだろうと推測しています。
・後述の通り、赤箱で販売。(全鍛造は青箱)
・1932年の時点でRK印とエビ印の部分鍛造と全鍛造(計4種)が併行販売されていましたので、本モデルも1932年からしばらくは生産されていたことになります。
⑤-1 エビ印/全鍛造 JIS取得以前(1932年~1951年)
・エビ印の全鍛造モデルです。
・表面に”ANGLE WRENCH LOBSTER"とエビ印ロゴ、裏面には全鍛造を示す”DROP-FORGED-STEEL"。
・◇RK印モデルと比較すると、多くの情報が表示されていて、形状は同じながら全く別の趣になっています。
・なお、◇RK印と同様にエビ印の部分鍛造と全鍛造は同一形状とのこと。
・私が入手したモデルにはパネル内に約10本の横筋が入っています。
・この横筋は、鍛造型泣かせらしく、鍛造を繰り返して型が摩耗してきた場合に、文字は途中で型修正が可能ですが、横筋は修正が難しいとのこと。
・したがい、このモデルは一時期だけの存在だろうと言われています。
・この横筋が初期だけだったと理解すると、最初の1932年製の可能性があります。
・『ロブテックス120年史』に最初の全鍛造エビ印として同一の横筋10本モデルが掲載されています。(↓)
・基本デザインは、次の1933年モデル⑤-2以降と同じですが、握り部がストレートに近く、左から右に向けて太くなっている度合いが少ないように見えます。
・◇RK印と共に初期のみ別のデザインだったのかもしれません。
★赤箱と青箱
エビ印の化粧箱には部分鍛造の赤箱と、全鍛造の青箱がありました。
1932年以降もしばらく併売されていたとのことですので、安価な赤箱と高価な青箱で売り分けていたようです。
↑『日本理器50年史』
★初期の日本理器モンキーレンチまとめ
【参考】『ロブテックス120年史』内の国産化解説ページ
★日本理器が参考にしたクレセント・モンキーレンチ
・上側…100年前、当時のクレセント(アメリカ工具サイトAlloy Artifactより)
・下側…クレセント1926年カタログNo.17
これ以降、1933年(⑤-2)~1957年(⑥-6)は、日本理器の所蔵品より。
⑤-2 /1933年製(昭和8年)
・全鍛造を開始した1932年の翌年1933年製。
・上の⑤-1との差は、パネル内の横筋無し、握り部が右に行くほど太さ度合いが増すの2点。
・鋼材は、戦後の1949年まで軟鋼を使用。
※軟鋼:炭素含有量(約0.18-0.30%)、硬鋼/俗に炭素鋼(約0.40-1.00%)
↑1933年『全国工場通覧』内の広告(初めてのLOBSTERモンキー広告)
↑1937年6月『機械』内の広告
⑤-3 /1939年製(昭和14年)
・上段に"ANGLE WRENCH"、下段に"LOBSTER"、さらにエビ印ロゴという表示は、戦後のJIS認証取得モデル(1951年)まで続きます。
⑤-4 /1941年製(昭和16年)
・開戦直前のモデル。
・英語表記を継続できているのが興味深いところ。
・翌年1942年から軍需品の注文が激増し、1943年には社名を帝国精鍛工業に改め、1944年には軍の管理工場となり、銃や魚雷の鍛造部品を製造。
・帝国精鍛工業になってからは、『モンキーレンチやバリカンの生産量は従来の1/10に減少』とのこと。(後編に掲載の1997年刊行『東大阪市史』より)
- - - - - 終戦
⑤-5 /1946年(昭和21年)戦後の初モデル/黒
=実物または写真を探し中=
・戦争が終わり、社名が元の日本理器(株)に。
・8インチと10インチの"黒"モデルでモンキレンチ生産を復活。(月産5,000丁)
・あらゆる物資が不足していたので、飛ぶように売れたとのこと。
※この黒モデル⑤-5と"MADE IN OCCUPIED JAPAN"⑤-7に関しては『120年史』では無く、先代社長殿からの情報です。
⑤-6 /1946~50年製(昭和21~25年)
・しばらくは戦前モデルがそのままのデザインで生産されます。
・ただし、使用鋼材が1950年に軟鋼(炭素含有量0.18-0.30%)から硬鋼/俗に炭素鋼(約0.40-1.00%)に変更されます。(例えば、S45Cは炭素含有量0.45%)
⑤-7 /1948年(昭和23年)"Made in Occupied Japan"
=実物または写真を探し中=
・1948年(昭和23年)に輸出を開始。
・したがい、"Made in Occupied Japan"(占領下の日本製)と刻印された輸出専用モデルがあるはず。(輸出が再開した1947年からサンフランシスコ講和条約が発効される1952年までGHQが表示を義務付け)
・裏面の右側に刻印スペースがありますので、ここに"MADE IN OCCUPIED JAPAN"が上下2列または3列で刻印されていたと推定しています。
↑コニカ・カメラでの"Made in Occupied Japan"実例
3)JISマーク付き
⑥-1 /1951年製(昭和26年)JIS取得直後モデル
・1951年にJIS認証を取得し、最初のJISマーク付きモデル。
・裏面にJISマークが追加されています。
・JISマークの下に日本理器のJIS認証番号である"658"。
・JIS化に伴い炭素鋼からニッケルクロームモリブデン鋼に変更されているとのこと。
・クロモリ鋼を採用しても裏面表示は"DROP FORGED STEEL"のままですが、"Ni-Cr-Mo"の表示を追加すれば良いのにと思ってしまいます。
⑥-2 /1953年11月製(昭和28年)
・JIS取得の翌年、1952年にパネル内の文字デザインが一新されます。
・表面の"ANGLE WRENCH"表示が無くなり、代わりに"LOBSTER"が単独で大きくなり、裏面には会社名"NIPPON RIKI CO."と"MADE IN JAPAN"が追加されます。
・エビロゴも第2世代に変わり、頭のてっぺんの触覚がこのモデルから長くなります。
・製造記号"NL"が刻印されています。
・1951年までは製造記号が無く、1953年以降は製造記号がありますので、1951年~1953年に製造記号の刻印が始まったのが分かります。
★エビ印ロゴの変遷
↑エビ印ロゴ…第1世代(細身) ⇒ 第2世代(細身&長い触覚) ⇒ 第3世代(太身)
・第1世代(1929年~1951年)
・第2世代(1952年~1992年頃)
・第3世代(1992年頃/ロブテックスに社名変更~現在)
⑥-3 /1955年1月14日製(昭和30年)
・形状、刻印共に上の⑥-2と同一のようです。
⑥-4 /1956年4月製(昭和31年)
・1954年のJIS規格改訂で、強力形:H、普通形:N、部分鍛造形:Pにクラス分けされます。
・日本理器は強力形でのみ認証を受けていて、裏面のJISマーク右に"H"を追加。
・このモデルから右端の丸孔が全周縁付きになります。
⑥-5 1957年4月製(昭和32年)厚形
・従来モデルは厚型として継続。
⑥-6 /1957年3月製(昭和32年)薄型
・薄型タイプが追加されます。
・薄型には"NEW LOBSTER"と表示。
・JISクラスは厚形⑥-5と同じJIS-H/強力級。
↑薄型の化粧箱。
・"NEW LOBSTER"も1954年に商標登録されています。(日本理器は商標登録を確実に行っています)
⑥-7 サイズが"mm"表示に、そしてJIS-N/普通級
★ミリ表示
・サイズ表示がインチからミリに。(8 IN.⇒200mm)
・JIS規格でインチ表示が廃止されたことを受けて、各社が1960年代にインチ表示からミリ表示に切り替わります。
・日本理器も1960年代に切り替えたとのことですが、明確な切り替え時期については情報がありません。
★JIS-N
・上の⑥-6と同じ"NEW LOBSTER"ですが、こちらはJIS-N/普通級になっています。
・JIS/日本規格協会の資料では日本理器はJIS-Hの取得だけになっていますが、実際にはJIS-Nも取得していたことが分かります。
・JIS-Hに対しJIS-Nは廉価版の位置付けになると思います。
・日本理器での廉価版設定は、初期の部分鍛造④、このNEW LOBSTER、後述するスネール印⑨とエコ⑫の4種類と理解しています。
⑥-8 ロブテックスに社名変更(1992年~1998年)
・1992年のロブテックスへの社名変更に伴い、裏面の会社表示(NIPPON RIKI)が無くなり、製造方法&材質表示"FORGED CHROME VANADIUM"に変わります。
・日本理器/ロブテックスのJIS認証番号"658"が刻印されています。("658"表示は1951年のJIS認証取得時以来のこと)
・エビ印ロゴが現在も使われている第3世代に。
ここからOEMモデルが登場します。
項目下地の色は OEM/緑 、また 自社モデル/青 は変わらず。
⑥-9 ヤンマー向けOEM
・表面は通常の"LOBSTER"とエビ印ロゴの表示ですが、裏面に"YANMAR"との刻印があり、ヤンマー向けのOEMと分かります。
・エビ印ロゴが触覚の長い第2世代であることから、日本理器時代のモデルと分かりますので、1992年以前の生産となります。
⑥-10 "HOZAN"向けOEM-1
・ホーザンHKC向けのJIS-Hモンキーレンチ。
・JISマーク付きですので、JIS認証を取得した16社のいずれかの生産になります。
・JISの規定により、生産者を示す製造会社名(またはロゴ)、JIS認証番号またはアルファベット2文字の製造者記号の表示が義務付けられています。
・ホーザンのこの商品には製造会社名、会社ロゴ、JIS認証番号の表示がありませんので、アルファベット2文字が生産者を示すことになります。
・"NR"が該当し、ネツレン(NETSUREN)または日本理器(NIPPON RIKI)の2社だけが候補に。
・ネツレンはパイプレンチ/B4606でJIS認証を取得していますが、モンキーレンチ/B4604ではJIS認証を取得していません。
・したがい、このホーザンのOEMモンキーレンチは日本理器製と分かります。
・公になっている情報だけで製造会社が特定できますので、トレーサビリティーを重視しているJISは素晴らしい規則です。
(現在の新JISは、認証契約が終了してから1年経つと情報が公開されなくなるため、トレーサビリティー性が大きく後退してしまいました)
・ロブスターのオリジナルモデルでは具体的な材質名は表示されませんが、OEMモデル(ホーザンとTONE)ではCr-V/クロームバナジウムと材質名が表示されています。
4)鳥取ロブスター製
⑦-1 JIS付き 鳥取ロブスター製スタンダード(1998年~2005年)
・日本理器は、新たな生産拠点として鳥取ロブスターツールを新たに設立し、1998年4月23日にJIS認証を取得し直します。
・新しいJIS認証番号"695012"と製造者記号"TL"より鳥取ロブスターツール製と分かります。("TL"は、Tottori Lobsterより)
・会社HPの商品情報では2005年4月までJISマーク付き、同年5月からJISマーク無しになっています。
・一方で、販売情報では2008年9月までとなっていますので、JIS付きは2005年まで生産され、一方で2008年まではメーカー在庫として販売されていたのだろうと推察します。
・したがい、写真の商品は、鳥取ロブスターツールで生産された1998年~2005年製と理解しています。
⑦-2 "TONE"向けOEM
・TONE向けのOEMモデル。
・"695012"と"TL"より鳥取ロブスターツール製と分かります。
・材質名Cr-Vが裏面に表示。
⑦-3 "HIT"向けOEM
・東邦工機/HIT向けのOEMモデル。
・"695012"と"TL"より鳥取ロブスターツール製と分かります。
⑦-4 "HOZAN"向けOEM-2
・ホーザン向けのOEMモデル。
・"695012"と"TL"より鳥取ロブスターツール製と分かります。
⑦-5 安全自動車"SAFETY"向けOEM
・自動車整備機器を取り扱う安全自動車/SAFETYのOEMモデル。
・"TL"より鳥取ロブスターツール製と分かります。
・クロモリ製です。
・日本理器/ロブテックス製でクロモリ製と表示された唯一のモデルと理解しています。(1951年からのLOBSTERもクロモリ製ですが、鋼材名は表示されていませんでした)
⑧ JIS無し 鳥取ロブスター製スタンダード(2005年~現在)
・JISマーク表示が無くなった鳥取ロブスターツール製スタンダード。
・会社HPの商品情報で2005年4月までJISマーク付き、同年5月からJISマーク無しになっていますので、2005年~現在の商品と分かります。
5)スネール印
⑨ スネール印/廉価版(1955年頃~1960年頃)
↓パッケージからの拡大写真。(実物には無いカタツムリのイラストあり)
・日本理器のセカンドブランドとしてスネール印(Snail/カタツムリ)のモンキーレンチが商品化されていました。
・裏面に製造元として日本理器の表示が。
・スネール印の商標出願は1977年ですが、商品は1955年前後に販売されていた模様。
・長さ表示がインチであることからも、1960年頃よりも前と分かります。
・また、写真の商品にはJIS-NやJIS-Hなどのクラス表示が無く、エビ印モデルも1955年までJISクラス表示がありませんので、このことからも1955年頃またはそれ以前と分かります。
・外箱の裏に表示されている様に『エビ印/LOBSTERの姉妹品』としての位置付けですので、廉価版としてホームセンター等に並んでいたものと思います。
・Cr-Vやクロモリ鋼などの合金では無く、安価なSC材(炭素鋼)を使用していると聞いています。
↑スネール印の商標登録
・商標登録されているカタツムリはちょっと生々しくてグロテスクですが、外箱に印刷されているイラストの方が馴染めます。
↑スネール外箱と共に、エビ印のモンキレンチとプライヤーの外箱も。
・ロブスター/エビ印は"黄緑箱"、スネール印は"赤箱"という呼び方になるのでしょうか?(New Lobsterは"黄色箱")
↑ここまではスタンダードモデル
- - - - - - - - - - - - -
↓ここからはスタンダードモデルのバリエーション(2000年以降)
⑩ カラーモンキーレンチ JIS付き(2000年頃~2011年)
・上のカラーモンキーレンチ⑩に対し、グリップ材質が異なるだけだと思ったら、モンキーレンチ本体も専用になっていて、下の比較写真の通りウォーム周りの凹形状がスタンダードと全く異なります。
↑スタンダード⑦、カラーモンキーレンチ⑩、絶縁グリップ⑪
⑫ モンキーレンチ エコ/eco(2010年~現在)
・スタンダーモデルに較べてヘッドも全長も小ぶりになっていますが、逆にジョー部は広く開口します。
・200サイズでの寸法(スタンダード/エコの比較)…ヘッド幅:68mm/65mm、長さ:200mm/190mm、開口広さ:25mm/30mm
・エコ(eco)という名称から廉価版と分かります。
・但し、カタログ未掲載のため商品の特徴や位置付けは確認できません。
・通常はブランド名が表示される一番重要視される表面中央に大きく"JAPAN"と刻印されているのが特徴です。(ブランド名の"LOBSTER"は裏面の右端に)
⑬ チタンモンキー(2000年頃~2007年)
・チタン製の高価なモンキーレンチ。
・SANKI/北陽産業も同じくチタン製モンキーレンチを販売していましたが、2001年に廃業していますので、唯一のチタン製になっていました。
・但し、2007年11月に販売終了。
・会社HPに記載の商標特徴。
*とにかく軽い(スティール製の30%~70%軽い)
*錆びない(海水に優れた耐食性)
*非磁性のため磁気嫌いの職場もOK!
*生体適合金属だから無毒で安心
*強度はもちろんJIS規格をクリア
*光沢研磨仕上げに特殊ナイロンを溶着し、ネームを書くスペースを付けたおしゃれな逸品
*口幅ワイド(250サイズで36mm)
↑1995年『関西経協』
⑭ チタンモンキー 絶縁グリップ(1994年~2007年)
4.JIS認証
1951年6月にハンドツールとして初めてのJIS認証として5社が同時取得。
JIS規格作り等に日本理器が業界を代表して深く関わったと理解しています。
創業120周年(1888年~2008年)を記念して関係者に配布された『ロブテックス創業120年史』にJIS取得までの経緯が詳しく説明されていますので、そのページの解説部分だけ掲載。
★日本理器のJIS認証資料
・認証工場2カ所…大阪/四条工場と鳥取ロブスター工場
・届出が8回ありますが、大阪の変更5回は実質的な変更ではありません。
※JIS/日本規格協会が発行していた月報『認証ジャーナル』より
(1) 1951年6月28日…JIS認証取得 23度 @大阪/四条工場
(2) 1986年4月1日…行政上の住所変更のみ
・1951年の認証取得時に、"23度"だけでなく、"全鍛造品"と"強力級"で認証取得していたことが分かります。
(3) 1987年12月25日…変更内容?
・『生産条件:技術』とだけ記載されていて、何が変更になったか不明。
(4) 1991年2月26日…工場の呼称変更のみ ⇒東大阪工場
(5) 1992年10月26日…会社名変更 日本理器 ⇒ ロブテックス
(6) 1999年8月19日…変更内容?
・『生産条件:総括』とだけ記載されていて、何が変更になったか不明。
(7) 1999年10月4日…鳥取への工場移転に伴う大阪/四条工場の認証返上
(8) 1998年4月23日…鳥取ロブスターとして新たに認証取得(認証No.695012)
(9) 認証返上
2007年にJIS規則が新しくなり、認証業務を外部社団法人に委託する新JISに移行することに伴い、新JISを取得しなければ、2008年12月に従来のJIS認証権は消滅しています。
ロブテックスを含む多くのメーカーが新JISの認証は取得せず、JISに頼らない新世代モデルに移行しています。
各メーカーは2000年頃から認証権を返上し始めていて、ロブテックスは2004年5月からスタンダードモデルもJIS無しとして会社HPへ掲載を始めています。
但し、JIS認証を具体的に返上した資料は見つかっていません。
返上の届け出はせず、2008年12月に自動消滅させた可能性もあります。
5.商標
日本理器/ロブテックスは多くの商標を登録していて、日本理器時代に58件、1992年のロブテックスに社名変更後で175件が登録されています。(2023年3月末/J-PlatPadでの検索結果)
(1) 1914年…日本理器として最初の商標登録
・地球トンボ印(バリカン用)
大阪/四条にはバリカン工場が集まっていて、その中の石丸理器が最初に"一匹トンボ"と呼ばれる登録商標を使い始め、トンボ印はバリカン事業の代名詞になっていた様です。(石丸理器トンボ印…商標例の左上)
その中で、日本理器は一匹トンボと地球儀を合体させた"地球トンボ印"を商標登録しています。(商標例の右側)
他社例では飛行機&地球儀のバリカンも。(商標例の左下)
(2) 1929年…最初のエビ印商標
↑1930年『産業之新日本』、1975年『日本理器50年史』
『日本理器50年史』の『エビ印の由来』によると『1929年/昭和4年に今日のエビ印が誕生した』と説明されていることから、1929年に最初のエビ印商標が登録されたのだろうと思います。
一方で、1930年の広告に"TRADE MARK LOBSTER"としてエビ印ロゴが登場していますので、これが最初のエビ印商標だろうと推察しています。(残念ながら、J-Plat Padでは1930年以前の日本理器商標はヒットしません)
(3) 1930年、34年…RK印の商標
1928年にモンキレンチ第1号として生産発売された◇RK印の商標2種。
(4) 1950年…戦後になってから初の商標
(5) 1975年…現在も会社ロゴとして使用されている商標
★日本理器による色々なエビの登録商標(ザリガニやサソリも)
(6) 登録商標 in USA
・(株)ロブテックスへ社名変更後の1995年10月に米国で商標登録。
・米国内の初使用は1983年12月として申請していますが、実際には終戦後すぐの1948年からアメリカに輸出しています。
この回、終わり
日本のモンキーレンチ/全13編には、こちらから






































































