PLOMB-2

世界で最初のコンビレンチ

戦後編(1945年~1957年)

【完全解説版】

 

【2021年5月15日】 PLOMB-1から戦後編を分離

 

1933年に登場した世界で最初のコンビレンチに始まり、1957年のPROTO by PLOMBまで、戦前から戦中、戦後に渡る"PLOMB"24年間の全てを解説します

1949年にブランドがPLOMBからPROTOに完全変更され、さらに1957年には会社名からもPLOMBが無くなりました。

ブランド名だけでなく会社名としてもPLOMBという名前が終了するまでを追いかけます。

『"世界の最初"を完全解説しないとコンビレンチ・コレクターの名に恥じる』との強い思いで書いています。

 

1.世代分類

※1)~3)戦前&戦中編はPLOMB-1にて

 

2.商品紹介

 1) 初代フラットパネル(1933年~42年) 

世界で最初のコンビレンチです。

 ① "3C"⇒1933年(最初の最初)  

・1933年に世界で初めてのコンビレンチが発売されました。  

 

★戦後編はここから始まります。

 3) Pebble(玉砂利)デザイン (1945年~48年) 

 ⑧-1 パネル短め 

・戦争が終わり、1933年から続いていたフラットモデルから新製品に切り替わりました。

・凹パネル内の表面が石ころを敷いたようになっていて、Pebble(玉砂利)デザインと呼ばれています。

・このモデルは1948年までの生産販売でしたので、3年ほどの短命モデルです。

・カタログ発行が1948年に復活していますが、このPebbleモデルは掲載されず、カタログ未掲載のまま販売が終了しています。

 

  ⑧-2 パネル長め 

・バリエーションで凹パネルが長めのモデルがあります。

 

★パネル長さ比較

・1/2インチモデル同士での比較ですが、凹パネルに短めと長めがあるのが分かります。

 

★6本セット

・3番目(9/16")と5番目(7/16")は凹パネルが長く、他の4サイズはパネルが短いモデルになっています。

・品番(1212~1222)の並びが見えるように裏面を撮っています。

 

 4) ダブルブランド /PRORTO & PLOMB(1948年~49年) 

 ⑨ スタンダードタイプ 

・商標権侵害の訴えによりPLOMBロゴの使用が出来なくなり、ブランド名をPRPTOに変更していますが、1948年にPROTOとPLOMBダブルブランドのフラットモデルを新たに発売しています。

・PLOMBロゴは2度と使わないと約束したことで和解したのに、ダブルブランドとしてPLOMBロゴを継続して使ったため、訴えていたPLUMBの本気の怒りを買うことになってしまいました。

・ダブルブランドモデルは直ぐに販売が中止されたため、販売期間が1年ほどの貴重品になっています。

・詳細は、4項『PLOMBの商標権トラブル』にて。

 

・ダブルロゴモデルはわずかの期間しか販売されませんでしたので、余り見かけることが無い貴重品です。

・主要サイズを揃えたいと思っていて、やっと2本目が手には入りました。

 

・3本目は1インチの長いモデル。

 

 ⑩ ロングタイプ 

・ダブルブランドモデルにはロングタイプも設定されていました。

・品番1218の後にロングを示す”L"が刻印されています。

・こちらはさらに貴重品です。

 

・1948年版は、PROTOとして最初で、かつブランドPLOMBとして最後のカタログです。

・商品はPROTOとPLOMBのダブルロゴ刻印になっていますが、カタログは無刻印になっています。

 

 5) 初期PROTO by PLOMB 

・ブランド名は完全にPROTOに移行しましたが、1957年までは会社名がまだPlomb Toolですので、会社名からもPLOMBが無くなる前のPROTO 2ndモデルまで解説を続けます。

 

 ⑪-1 PROTO 1stモデル/1949年~56年 

・ブランド名がPROTOに完全移行した後の初モデルです。

・ダブルブランド⑧と同一商品で、表側面のPLOMB刻印を廃し、裏面にPROTOの刻印を入れています。

・"PROTO"と共に"LOS ANGELES"と刻印が入っているのが他のPROTOモデルとの識別点です。

 

 ⑪-2 PROTO 1stモデル 黒仕様 

・真っ黒なセット品を手に入れました。

・リューブライト処理などの黒加工が施されています。

・日本で入手した唯一のPROTO/PLOMBで、1950年代に個人輸入したとのことです。

 

 ⑪-3 PROTO 1stモデル 異形(カタログ未掲載) 

・"PROTO Los Angeles"の刻印がありますので、PROTO 1stモデルと思いますが、 裏面の凹パネルサイズ表示が表面に移動されているモデルを見つけました。

 

・カタログには未掲載の異形モデルになりますが、サイズが揃いますので、普通に流通されていたものと思います。

 

 ⑪-4 PROTO 1stモデル ロング 

・ダブルブランド⑧と同様にロングも設定されています。

 

・1952年のPROTOカタログですが、ブランド名を変更してあるだけであり、スペックは1948年と同一ですので、スペック表は省きます。

 

 ⑫-1 PROTO 2ndモデル/1957年(創業50周年記念モデル) 

・PROTOブランドとしては2ndモデルですが、PROTO独自形状としては初モデルになります。

・PROTO 1stモデルに対しサイズ表示用の裏面左右の小さな凹パネルが無くなり、裏面も完全フラットになりました。

・1956年版カタログの写真にもこの変更が反映されています。

・これがPLOMB(創業1907年)の50周年記念モデルになります。

・なお、このモデルは完全にPROTOとなった1957年以降も継続生産販売されています。

・また、1960年代に入ってから商標登録済みを示す"丸にR"がPROTOロゴの右側に追加され、さらに"Professional"版に進化していきます。

 

・記念モデルには下の写真の様に専用ステッカーが貼られていました。

・流石にPLOMBも学習していますので、"PLOMB"という名前は表示されていません。

・同年に変更した社名Pendleton Tool Industriesの名前と共に、"50YEARS"、さらにPLOMBとしての"1907-1957"が表示されています。

 

 ⑫-2 PROTO 2ndモデル ロング 

 

 ⑫-3 PROTO 2ndモデル ロング/ハード(6PT) 

・⑧&⑨と同様にロングもあります。(12xx-L)

・さらにロングに新たに強化タイプも設定されています。(12xx-LH、メガネ部6

【メモ】1218-LH:写真差し替え予定

 

・1218-Lの3種比較。


 

・なお、社名変更は翌年1957年ですので、1956年版はPlomb Toolとしての最後のカタログになります。

・しかしながら、下に添付のとおりカタログ発行会社名が"Proto Tool Company"になっています。

・新会社名になるのは"Pendleton Tool Industries"ですので、この"Proto Tool Company"は何だろうと思ったところ、1960年のカタログより会社内の部署名であることが分かりました。

・したがい、会社名を変更する前に既に"Proto Tool Company"というブランド管理部署が社内に立ち上がっていて、この部署が1956年のカタログを発行したものと推測します。

・いずれにしても、1956年がPlomb Toolとしての最後のカタログになります。

↑1960年カタログ内の発行会社表示

これより会社Pendleton Tool Indisutries, Incの一部門として"Proto Tool Company"があることが分かります。

 

ちなみに、"PRPTO"の商標は1948年7月にPlomb Toolが申請し、さらに新会社Pendleton Tool Indisutriesに引き継がれています。

なお、商標申請書によれば"PROTO"の使用開始は1948年2月2日からになっています。

一方、Alloy Arttifactによれば同年1月23日から使用されたとのことです。

この数日の差はどちらが正しいか分かりませんが、出来事を何月何日まで追いかけるのはアメリカならではです。

 

↓アメリカ商標登録サイトより

 

社名がPendleton Tool Industriesに変更されたことで、ブランド名としても会社名としてもPLOMBの名前は完全に姿を消したことになります。

したがい、PLOMB解説としてPROTOを取り上げるのはここまでとします。

 

 ★1インチ・コレクション(戦後編) 

・戦前編(PLOMB-1)に引き続き、1インチモデルの戦後編です。

・上からモデルモデル⑦/Pebble(1945年~48年)、⑨ダブルロゴ、⑩PROTO by PLOMB(1949年~56年)、PROTO by PROTO(商標登録○R付き、1960年頃)。

 

 6) 関連モデル  

 ⑭ P&C 

・P&Cは100年以上前の1914年にPeterrsonさんとCharlesさんが興した鍛治屋に端を発していますが、1941年に成長著しいPLOMBが買収しています。

・P&Cの工場をPLOMBが活用する一方で、P&Cブランドの工具は継続して販売されました。

・ただし、商品はPLOMBに同化し、PLOMBと同じようなラインアップになっています。

・1964年までP&Cブランドで生産されていたとのことです。

*情報源:Alloy Artifact P&C

 

 ⑭-1 /PLOMBグループ化後の1stモデル

・PLOMBの初代フラットモデル(1933年~45年/①、②)と同一形状です。

・1941年にPLOMBグループ入りしていますので、それ以降にPLOMBモデルと併売されたものと思います。

↓PLOMB②との比較


 ⑭-2  /2ndモデル

・PROTOにブランド変更した後の1956年にPlombToolはフラットモデル(⑪)が発売されていますが、P&Cにも同一形状のモデルがあります。

・販売年に関する情報はありませんが、PROTOと併売されていたものと思います。

↓PROTO⑪との比較

 

3.PLOMBの歴史

 会社名:Plomb Tool Manufacturing Company

・1907年にロサンゼルスの鍛冶屋としてスタート

創業者は、Charles Williamsn、Jacob Weninger、Alphone Plombの3名で、3人目の Plombさんの苗字が会社名に(ただし、Plombさんは1917年に会社を離脱)

・1920年代に自動車ツール市場に進出し、1930年代に急成長

・1933年にコンビレンチを発表

・1934年から商品に刻印するロゴPLOMBの"O"を分銅デザインの"V"に変更し、PLVMBに

・1937年にPendeltonさんが社長に就任(在任:1936年~1968年)

後の1957年の社名変更時には彼の名前が社名になります。

・1946年にハンマーを製造するFayette R. Plumb, Inc.に商標権侵害で訴えられ、結果としてブランド名をPROTO(Professional Toolsの略)に変更

・1948年よりPROTOを使い始め、1949年にはPLOMBの使用は中止となり、以降は現在に至るまで全ての商品がブランド名PROTOに

・1957年には会社名もPlomb ToolからPendleton Tool Industriesに変更

・現在はStanley & Black Decker社でProto Industrial Tools部門としてPROTOを運営

 

4.PLOMBの商標権トラブル

1920代には既に商標を登録していたハンマー製造業のPLUMBは、PLOMBを商標権を侵害していると1946年に訴えました。

交渉の結果、PLOMBの広告での使用は1948年3月24日まで、さらに商標PLOMB自体の使用は1950年3月24日までとすることで和解となりました。

これにより、新しいブランド名PROTO(Professional+Tool)を1948年2月から使い始め、同年7月には商標として登録しています。

しかしながら、PLOMBは商権に関する認識が甘かったようで、1948年にPROTOとPLOMBのダブルブランドのモデル⑧、⑨を世に出してしまいます。

推測として、『ブランド名はPROTOながら、会社名としてならPLOMBも刻印しても良いだろう』と軽く考えたのではないかと思います。

これに対し、『PLOMBは使用しない』という合意に反するとしてPLUMBの怒りを買い、和解契約違反として15万ドル(今の価値で言えば1億円程度)の違約金を支払うことになります。

さらに、前述のダブルブランドモデルは販売中止となり、同じモデルの裏面にPROTOとだけ刻印したモデル⑩に切り換りました。

これがPROTOの1stモデルになります。

ちなみに、1957年には会社名からもPLOMBが無くなっています。

 

↓PLUMBの商標を登録

 

7.出典 

*1. The History of PLOMB Tools(アメリカPLOMBマニアによる必見の解説サイト)
*2. Alloy Artifact(アメリカ工具のまとめサイト、PLOMBコンビレンチのページ)

*3. Garage Journal(アメリカ工具マニアフォーラム、アルファベット2文字の製造記号に関して質問投稿した私のスレッド)

*4. Catalog/Internet Archive(カタログ保存サイトのPLOMBページ)

このブログは、私のPLOMBコレクションと、上記4つのWeb情報に基づいています。

現在のProtoホームページによる『PlombとProtoの歴史』はこちら

 

カタログは別ブログ/PLOMB-3へ移行させます。

 

この回、終わり