"SANYO"はホーザン製?
(宝山工具製作所)
3年前に"SANYO"コンビレンチを見つけたものの、製造元もブランド元も分からなかったため、正体不明のまま83番目の"日本のコンビレンチ"としてブログを書いていました。
登録商標はいつも国会図書館所蔵の『文字商標集(全37巻)』で探すのですが、 "SANYO"は三洋電機の登録ばかりが出てくるので、途中で見るのを止めていました。
3年ぶりに再検索してみたら、たまたま最初に確認した"SANYO"が自転車工具で有名な宝山工具製作所(現ホーザン)の商標だったのです。
① コンビレンチ
・"SANYO"とだけ刻印された手打ち鍛造のような粗い作りのコンビレンチです。
・スパナ部とメガネ部がボディーに対して盛り上がっていますので、鍛造品に見えますが、実はスパナ部とメガネ部、ボディー共に厚みが6.3mmです。
・したがい、平板の打ち抜きだろうと思います。
・スパナ部、メガネ部とボディーのつなぎ部分を打ち抜きと同時にへこませて、鍛造の様に見せているのだろうと推測します。
・スパナ形状の粗さを見ると、終戦直後から1950年代の商品に見えます。
★"SANYO"の商標登録
宝山工具製作所(現ホーザン)が1956年に"SANYO"を商標登録していました。
"SANYO"の"O"が、製品刻印と同様に形状が四角っぽくなっています。
★製造元の推測
以下の3点を根拠として、この"SANYO"コンビレンチは宝山工具製作所の製品と考えるのが妥当だと思います。
(1) 工具メーカーである宝山工具製作所(現ホーザン)が"SANYO"を商標登録。
(2) "SANYO"と刻印された工具が存在。
(3) 商標登録が1950年代で、コンビレンチの年代感と一致
★用途は?
登録商標以外には工具"SANYO"の情報は全く確認出来ませんので、何用に設定されたのか不明です。
当初は"SANYO"名称の会社向けOEMと考えていましたが、別会社の名称を商標登録することはありえません。
したがい、宝山工具製作所/HKCの別ブランドだったのだろうと推測しています。
・13x19mmと14x19mmの2種類が見つかっています。
【参考-1】宝山工具製作所/HKC

↓カタログNo.201 ペダルスパナ
↑1957年広告『月刊教材教具』
・1950年代には学校用の教材、自転車用、オートバイ用、ラジオテレビ用の工具を作っていたことが分かります。
【参考-2】HOZANとHKCの商標登録
※ホーザンの詳細は、当ブログ内のこちらにて。
② アングルスパナ
・デザイン化された"SANYO"ロゴのアングルスパナも見つかっています。
・このデザイン化ロゴの登録商標は見つかっていません。
・全体の作りより最初のコンビレンチ①よりも時代が新しく、少なくとも1960年代以降の製品と思います。
★裏面の”PAT・A-42-048363"刻印について
・"PAT"より特許または実用新案/Patentであること、"42"より昭和42年/1967年の案件で番号がS42-048363と分かります。
・S42-048363を商標検索サイト/J-PlatPadで調べましたが、ヒットせず・
・さらに特許庁に直接確認しましたが、不明とのことで、以下は特許庁の見解。
*特許/実用新案には出願番号、広告番号、登録番号の3種類があるが、特許庁が管理している広告番号と登録番号のリストにこの番号は無いことから、出願番号だろう。
*特許庁ではこの時期の出願番号は記録を残していないため、これ以上は調べられない。
*"PAT"の次の"A"は特許庁への登録上で存在しない記号なので、意味は不明。
*PATの後のアルファベットとしては、PAT.PだけがPatent Pending/特許申請中の意味として使用されている。
*但し、PAT.Aを出願中の案件表示に使用している例も個別には見かける。
・この特許/実用新案の申請会社が分かれば、製造元が分かると思ったのですが、残念です。
・ちなみに、何のメカニズムも無い鉄の塊(スパナ)にどの様な特許や実用新案が適用できるのか、ちょっと解せません。(製法?)
★裏面の"SATO"刻印について
・"SATO"と刻印されていることが、とても気になります。
・"SATO"で工具関係となると、新潟/燕三条の佐藤技研(ブランドCRABの運営会社)が思い起こされます。
・但し、"SATO"が特許/実用新案に関連するのか、スパナの製造元を示しているのか不明です。
・したがい、アングルスパナに関しては、ロゴがデザイン化されていて"SANYO"登録商標と異なること、裏面に"SATO"刻印があることの2点から、宝山工具製作所製では無く、別の"SANYO"の可能性もあります。
・ちなみに、佐藤技研/CRABには同じような小サイズのアングルスパナが設定されています。(後述)
・インチサイズ、打刻刻印のアングルスパナもあります。
・インチ仕様ながら、ミリ仕様と同一のボディーに対しインチサイズでスパナを切り出しています。
・完全同一形状の"BTC"仕様がありますので、BTC/バンザイにOEM供給もしていることが分かります。
・アングルスパナの3種比較。
・3種共に完全同一形状であることが分かります。
【参考】佐藤技研/CRABのアングルスパナ

※佐藤技研/CRABの詳細は、当ブログ内のこちらにて。
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これ以降は、3年前の初稿をそのまま掲載。(2020年10月4日作成)
ビンテージスパナのコレクターから『こんなのもあったよ!』と"WATANABE"コンビレンチに引き続き教えて貰ったのが"SANYO"と刻印されたコンビレンチです。
片目片口レンチに日本のブランド名が刻印されたものを"日本のコンビレンチ"と定義していますので、まさしく日本のコンビレンチです。
したがい、日本ブランド83番目の登録とします。
SANYOと言えば三洋電機を思い浮かべますが、果たしてその正体は?
1.商品紹介
スパナ部、メガネ部共に胴長との接続部に段差がありますので、鍛造品であることが分かります。
但し、鍛造は普通は丸棒からですが、平板を使った簡易鍛造では無いかと思います。
金属加工は良く分かりませんが、平板の打ち抜き時に鍛造も同時に行っているように見えます。
戦後直後から1950年代の製品に良く見かける製法だと思います。
メガネ部が6PTなのも時代を感じます。
サイズが13mmと19mmと変わった組み合わせになっています。
一般的な汎用工具では無く、用途を限定した商品のようです。
何かの工業用品に組み合わせて配布されたのでは無いかと思います。
例えば、洗濯機に同梱された工具など。
ちなみに、サイズ13mmのスパナ側よりも19mmのメガネ側の方が胴長幅が細くなっているのが特殊です。
また、スパナ面の大きさに対して小さく13mmを削り出しているのも特徴になっています。
三洋電機と考えるのが順当ですが、結論から先に言ってしまうと、残念ながら特定は出来ませんでした。
2.ブランド元?
ゴシック体でアルファベット"O"の文字が四角くなっているのが特徴的です。
この四角い"O"をキーにしてSANYOブランドを追いかけてみました。
1)登録商標
SANYOで考えられる漢字は、三洋に山陽、山洋、三葉などがあります。
カタカナでサンヨーの可能性もあります。
お得意の登録商標検索で探ってみました。
パチンコのサンヨーまで含めて上記の企業に関して全ての商標を検索してみましたが、前述の四角い"O"の"SANYO"はありませんでした。
三洋電機で2種類が登録されていますので、とりあえず掲載します。
2)三洋電機
三洋電機の可能性が高いと思っていますので、登録商標以外の三洋電気ロゴも調べました。
全部で9種類の"SANYO"ロゴが確認出来ましたが、四角い"O"の"SANYO"はありませんでした。
以上の通り、四角い"O"の"SANYO"を見つけることが出来ませんでしたので、残念ながらこのコンビレンチのブランド元は分からず仕舞いです。
この回、終わり






















