45年前の早回し(ASAHIとKTC)
45年前の早回しコンビレンチです。
ASAHI/旭金属工業から1975年、KTCから1977年に発売されました。
それぞれあまり売れなかった様で、カタログに載ることも無く、すぐに廃番となっています。
販売量が少なかったので、両方共になかなか手に入らないモデルです。
ASAHIは22mmの大きいのしか入手出来ていなかったのですが、やっと普通のサイズ14mmが手に入りましたので、同時期モデルのKTCと比較することにします。
① ASAHI/ラチェットコンビレンチ(品番CR)
これまでいくつもの早回しコンビレンチが発売されてきましたが、このASAHIだけはボックス部がDINタイプの45度オフセットになっていて、非常に珍しいモデルだと思います。
これは、同時期にヨーロッパ輸出専用にDINタイプ45度オフセットのコンビレンチを出していて、この金型を流用する形で早回しを出したためと推定しています。
1975年の発売で、同年に販売を終了しています。(ワンロットだけの生産と推定しています)
スパナ部の形状よりアメリカのEASCOが2006年に特許を取得したHigh Torque Open End Wrench(ボルトに食い込む)/US PAT 7146884B2に非常に似ています。
ただし、ASAHIはその30年前のモデルであるとともに、後述するように早回しのためのラチェットレンチと位置付けています。
下の比較写真から分かるようにCrafstmanには食い込み形状がありますが、ASAHIには食い込み形状がありません。
Crafsmanの30年前に、ASAHIはどこからこの形状を持ってきたのかは不明です。
↑Easco特許を採用しているCraftsmanとの比較
↓Craftsmanのボルト食い込む形状(黄色矢印)
② KTC/スピーダー(品番MZ41)
ASAHIの2年後、1977年にKTCからもスピーダーという名称で早回しが登場しています。
開発がハンドツール部門では無く、特殊工具部門だった模様で、特殊工具としての販売となったためにあまり目立つことも無く、これも早々に販売終了になっています。
★ASAHIとKTCの比較写真
↑左側:ASAHI、右側:KTC
ASAHIはボルトの角で回すタイプに対して、KTCは2面幅で回すタイプです。
異なる考え方の早回しになっています。
実は、私は実際の整備ではラチェットギア・コンビ派で、このタイプの早回しコンビレンチはどうも上手く使えた試しが無く、どっちが良いのか何とも言えません。
★日本最初の早回し
国内で最初の早回しは、さらに20年遡った65年前、1954年に発売されたスーパーツールのコンビレンチです。
こちらはちゃんとパテント/PATマークが入っていて、1958年までの第1世代には申請中のマーク(PAT. PEND.)が、1958年にパテントが承認された以降の第2~4世代には承認済みのマーク(PAT.)が刻印されています。
ちなみに、スーパーツールは3回のモデルチェンジを経ながら、現在でも第4世代の販売を続けていて、"King of 早回し"ですね。
日本市場に出回った代表的な早回し4種を並べます。
一番上は、前述のスーパーツールの第1世代(1954年)です。
2番目と3番目が、ASAHIとKTCで、1975年と1977年。
さらに、一番下はフランスのFACOMで、恐らく日本で一番出回った早回しかと思います。
FACOMは、ASAHIとKTCから35年後になりますが、2011年にTONEがカタログ掲載するなど本格販売されていましたので、持っている方が多いかと思います。
この他にもTOUGHなどにスーパーツールと同じ形状の早回しがありますが、これはスーパーツールが採用していた特許の有効期限が切れて技術が解放された結果と理解しています。
最後に、ASAHIとKTCの販売資料を載せます。
まずASAHIで、左側部分が前述のヨーロッパ輸出専用の45度オフセット・コンビレンチです。
旭金属工業にもヨーロッパ輸出モデルの現物や写真が残っていないとのことですので、このパンフレットだけが商品が存在したことの証です。
そして、右側部分が早回しです。
名称がラチェットコンビレンチになっています。
今この名前を使用したら、ラチェットギアのコンビレンチと間違われるでしょうね。
品番がCRになっていて、本体裏面にCRの刻印が入っています。
次に、KTCの特殊工具扱いの早回し資料です。
非常にあっさりとした説明が1年間載っていただけでした。
この回、終わり















