毎週週末には、連れだって買い物に出かける老夫婦の姿を
目にするのが常だった。

ご主人様も奥様も、70代後半だろうか。
お二人ともリュックを背負って、帰り道は両手にスーパーの袋を下げて
一歩、また一歩、若者たちの半分以下のスピードでゆっくり歩きながら
言葉も交わさずに、それでも時々相手を見やりながら
歩を進める姿が微笑ましかった。

夏の日差しの中ではおそろいの帽子をかぶり
冬の寒さの日には手編みのマフラーを巻き
地元に何十年も住んでいる方独特の空気が漂っていた。

それがここ数か月、ご夫婦の姿を見かけることが無くなった。
どちらかがご病気にでもなったのだろうか。
万が一の事があったとしたら
残された方はどれほど寂しくつらい思いをしているだろうか。

洗濯物を干しながら、ご夫婦が歩いた道を見下ろて
胸が締め付けられるようだった。

今日の昼間、駅前に買い物に出かけた時
偶然、ご夫婦の姿を目にした。
奥様は買い物用歩行車というのだろうか
荷物を入れる部分のある歩行器を押して
いつものようにゆっくり、ゆっくり歩いていた。

一歩先に歩いていたご主人様が
駅前バス停に備え付けられているベンチに座り
奥様に声をかけていた。

「座って待とう。もうすぐバスが来るよ」


健康のために歩いて買い物に出ていたのが
奥様の不調で、バスに変えたようだった。
とにかくお二人がお元気で良かった。

歳を取るまで誰かと一緒にいて
歳を取っても誰かと一緒に生活する。


幸せの真髄を、私はこのご夫婦に見る。
バス停でお二人の姿を見かけたときに
思わず涙ぐんでしまった事は
通り過ぎたつくばエクスプレスだけが知っていることにしようか。







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