今日、授業のため教室に行く途中
武蔵野線、新松戸で足止めにあった。
いつもの通り電車が速度を落として行き
すぐそこまでホームが見えてきたところで
ユルユルと電車が止まった。
「線路に人が立ち入っているため
安全確認のために、停止します」
前方の車両はすでに駅構内に入り
私が乗っていた三両目は、駅の直前
駅前通りにかかる陸橋の上だった。
「人が線路に入る」という言葉の意味を
もう一度考えながら、ふと後ろの窓の外を見ると
そこには七十代くらいの白髪の男性を羽交い絞めにした
二人の少年の姿が。
恰幅の良い老人を
黒いダウンコートを着た大学生くらいの男子が陸橋の壁に押し付け
学生服を着たもう一人の男子が、その二人を更に押さえつけていた。
老人はぼそぼそと何かをしゃべっているようであり
少年二人は大声で叫んでいた。
「一歩も動かさないぞ!」
「早く駅員を呼んでくれ!」
私の推測ではあるが
老人が自殺を試みて線路に降りたところを
二人の男子学生が後を追って引き留め
老人を確保し、電車にひかれないよう線路の端に連れてきて
再び線路に身を投げないように捕まえていたようだった。
駅員が来るまで、とてつもなく長い時間がかかったように思えた。
やがてホーム端の柵の南京錠を開け
駅員が降りてきて、他の乗客の協力を得て
老人をホームにひっぱり上げた所で
定位置に止まるために、電車が再び動き始めたので
その後の事はわからない。
今日、新松戸で、私は絶望と希望を同時に見た。
人品卑しからぬ老人。
長い人生を生き抜いてきた人が
クリスマスで浮かれ、新年を待つ今
電車に飛び込んで命を絶とうとする絶望。
そしてその老人を、わが身の危険も顧みず
助けに走った若者二人。
老人を思えば心が痛む。
いったいどれほどの不幸が
彼を死に向かわせたのか。
でも、あの若者たちの姿を思う時
私はやはり、この国にはまだ
希望が溢れていると信じられるのである。
武蔵野線、新松戸で足止めにあった。
いつもの通り電車が速度を落として行き
すぐそこまでホームが見えてきたところで
ユルユルと電車が止まった。
「線路に人が立ち入っているため
安全確認のために、停止します」
前方の車両はすでに駅構内に入り
私が乗っていた三両目は、駅の直前
駅前通りにかかる陸橋の上だった。
「人が線路に入る」という言葉の意味を
もう一度考えながら、ふと後ろの窓の外を見ると
そこには七十代くらいの白髪の男性を羽交い絞めにした
二人の少年の姿が。
恰幅の良い老人を
黒いダウンコートを着た大学生くらいの男子が陸橋の壁に押し付け
学生服を着たもう一人の男子が、その二人を更に押さえつけていた。
老人はぼそぼそと何かをしゃべっているようであり
少年二人は大声で叫んでいた。
「一歩も動かさないぞ!」
「早く駅員を呼んでくれ!」
私の推測ではあるが
老人が自殺を試みて線路に降りたところを
二人の男子学生が後を追って引き留め
老人を確保し、電車にひかれないよう線路の端に連れてきて
再び線路に身を投げないように捕まえていたようだった。
駅員が来るまで、とてつもなく長い時間がかかったように思えた。
やがてホーム端の柵の南京錠を開け
駅員が降りてきて、他の乗客の協力を得て
老人をホームにひっぱり上げた所で
定位置に止まるために、電車が再び動き始めたので
その後の事はわからない。
今日、新松戸で、私は絶望と希望を同時に見た。
人品卑しからぬ老人。
長い人生を生き抜いてきた人が
クリスマスで浮かれ、新年を待つ今
電車に飛び込んで命を絶とうとする絶望。
そしてその老人を、わが身の危険も顧みず
助けに走った若者二人。
老人を思えば心が痛む。
いったいどれほどの不幸が
彼を死に向かわせたのか。
でも、あの若者たちの姿を思う時
私はやはり、この国にはまだ
希望が溢れていると信じられるのである。
