今から数十年前、鶴丸航空時代
寄港地に着いて、次の出発までの数十分
給油や機内クリーニングを待つ間
何の気なしに手に取った機内誌の
ある記事に載っていた数行の文字に
息を飲むほどの衝撃を覚えた。

訓練中の米軍を取材した記事で
アラスカかどこかの豪雪の中で
実戦さながらの訓練をしている兵士たちの24時間の
事細かなルポだった。
これみよがしの感動をかきたてる記事でもなく
どちらかと言えば、そっけない文章の
何ていうか、「男っぽい」記事だった。

その中に兵士たちの食事風景があった。
「配給されたのは肉の缶詰1個、丸パン2個、りんご1個
レタス四分の一個、チョコレートチップクッキーの缶詰1個。
兵士たちは乾いた地面を見つけて座り込み
それなりに食事を楽しんでいるように見えた。」


長い長い時間が経ったのにもかかわらず
兵士たちの写真とともに
この記事の鮮明さはまったく薄れない。

実戦さながらの過酷な訓練。
乾いた地面も、探さなければ無いような酷寒の地で
缶詰やら切っただけのレタスやらを相手に
「それなりに楽しむ」という贅沢。

彼らは食べ物を、命をつなぐだけの「餌」ではなく
楽しむための「食事」に変えたのだ。


「それなりに楽しむ」
この言葉を受験生に送りたい。

あなた方の心ひとつで
苦しい時間の中にすら
何らかの光を見いだせると信じる。







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