私が思い出し得る限り

一番古い記憶は

幼稚園の入園テストの事だ。


母に手を引かれて、広い広い園庭を横切り

(おそらく、今思えば猫の額ほどの園庭だったはずだ)

しばらく待たされてから、教室に呼ばれると

先生と思われる女性が、他は片付けられたのに

一つだけ教室の真ん中に置かれた子供用の机の向こうに座っていた。


椅子をすすめられて、園児用の椅子に

私は楽に座り、母は押し込むようにして

大人の体で無理して座り

その後、おそらくいくつか会話がなされたと思う。


そして私の記憶が鮮明なのは

先生(と思われる女性)が

折り紙で作られたか、もしくはちぎり絵細工であったか

スケッチブック様のものに、紙を貼って作った

花と蝶の絵を見せ、蝶を指差しながら

無理に作った(と、私が感じた)ねこなで声で



「コア子ちゃん、これは何?」と蝶を指差した時の事である。


正直、私はショックを受けた。

幼稚園入園前とは言え、すでに4-5歳になっていたはずである。

蝶であることを、私が知らないとでも思っているのか。

バカにされたような気がして

私は返事をしなかった。


彼女は、もっと強度なねこなで声で

「コア子ちゃん、わからないかな?これ何?」

もう一度繰り返した。


しばらく黙った後、私は絞り出すように答えた。



「これがちょうちょだってことくらい、誰でも知ってます」



隣に座っていた母が「ヒッ」と息をのんだ。



幸せなことに、その後の事は覚えていない。

そして、その幼稚園に無事入園したので

何とかなったのであろう。


自分で言うのもなんだが

4歳にして、本当に嫌な子供だった。



それから私は順調に嫌な少女になり

嫌な大人になり、嫌なオバチャンになって今に至っているべーっだ!