やっぱり一回じゃ語りきれなかった・・・。



原書で読むより、翻訳本で読んだ本が

素晴らしいという本がたまにある。


菊池光氏訳のロバート・B・パーカーによるスペンサーシリーズ。

そして、中村妙子氏訳のロザムンド・ピルチャーの各作品。

日本語はこれほどにも凛として美しいものなのかと

読む度にため息が出るような名訳の数々。


でも中には、必ず原書で読まなければいけない

そういう小説がある。


私の大好きなダイアナ・ガバルドンのアウトランダーシリーズがそのひとつ。



20世紀の平凡な看護師クレアが、ある日突然

18世紀のスコットランドにタイムスリップするという

SFと歴史とロマンスを合わせたようなお話。


今読んでるのは第七作にあたる、最新本のこれ。



An Echo in the Bone: A Novel (Outlander)/Diana Gabaldon
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そして、読みながら心臓が止まるかと思うほど

感動した台詞が登場するのは第五作のこれ。



The Fiery Cross (Outlander)/Diana Gabaldon
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イギリス王室に対する反逆者としておたずね者となり

とうとう新大陸にまで逃亡したジェイミーが

先祖代々の土地を捨て、身分を捨て

尾羽打ち枯らした自らを省みて自嘲気味に言った台詞。



「俺には何もない。土地も、財産も、身分も」


それを受けた妻のクレアが言い放つ台詞。




You have me.




「私がいるわ」






haveは、「~がある」と訳されることが多い。


たとえば


Gyotoku has a lot of Korean Restaurants.は


行徳には韓国料理店が多い。と訳すのであるが

ここでは、クレアは単にたまたまそこにいるわけではない。


どんな土地、どんな財産、どんな身分はなくても

あなたは私を持っているではないか

強く主張しているのである。


つまり、このhaveは、そんじょそこらのhaveではなく

非常に強く、そして熱いhaveなのである。



意訳が流行っている。

誰もかれもが教科書ガイドのような訳をしたがる。


しかし文章を書いた人は、一語一語に思いを込めたはずだと思う。


きれいな日本語にする前に

作者がなぜ敢えてこの言葉を選んだのかを思いつつ

まず直訳にして原語の意味を受け止め

それからなめらかな日本語にしてほしいと切に願う。



ああ・・。

語ってしまった・・・。