当記事は、大中華経済が4~6月期で、縮小する可能性を予測した FRB の短期~中期の考察を検討する為の補足データである。

ニュースデータは華僑メディアの報道、「財政天下」に基づく。

まず、間違いのない様に明確にしたい。

この話は、「財政赤字」の件である。

5 月 31 日現在、中共は財政の資金不足が発生した。
金額は、約6兆人民元(約117兆9千億円~約1兆ドル強)である。

次に、中共が債権を発行して景気刺激策を行う件についてである。

内容は、「中共の国債発行額」について、である。

中共中央政府は、特別債権、3兆4千5百億元(約67兆8千2百億円~約5千9百億ドル)を発行し、インフラ施設用に8月末までに使い切るように地方政府に命じた。

一方で、 PMI 製造業設備投資指数は、縮小傾向に転じた。

ここまでをまとめる。

中共は税収が減少し、赤字を出す。
その対応策として、景気刺激策を行う。

インフラ施設投資用に国債を発行する。

大中華経済が縮小傾向にある悪材料がもう一つある。
製造業の設備投資が縮小傾向に転じた、という問題である。

この三つである。

以下、この三つについてを細述する。
ここから、 FRB が予測する様に、大中華4~6月期にマイナス成長となるのかどうかを予測して頂きたい。

まず、中共政府が約1兆ドル以上の赤字を出す、という件である。

中共は赤字を出す。
約6兆人民元(約117兆9千億円~約1兆ドル強)である。

野村証券中国のアナリスト陸挺(リクテイ)氏によると、赤字の主な原因はオミクロン禍による、都市封鎖による産業生産力縮小と、不動産売買業績悪化によって税収が減少した、という。

不足額、約6兆人民元(約117兆9千億円~約1兆ドル強)のうち、約2兆5千億元(約49兆1千億えん~約4270億ドル)は、税金還付と、経済成長の鈍化に起因した税収赤字である。



残り、3兆5千億元(約68兆7千億円~約5970億ドル)は、土地販売の激減による損失が原因であるという。

今、大中華内の土地価格は地域によって減少傾向にある。
上海、北京、広州、と言った大都市では依然地価は強気で推移しているが、省によって地価は減少傾向にある所もある。

従って、省によって経済成長をしている省と、リセッションに入っている省がある。

中共政府は不動産売買のレバレッジ~つまり、以前、私がメールで説明した、不動産価格と、株価、債権等を組み合わせた投信商品の事を差す~取引で不動産を組み合わせる商品の規制、そして、不動産融資の総量規制を行った。

この二つの政策に伴って、不動産市場は縮小、価格は下落傾向にある。

そして、今回、中共のゼロコロナ政策によって景気悪化に追い打ちをかけられたとみられる。
特に不動産売買の業績不振が顕著である。

割合をご覧いただきたい。

税収の減少は、7対5で、製造業よりも、不動産取引の業績悪化による税収の方が赤字が多い。

中共の GDP を支えているのが、不動産と製造業で、7対5の割合になっている事がここから読み取れる。

中共の税収は、3月前年同月比、7%減少、4月、前年同月比44%減である。
1~4月通して税収は、4.8%減少したが、一般歳出、教育、医療は、5.9%増加した。

土地売却益に関する税を中心として税収は 28% 近く減少したが、支出は全体で 35% 増加した。

続いて、インフラ施設向け特別債権を中共が発行する件である。

中共は、製造業と不動産業の不振の対策の為に、インフラ施設用に債権を発行する。
その額は、 3兆 4千 5百億人民元(約 67兆 8千 2百億円)である。
中共は、これを8月末まで全額使う様に各地方政府に指示した。

5月29日現在、 1兆 8千 5百億元(約 36兆 3千 7百億円)、 54% が既に発行済である。
今後一ヶ月で中共は、約 1.5兆元( 29兆 4千 9百億円)の債権を追加発行する必要があるが、難航が予想されている。

中共の債権は二種類ある。

① 一般債権→中共中央政府が発行し、財政で返済する。発行量は少ない。
② 特例債→事業収益で返済される債権であって、発行数も多く、デフォルト・リスクも高い。

中共中央政府が特例債権の発行を地方政府に強要するケースが多く、返済不能となるリスクが非常に高い。
この為、特例債の発行に関して中央政府と地方政府が対立する構図となっており、これが発行が難航する原因となっている。

税収が減少した理由は、不動産業績不振と、製造業業績不振である事は前述した。

続いて製造業の生産投資縮小の問題についてである。

中共国家統計局によると、製造業購買担当者指数 PMI の推移は以下の通りである。



一昨年末頃から製造業の仕入れ、つまり、生産に陰りが見え始めている。
ご覧いただくとお分かりの通り 50 ポイントを割って、縮小傾向となったタイミングは中共政府のゼロコロナ政策、都市封鎖が行われたタイミングと合致している。

これによって、約 1兆ドルの財政歳入が不足したと考えられる。

続いて「外国人投資家の撤退」に関してである。

5月 31日現在ブルームバーグによると、外国人投資家の撤退は上海、深圳の株式市場を中心に、約 150人民元(約 2千 246億円)が流出した。

ブルームバーグは、この部分の投資額は回復が見込めない、と予測している。

株式投資の資金流出の原因は、大きく3つが考えられる。

① FRB の利上げによるドル資金の中国市場からの引き上げ。
② 中共政府のゼロコロナ政策による産業生産量の縮小。
③ 中共政府の経済刺激策が市場の期待に応えられなかった。

FRB は、利上げの判断を、製造業の PMI 指数を勘案したと思われる。
大中華経済が良ければ余剰ドルを吸い込み、流通量が適正化され、インフレが抑制される現象が期待される。

しかし、大中華市場の景気が悪ければ、ドルを吸い込まない、という事になる。
その為、余剰のドル資金が吸い込まれないままダブついて流通する事になる。

つまり、ドルの資金流動性や、インフレの度合いは、大中華がどれだけドルを吸い込むか、という事にかかっている。

FRB は、この予想を見誤ったのであろうと思われる。
詳細は後述する。

アメリカは、ドルが余っている。
インフレである。

この余剰ドルが、例えばどこかの市場の価格が上昇すると、ドルがその商品価格を決済する為の需要に使われ、ドルと商品の需給バランスで言えば、ドルは余らない、という事になる。

つまり、資本主義は、物価が上昇し続けている限り、貨幣印刷を続け、それが余らないのである。

米ドルは、世界で需要がある。
大きな需要は、欧州の産業やエネルギーを決済する為の需要、日韓台を中心としたアジアの工業輸出の決済の為の需要、大中華、東南アジアを中心とした不動産価格、証券価格上昇の投資に使われるドル需要、この三つが世界の主なドル需要である。

その中の、大中華、東南アジアの不動産価格上昇、そして、大中華の製造業の両方の行政気がおかしくなった事が今回のインフレ率上昇である。

あのようなアホな都市封鎖を中共がやるとは、 FRB は予想しなかったのである。
さすがにそこまでアホな事はしないだろう、と。

だが、 FRB は、これを見誤った。
FRB は、チャイナ・ショック、と表現しているが、大中華の不動産価格が下落を始め、ゼロコロナによって、製造業も不動産業績も悪化したのである。

当初、 FRB が予測したドル需要が見込めなくなり、ドルが余ってインフレ率が強く上昇したのである。

添付画像の PMI のグラフをご覧いただきたい。

中共の製造業は、 50 ポイントを割って、若干製造業の業績が縮小した。
去年の10~11月ごろである。

50 ポイントを若干割ったのである。
だが、このグラフを見ると、また大中華の製造業は復活する様に見える。

現に12月期で、 PMI は回復している。
しかし、今年4月になって、ガクンと数字が落ちている。

製造業が壊滅的に業績悪化している。

これは、中共のゼロコロナ政策によって都市封鎖が行われ、工場生産がストップした事が原因であろう。

もう一つ、 FRB が見誤った部分がある。
中共の不動産が下落し、行先が悪化している。
不動産売買に関する税収で、約 7千億ドル位の赤字を出している所から読み取れる。

FRB は、まさか、中共の自殺行為のゼロコロナ政策で、製造業が40%位縮小する、とは予測しなかったのである。

ブルームバーグは、あのチャイナ・ショックが FRB の意思決定に影響した、という表現をしているが、つまりそう言う事であろう。

昨年の 10 ~ 11 月期の PMI 指数を見る限りでは、短期での回復を予測するのは常識的な思考である。
だが、さすがに FRB は、ウォールストリートの市場の動きを大中華に当てはめて考えすぎている。

大中華の市場は、日本や米国の市場の様な動きはしない。
予想だにしない、アホな事が時として起きるのである。

この金額に関しては、ちまちまと、そして、無理をして出した岸田さんの 7 千億ドルを凌駕する金額である。

この金額で日本が完全にデフレから脱却できないであろう事は明白だ。

FRB は、アグレッシブな金利政策もあり得る、と発言し、 0,5% の利上げを敢行した。
相当に焦ったのであろうと思われる。

現在のパウェル議長の予測では、ウォールストリートの世論同様、このリセッションは短期的なもの、という事である。

現に、アメリカ国内の自動車部品生産量は回復基調にある。

中国内で生産をしている米製造業、例えばテスラなどは、今回の中共のゼロコロナ政策で、ダメージを受けている。

だが、米国内での自動車部品生産が増産傾向にあり、回復が見込まれている為に、楽観的な観測が支配しているのである。

さて。

ここからは、私の個人的な意見である。

大中華市場の海外投資、株式投資を中心とした 600 億ドルは、もう戻らないだろう。
加えて大中華の不動産業績は、縮小傾向が継続する。

また、大中華の PMI は、 4 ~ 6 月期を過ぎても 50 ポイントを上に抜けない可能性がある、と見ている。

従って、 0.5% の FRB の利上げが成功するのかどうかは微妙な所で、売電氏中間選挙までに相場はもう一波乱ある可能性がある、と見ている。

ブルームバーグは、業績が悪化するタイミングでは、中共の統計が大きく粉飾される傾向がある、と報じている。

これらを勘案すれば、もう一波乱あってもおかしくない。

最後にドル円相場である。
こちらをご覧いただきたい。


上は、「米ドル/円の注文情報」のグラフである。

上は、「米ドル/円の未決済ポジション」である。

上のグラフは、売りと買いの注文の予約オーダーである。
下は、売りと買いの決済である。

入っているオーダーは、135円までに、相対的に買いオーダーの方が多い。
つまり、トレーダーは、まだ135円を超えてドルは高くなり、円安になる、と考えているのである。

上のグラフをご覧いただきたい。
5円 20 ~ 30 の所に買いオーダーが多く入っている。
ここを抜ければ、そのまま円安に向かうだろう、と見ているのであろう。

下のグラフをご覧いただきたい。
114.57 近辺を越えて上に売り決済の玉は殆ど無い。
一方で、買いの玉は、厚く入っている。

つまり、 5 円を抜ける、と考えているトレーダーが多い事を示しているのである。

これらを勘案すると、米インフレ率が収まるのは容易ではない。
トレーダーは、まだインフレ率が上がり、円安が進むと見ているのである。

私見だが、売電政権は、このまま中間選挙で、インフレ率上昇が悪影響を及ぼし、支持率下落圧力となろう。

その結果、売電氏の中間選挙は非常に厳しいものになろう。