今になって言えることなのだが、うつによって食欲が無くなるということは、凄まじく辛いことであり、あれは2度と繰り返したくない強烈な体験となっている。


胃を悪くしたり、風邪を引いたりして食欲がなくなることは誰にでもあることだが、あんなのとは次元が違った。

胃が悪いわけでも、熱があるわけでもないのに、食べることが極端に苦痛になるのだ。

かと言って、理性も残っているので「食べなきゃ」と焦る。

そして無理やり食べる。

しかし箸は進まない。


決して胃が受け付けないわけではない。

もう、脳が受け付けてくれないのだ。

食べ物を見るのも苦痛。

しかしかすかな理性もある。


「食べたくないが食べたい、でも食べられない」


という、わけの分からない心理状態に陥った。


結局おかゆとヴィダー程度しか食べられず、体重はみるみる減った。

そんな状況の中、どういうわけかデプロメールが処方された。


これは僕に、凄まじい胸焼けをもたらした。

ますます食べられない。


最終的にドグマチールでなんとかなったが、あの苦痛は生き地獄と言って良かった。

よく死ななかったな、と思うくらいだ。


あれはたぶん、拒食症とは全く違う感覚なんだと思う。